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【第23回『このミステリーがすごい!』大賞】土屋うさぎさん「謎の香りはパン屋から」が大賞を受賞 文庫グランプリに松下龍之介さんと香坂鮪さん

宝島社は、ミステリー&エンターテインメント作家・作品の発掘・育成を目的とする公募新人賞「第23回『このミステリーがすごい!』大賞」の受賞作を発表しました。

 

第23回『このミス』大賞が決定! 大賞受賞者は26歳の現役漫画家

応募総数403作品の中から、1次選考(21作品通貨)、2次選考(7作品通貨)を経て、第23回『このミステリーがすごい!』大賞は、土屋うさぎ(つちや・うさぎ)さんの「謎の香りはパン屋から」が受賞しました。

また文庫グランプリには、松下龍之介(まつした・りゅうのすけ)さんの「一次元の挿し木」と、香坂鮪(こうさか・まぐろ)さんの「どうせそろそろ死ぬんだし」が選ばれました。

 
大賞賞金は1,200万円、文庫グランプリ賞金は200万円(均等に分配)で、同3作品は2025年1月から順次、書籍化される予定です。
※刊行時、タイトルが変わる場合があります

 

大賞受賞作品「謎の香りはパン屋から(仮)」<2025年1月刊行予定>

 
【あらすじ】

謎はクロワッサンのように折り重なり、カレーパンのように刺激的!
パン屋さんでの<日常の謎>を解く“美味しい”ミステリー

大学一年生の市倉小春は漫画家を目指しつつ、大阪府豊中市にあるパン屋〈ノスティモ〉でバイトをしていた。あるとき同じパン屋で働いている親友の由貴子に、一緒に行くはずだったライブビューイングをドタキャンされてしまう。誘ってきたのは彼女のほうなのにどうして? 疑問に思った小春は、彼女の行動を振り返り、意外な真相に辿りつく…。パン屋を舞台とした〈日常の謎〉連作ミステリー!

【著者コメント】

このたびは栄誉ある『このミス』大賞にお選びいただき、本当にありがとうございます。
昔から小説は好きでしたが、漫画家としてデビューし、小説に打ち込むタイミングはもうないと決めつけていました。しかし打ち込む時間は作るもの。人生でやりたいことは全部やろう、と『このミス』大賞に挑戦しました。
書き上げることができたのは、パン屋でのバイト経験、大阪での生活、漫画家としての活動、今までの出会い全てのおかげです。大賞の名に恥じぬよう、これからも全力で作品を書いていきたいと思います。

 
【著者プロフィール】

土屋うさぎ(つちや・うさぎ)さんは、1998年生まれ、大阪府箕面市出身。東京都府中市育ち。大阪大学工学部応用理工学科中退。現在は漫画アシスタント兼漫画家。

2023年『あぁ、我らのガールズバー』で集英社・第98回赤塚賞準入選。同年『見つけて君の好きな人』で小学館・「創作百合」漫画賞佳作。2024年『文系のきみ、理系のあなた』で一迅社・第30回百合姫コミック大賞翡翠賞。『ジャンプSQ.RISE 2024 SPRING』に『ORB』掲載。

 
【選評】

◎生き生きした会話とテンポのいいストーリーテリング、なにより全体を包む空気感が魅力的。
(大森望さん/翻訳家・書評家)

◎完成度の高い人間関係劇とおいしそうなパンの魅力で読ませる。
(香山二三郎さん/コラムニスト)

◎パン屋ならではの事件を盛り込みつつ、パンを謎と絡ませるなど、読者のもてなし方を分かっている。
(瀧井朝世さん/ライター)

 

文庫グランプリ受賞作品「一次元の挿し木(仮)」

 
【あらすじ】

ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨と、四年前に失踪した妹・紫陽のDNAが完全に一致した。大学院で遺伝人類学を専攻する兄の悠はエラーを疑い再鑑定するも一致し、教授に相談しようとした矢先、教授が何者かに惨殺された。殺された教授の姪・唯から重度の昏睡状態にある彼の娘・真理が行方不明だと知らされた悠は、唯と協力して真理と紫陽の行方を探るうちに、人類史を揺るがす陰謀に足を踏み入れてしまう……。

