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『存在と時間』読解書を刊行した池田喬さん×高井ゆと里さんがハイデガー哲学の核心をつかむ入門講義を開講

池田喬さん×高井ゆと里さんがハイデガー哲学の核心をつかむ入門講義を開講

池田喬さん×高井ゆと里さんがハイデガー哲学の核心をつかむ入門講義を開講

NHK文化センター青山教室では、20世紀最大の哲学書『存在と時間』を世界的レベルで読解し、若くして名を知られた二人――池田喬さんと高井ゆと里さんが語る【対談 ハイデガー『存在と時間』には何が書いてあるのか】を9月11日(日)と9月24日(土)の2回にわたり青山教室とオンラインのハイブリッドで開催します。

なぜ難解なのか、どうすれば読めるのか、その現代的意義は……信頼しあうお二人だからこそできる、現代人のためのハイデガー入門講義です。

 

全2回でハイデガー哲学の核心をつかむ! 池田喬さん×高井ゆと里さんの特別対談!

ハイデガーの名前を聞いたことのある人は多いでしょう。ハイデガーの主著が『存在と時間』であることを知っている人も少なくないはず。

でも、『存在と時間』を開いたことのある人はどれだけいるでしょうか? いやいや、開いたことならあるよ、でも読める感じがしなかったから棚に戻した……そんな人もいるに違いありません。

 
『存在と時間』は20世紀最大の哲学書と呼ばれます。ハイデガーは今から95年前、この著作によって文字通り世界じゅうの哲学者を驚かせ、哲学を一変させてしまったからです。

はいはい、そういうことは知っているけれど専門家でない自分にはそういう実感が持てないんです、だいたい読めそうにない、つまり「何が書いてあるか分からない」……そういう人が、実は大半なのです。

 
そんな人のために、その名も「対談 ハイデガー『存在と時間』には何が書いてあるのか」が、9月に開講されます。対談者は、昨年から相次いで『存在と時間』の読解書を刊行した池田喬さん(明治大学教授)と、高井ゆと里さん(群馬大学准教授)。日本における今後のハイデガー研究をけん引するお二人です。

ハイデガー読解のいちばん重要なポイントを、2回の対談でコンパクトにまとめて学べる、またとない機会です。

 
二人の読解は何が新しいのか? それを知るためには、これまでのハイデガーの解説書の読解パターンについて知る必要があります。

 
(1) 明治以来の東京大学哲学研究室の伝統にのっとった精密な読解を、読者の理解度はさておき、再現したもの。
日本のハイデガー研究は確実にここで進展し、学ぶべきものが多いけれど、哲学の大学院生でもないと読むのは難しい。

(2) 『存在と時間』が書かれた状況を詳しく調べ、その構成をいわば舞台裏から明らかにしていくもの。
こちらは、実は『存在と時間』が、20世紀最大などともてはやされる一方で、じつは未完の書物であるという、この意外なギャップを突くことで一定の読者を得ました。

(3) ハイデガーという対象に“もぐり込み”、いわばハイデガー自身になりきったレベルから、物語やエッセイのように魅力的な文体で、ハイデガーを理解させるもの。
また、独自の視点からハイデガーを哲学史に位置付ける本もこちらに含まれそうです。「ファン」や「玄人」も喜ばせる本と言えるでしょうか。

(4) 高校倫理の教科書のように、用語の解説を丁寧に行い、ハイデガーの生涯解説とからめて全般的な理解を目指したもの。こちらが一般書としては最も多いタイプです。

(5) 『存在と時間』の全編を詳しく解説していくもの。
全編にわたって注釈をつけたもの(コンメンタールと呼ばれます)や、実際に過日刊行され好評を博した「用語事典」など。

……と、ここまで詳しく分類してきた理由はお分かりのように、池田さんと高井さんが、これらのどれでもない解説を試みていることを示すためです。

 
お二人がされているのは、

(6) 『存在と時間』研究の世界的最前線を踏まえながら、『存在と時間』の中身を、それ自体で魅力的な哲学的議論として再構成するもの――なのです。

 
それを、(1) にあるような東京大学哲学研究室出身の二人が実現しているという意味で、“正統にして斬新”な読解と解説になっているのです。

こうした手法は、早世が惜しまれた門脇俊介氏を継承するものとも言え、これからのハイデガー研究で無視することのできない二人の直接対談が見られることは、一般読者だけなく哲学の研究に関わる人々にとっても貴重な場であることは間違いありません。

 

「ハイデガー『存在と時間』には何が書いてあるのか」開催概要

■講師:明治大学教授・池田喬さん&群馬大学准教授・高井ゆと里さん

■開催日時:9月11日(日)13:00~15:00/9月24日(土)17:00~19:00

■受講料金
◎教室:NHK文化センター会員=7,788円/一般(入会不要)=9,152円
◎オンライン:NHK文化センター会員・一般(入会不要)=6,600円

■主催:NHK文化センター青山教室

★詳細&申込み
◎教室受講:https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1252493.html
◎オンライン受講:https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1253940.html

 

ハイデガー 『存在と時間』を解き明かす (NHKブックス)
池田 喬 (著)

類例のない究極の入門書

本書「序」のタイトルは「なぜ、『存在と時間』についてなおも書くのか」である。『存在と時間』やハイデガーの入門と謳う本はすでにいくるもあるからだ。
だが「なぜ、なおも書くのか」と問うには勇気がいる――正面から答えねばならないから。答えはこうだ;
「『存在と時間』は一度は読んだ方がいい。そして、『存在と時間』を読みたいとこころざした人にとって、この本がかつてなかった読み方と説得力を示しているから」。
哲学徒を引きつけてやまない“現代哲学の最高峰”の読解を、自分の読書体験としてモノにするための確かな道が本書だ。『存在と時間』の鮮烈な解釈で学界にデビューした新鋭による、問答無用のニュー・スタンダード!

極限の思想 ハイデガー 世界内存在を生きる (講談社選書メチエ)
高井 ゆと里 (著), 大澤 真幸 (編集), 熊野 純彦 (編集)

大澤真幸・熊野純彦両氏の責任編集による叢書「極限の思想」第4弾!「自らの思考を極限までつき詰めた思想家」たちの、思想の根源に迫る決定版。21世紀のいま、この困難な時代を乗り越えるには、まさにこれらの極限にまで到達した思想こそ、参照に値するだろう。
本巻は『存在と時間』の精密な読解を通して、ハイデガーの思想の精髄にせまる!
ハイデガー自身が執筆し公刊された唯一の体系的な著作にして、未完の大著『存在と時間』。難解をもって鳴るこの哲学書をどう読むべきか。
「私たちがそれぞれそうであるところの存在者」を「現存在」と呼び、また、私たちが「世界の内にある」在りようを「世界内存在」と呼ぶ。このように、さまざまな概念を次々に出しながら、ハイデガーが分析しようとしたこととは何だったのか。私たちがそれぞれの「私」を生きているとはどういうことか。本来的な自己とは。――その哲学的果実を味読する力作。

 
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【青山教室】対談 ハイデガー『存在と時間』には何が書いてあるのか | 好奇心の、その先へ NHKカルチャー
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