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こころの雨は突然降りだす!東畑開人さん『雨の日の心理学』が刊行

臨床心理士・東畑開人さんによるこころのケアの入門書『雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら』がKADOKAWAより刊行されました。

 

職場で、家庭で、身近な人をケアする人のための「きく技術」「おせっかいの技術」も大公開

『居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書』『聞く技術 聞いてもらう技術』などで話題の臨床心理士・東畑開人さんの著書『雨の日の心理学』は、こころのケアとは何か、どうすればこころをケアできるのか、その本質から小手先の技術までを惜しみなく教える授業形式の心理学入門です。

 
こころのケアは酸素のように、日常に満ちています。職場で部下を気遣い、家庭で子どもやパートナーのお世話をする。ケアのほとんどは専門家ではなく「素人」が担っています。

だからこそ、誰かをケアするすべての人に、心理学を役立ててほしいという思いで書かれた本書は、専門家の知識を解きほぐして日常に役立つヒントを提供し、ケアする人へあたたかなエールを贈る一冊です。

 
★まえがき全文をnote(KADOKAWA文芸「カドブン」note出張所)で公開中
https://note.com/kadobun_note/n/nfdb92d1dd108

 

本書の目次

まえがき 雨の日のガイダンス

1日目 こころのケアとはなんだろうか ―雪だるまを溶かさない―

2日目 こころをわかるとはどういうことだろうか ―既読スルーを思いやる―

3日目 こころはどうしたらきけるのか ―ゼリーをやりとりする技術―

4日目 こころはなにをすれば助かるのか ―余計なお世話と助かるおせっかい―

5日目 ケアする人をケアするもの ―つらいとき、たのしいとき―

もっと勉強したい人のためのブックガイド

あとがき 宿題となっていた質問

※各章に、生徒からの質問や悩みに答えるQ&A「質問タイム」を収録!

『雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら』本文より

『雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら』本文より

 

著者プロフィール

東畑開人(とうはた・かいと)さんは、1983年生まれ、東京都出身。専門は、臨床心理学・精神分析・医療人類学。京都大学教育学部卒業、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。精神科クリニックでの勤務、十文字学園女子大学で准教授として教鞭をとった後、白金高輪カウンセリングルーム主宰。博士(教育学)・臨床心理士・公認心理師。

2019年『居るのはつらいよ―ケアとセラピーについての覚書』で第19回大佛次郎論壇賞紀伊國屋じんぶん大賞2020を受賞。

その他の著書に『野の医者は笑う 心の治療とは何か?』『日本のありふれた心理療法―ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学』『心はどこへ消えた?』『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』『聞く技術 聞いてもらう技術』『ふつうの相談』など。

 

雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら
東畑 開人 (著)

子育てや介護、ふだん当たり前にしているケアが難しくなったときの道しるべ

こころのケアははじめるものではなくて、はじまってしまうものである。
つまり、自主的に、計画的に、よく考えて契約書にサインしてから開始するものではなく、受け身的に、期せずして、否が応でも巻き込まれてしまうものです。
よく晴れた休日に散歩に出かけたら、突然大雨が降ってくるようなものです。
そういうとき、僕らは当初の予定を変更して、とにもかくにも雨宿りをできる場所を探したり、傘を買ったりしなければいけなくなります。

同じように、ある日突然、身近な人の具合が悪くなる。
子どもが学校に行けなくなる。パートナーが夜眠れなくなる。老いた親が離婚すると言い出す。部下が会社に来なくなる。あるいは、友人から「もう死んでしまいたい」と連絡が来る。
突如として、暗雲が立ち込める。
どうしてそうなったのか、なにをすればいいのか、これからどうなるのか、全然わからない。
でも、雨が降っていて、彼らのこころがびしょ濡れになっていることだけはわかります。
そのとき、あなたは急遽予定を変更せざるをえません。とにもかくにも、なんらかのこころのケアをはじめなくちゃいけなくなる。
傍にいるのがあなただったからです。その人があなたの大事な人であったからです。
ある日突然、あなたは身近な人に巻き込まれて、雨の中を一緒に歩むことになってしまう。
こういうことがどんな人の身の上にも起こります。
人生には、こころのケアがはじまってしまうときがある。

ですから、突然の雨に降られている方々に向けて、あるいは長雨の中で日々を過ごしておられる方々のために、心理学の授業をしてみようと思います。
雨が降ったら、傘を差すように、こころのケアがはじまったら、心理学が役に立つと思うからです。
(まえがきより)

装画:福田利之
装丁:原田郁麻

 
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