【著者コメント】

「一次元の挿し木」は“迷宮”をテーマとした作品です。それゆえか、執筆中はストーリー構成に日々悩み、長らく自分自身が迷宮に迷い込んでいる状態でした。挫折しそうにもなりましたが、ある夜、近所の公園を五時間以上徘徊し、ようやく論理的破綻のない道筋を見つけたとき、忌まわしき迷宮を後にすることができました。
自分の全てを懸けて綴った物語です。読んで後悔はさせません。最高のエンターテインメント体験をお約束します。

 
【著者プロフィール】

松下龍之介(まつした・りゅうのすけ)さんは、1991年生まれ、東京都江戸川区出身。茨城県牛久市在住。千葉工業大学大学院工学研究科修士課程を修了。現在は電機システム事業を扱う会社で、火力発電所や製鉄所向けの高圧ポンプの設計や技術提案に携わっている。

 
【選評】

◎冒頭で提示される謎の牽引力、ストーリーの面白さでは、今回これがダントツ。
(大森望さん/翻訳家・書評家)

◎ヒマラヤの呪われた湖で発掘されたという二百年前の古人骨のDNA鑑定が暴く驚くべき真相!
(香山二三郎さん/コラムニスト)

◎二百年前の骨と失踪した少女のDNAが一致したという謎が魅力的!
(瀧井朝世さん/ライター)

 

文庫グランプリ受賞作品「どうせそろそろ死ぬんだし(仮)」

 
【あらすじ】

探偵業を営む元刑事の七隈。七隈は助手の律と共に、主催者・茶山が所有する山奥の別荘“夜鳴荘”に招待を受ける。泊まりがけで開催される、余命宣告された人々が集う交流会のゲストとして、自身の探偵談を披露するためだ。会の個性豊かなメンバーと交流を深める二人。しかし二日目の朝、参加者の一人が不審な死を遂げ……。もうすぐ死ぬ人間がなぜ殺されたのか? 全く新しい“館”ものミステリー、開幕!

 
【著者コメント】

鮪は泳ぎ続けることで生を得る。私もまた、書き続けることで文学の海を生きていきたい。幼魚同然の私を海に放り出してくれた選考委員の方々に感謝申し上げます。5年先、10年先の受賞者から、「あの人の出身だから」と言われるような作家を目指します。

 
【著者プロフィール】

香坂鮪(こうさか・まぐろ)さんは、1990年生まれ、熊本県出身。大阪府在住。熊本看護専門学校卒業。介護業を経て、現在は心臓と脳を専門とする病院に勤務。心筋梗塞や不整脈、脳梗塞、クモ膜下出血などの検査や治療、さらには心臓移植に関する業務にも従事している。

 
【選評】

◎もうすぐ死ぬ人間をなぜ殺すのか? 余命宣告された人々が集まる別荘という舞台が素晴らしい。
(大森望さん/翻訳家・書評家)

◎特異な設定で惹きつけられるし、探偵の交代趣向やヒネリ技にも力量を感じた。(香山二三郎さん/コラムニスト)

◎ユニークな設定がまず興味を引いたし、二度読みしたくなる仕掛けが上手かった。
(瀧井朝世さん/ライター)

 

『このミステリーがすごい!』大賞について

『このミステリーがすごい!』大賞は、ミステリー&エンターテインメント作家・作品の発掘・育成を目的に、2002年に創設された新人賞です。

 
これまで、第153回直木賞を受賞した東山彰良さんや、累計1080万部突破の「チーム・バチスタの栄光」シリーズの海堂尊さん、音楽ミステリー『さよならドビュッシー』や社会派ミステリー『護られなかった者たちへ』で知られる中山七里さんなどの作家を輩出してきました。

さらに、受賞には及ばなかったものの、将来性を感じる作品を「隠し玉」として書籍化。累計250万部を突破した岡崎琢磨さんの「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズをはじめ、映画化もされた志駕晃さんの「スマホを落としただけなのに」シリーズなど、「隠し玉」からもベストセラー作品が多く生まれています。

 
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