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【第2回更級日記千年紀文学賞】「一般の部」は松山泰生さん「旅の裏側」と木野田博彦さん「千三百年の時の流れの中で」が大賞を受賞

千年紀 ロゴ

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「更級日記」の作者・菅原孝標女が帰京のため、上総国府(現在の市原市)を出発した1020年から数えて、千年の節目を記念して創設された「更級日記千年紀文学賞」の第2回の受賞作が決定しました。受賞作は更級日記千年紀特設サイトで公開中です。

 

「第2回更級日記千年紀文学賞」受賞作品・受賞者

 
【応募総数】
(1)一般の部:101点(小説72点、紀行文・随筆29点)
(2)小中学生の部:532首(「道」をテーマとした短歌:小学生68首、中学生464首)

 
大賞受賞者およびコメント(敬称略)>

(1)一般の部

■小説 「旅の裏側」 松山 泰生(東京都杉並区)

古典を耕し知識を養う行為は、日々凡々を貪る身にとって容易なことではありませんが、今回「更級日記千年紀の催し」では充実した日を送らせていただきました。そのうえ賞まで戴くことになり、大変感謝しております。
これを機に更級日記を一層深掘りし、私なりの仮説を立ててみたいと思います。
最後に、再度謝意を申し上げます。今回は本当に有難うございました。

 
■紀行文・随筆 「千三百年の時の流れの中で」 木野田 博彦(埼玉県さいたま市)

この度は大変すばらしい賞に選定していただき、誠にありがとうございます。とても感激しております。
母のふるさと千葉県の市原の地で、母と偶然立ち寄った万葉集東歌の歌碑を見た時のことを思い出し1300年もの前、市原の地でこの歌を詠んだ女性に思いを馳せ、自分なりにあれこれ想像しながら書き綴ってみた文章でした。
4年前に亡くなった母も、きっととても喜んでくれていると思います。

 
≪一般の部 選考委員長・椎名誠さん講評≫
今回も両部門ともすぐれた作品が揃った。小説の部で大賞となった「旅の裏側」は私小説っぽいおじいさんと孫娘との会話を中心に、更級日記にちなんだ朗読劇についての話が描かれる。作者の恐らく深い文学的な履歴がものを言って、落ち着いて含蓄の深い作品になっている。 随筆・紀行文の部でも市原と更級日記を背景にした作風のすぐれた作品が集まっており、とくに「千三百年の時の流れの中で」は防人とその妻との思慕の情を描いてすばらしい。

選考委員長 椎名誠さん

選考委員長 椎名誠さん

 
(2)小中学生の部

■小学生(短歌) 横道 玄(11歳)(山口県光市)

「自転車の タイヤがうでに 伝たえてる ほそうされない 道のでこぼこ」

第2回更級日記千年紀文学賞の小学生の部で、大賞に選んでいただきありがとうございます。僕は自転車が大好きです。いつもは、アスファルトでほそうされた道を走るのですが、わき道に入った時にほそうされていない道を進みました。その時いつもの道と違いガタガタとタイヤが直接腕に、道のでこぼこを伝えてくれました。その時のことを思い出して作った短歌です。これからも、いろいろな経験や思ったことを短歌にしていきたいと思います。

 
≪「小中学生の部」選考 市原歌人会講評≫
うまく乗れるようになった自転車で舗装されていない、林や田んぼの中の農道を走る時に体で感じたことを歌にまとめたのでしょう。でこぼこ道の振動をタイヤがうでに伝えて来るという言葉の配置や表現のうまさ。爽快感と繊細な感覚が見事な作品として生まれたと思います。

 
■中学生(短歌) 門脇 隼斗(13歳)(宮城県岩沼市)

「あぜ道を 走り抜けてく ぼくだけが オリオン座に今 見守られてる」

このような大きな賞をいただけるとは思ってもいなかったので、とても嬉しく思っています。この短歌は、寒い冬の夜に細いあぜ道を走る少年の姿です。心細いはずなのに、オリオン座に見守られているため、一人きりでも心細くない、という気持ちが伝わるように工夫して創りました。これからも日常で起きたことを題材にしながら短歌を創る習慣をつくっていきたいと思っています。このたびはありがとうございました。

 
≪「小中学生の部」選考 市原歌人会講評≫
ともなれば、体力造りとしてランニングすることも頻繁になって来ることでしょう。夜空に輝くオリオン座を仰ぎ畦道を駆け抜けるとき、僕だけがオリオン座に見守られている、オリオン座を今だけ独り占めにしているという高揚した気分が、爽やかに伝わってきます。

 
※なお、「大賞」「優秀賞」「選考委員特別賞」などの受賞作品は、更級日記千年紀特設サイト(https://sarashina-sennenki.com/)で公開中です。

★公開ページ:https://sarashina-sennenki.com/news/第2回更級日記千年紀文学賞の受賞作について/

 

次回(第3回)更級日記千年紀文学賞について

文学賞を通じ、書く楽しみや読む楽しみを感じ、文学に励まされ心豊かになること、そして、市原の魅力や愛着を感じてもらうことを目指し、「第3回更級日記千年紀文学賞」を実施します。

応募受付期間は令和5年2月1日(水)~2月28日(火)必着。「一般の部」の選考委員長は作家の椎名誠さんです。

★詳細:https://sarashina-sennenki.com/news/第3回更級日記千年紀文学賞/

 
【関連】
更級日記千年紀2020 | 上総国府のまちいちはら

 


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