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「わが子に限って、大丈夫」は、もはや通用しない!瀬戸晴海さん『スマホで薬物を買う子どもたち』が刊行 『マトリ』著者が明かす「密売革命」、驚愕の実態とは

瀬戸晴海さん著『スマホで薬物を買う子どもたち』

瀬戸晴海さん著『スマホで薬物を買う子どもたち』

厚生労働省麻薬取締部(通称:マトリ)のトップを務めた瀬戸晴海さん著『スマホで薬物を買う子どもたち』(新潮新書)が新潮社より刊行されました。

瀬戸晴海さんは2020年に『マトリ』(新潮新書)を刊行、それまであまり知られていなかったマトリによる薬物捜査を描いて話題になりました。今回は、ネットやSNSの浸透で、ひと昔前とはすっかり様変わりした「密売革命」による若年層への蔓延から、「合法化」への安易な誤解から広がる大麻の脅威まで、実例とともに徹底解説します。

 

絵文字に隠語、秘匿アプリ――厚労省麻薬取締部(通称・マトリ)トップを務めた伝説の捜査官が明かす薬物最新事情とは

かつても今も、有名人の薬物事件はセンセーショナルに報じられます。
しかし、いま問題なのは、芸能界よりむしろ社会全体に薬物が蔓延しつつあることのほうです。
官僚や教員、警察官や消防士、記者やスポーツ選手など、およそ薬物とは縁のなさそうな、普通の人以上に道徳心を求められる職種の人たちが、危険ドラッグ、大麻、覚醒剤などに手を出して検挙されています。

そして急増し続けているのが、大学生や中高生を含めた“子どもたち”の薬物での検挙です。いったいなぜ、こんな状況が起きているのでしょうか。

 
ネット社会の浸透、スマホやSNSの爆発的な普及によって、誰もが、どこからでも、いとも簡単に薬物を入手できる「薬物革命」の時代が到来しているのです。先進国としては例外的に薬物乱用が少なく「奇跡の国」と呼ばれた日本は今、大きな曲がり角に差しかかっています。

 
2020年、薬物事犯の検挙数は過去10年で最多を記録。中でも増えているのが大麻で、日本にも「大麻乱用期」が近づいていると言っても過言ではありません。

「わが子に限っては大丈夫」が、もはや通用しないこの時代、子どもたちを薬物事件の被害者にも加害者にもしないために、気になることがあったら、わが子の手の中にあるスマホをチェックしてみたほうがよさそうです。

取引画面

取引画面

 

本書の構成

はじめに――ネットで激変、薬物事情の今

第1章 スマホとクスリ――SNSでは毎日が「薬物」特売セール
SNSの普及がもたらした「密売革命」
隠語を駆使するネット密売の実態
最新のトレンドは「絵文字」
子どもが持つスマホのアプリは要確認

第2章 「わが子に限って」は通用しない(一)――真面目な女子大生が大麻に嵌るまで
最愛の娘が尿の提出を求められた
沖縄旅行で「大麻」初体験
ツイッターで売人に接触
ついに家族にバレるも……
マトリの「ガサ入れ」に遭遇
大麻は「お洒落なハーブ」
薬物乱用は仲間へ伝播する
「金パブ」に酔う若者たち

第3章 「わが子に限って」は通用しない(二)――女子高生を狙う「レイプドラッグ」
睡眠薬が犯罪ツールに
「お姉ちゃん、泣いてるで」
少女に何が起こったか
「学校にも友達にも知られたくない」
出会い系はネット犯罪の温床
「ツイッターはかかりがいい」
SNSで騙されないための注意点
お酒もレイプドラッグになる
出会わなくても「性被害」には巻き込まれる

第4章 「わが子に限って」は通用しない(三)――大学生が覚醒剤密売に手を染めるまで
わが子が密売人として逮捕される
プロが嗅ぎ取った“あやしい”兆候
垣間見える「特有の症状」
ガサ入れ開始
サイレン音で激しい発作
「エスはすげえぞ」
失恋の痛手から薬物に嵌る
タタキに遭った素人「密売人」
親からもらった金が注射痕に化ける
薬物の本当の怖さ
骨までしゃぶるから“シャブ”

第5章 乱用から依存、そして死へ――薬物乱用者のリアルな証言
薬物乱用者は見た目で分かるのか
入手先は意外な人物
「乱用」の結果、「依存」が生じる
精神依存と身体依存
なぜ5回も6回も逮捕されるのか
多岐にわたる薬物の種類と、その効果
記憶に残る乱用者「健太」の証言
深入りした先に待つのは死のみ

第6章  危険ドラッグが奪った人生――「被害者にも加害者にもなってほしくない」
猛毒「危険ドラッグ」
数週間で「新種」が登場
遺族の悲痛な胸中と、切なる願い
〈長野県中野市での事故〉
〈香川県善通寺市での事故〉
二度と悲劇を繰り返してはならない

第7章 緊急提言:大麻合法化は危険である
近年、海外での一部合法化とともに、依存性や健康被害が少ないという安直な誤解が広がり、若者たちの間で急速に蔓延しているのが大麻だ。そもそも大麻とは何か、危険性はどこにあるのか。成分や効力など基礎知識から最新事情まで、27の質疑応答。

薬物は「自分事」――あとがきに代えて

 

著者の言葉(本書「はじめに」より抜粋)

ネット社会の拡大と、スマホの爆発的な普及に伴って、誰もがどこからでも、易々と薬物を購入できる新しい時代が到来しています。一部の若者はお酒を飲む程度の軽い感覚で大麻に手を出します。それのみならず、クラブに繰り出すときにはMDMA、身体をシャキッとさせたいときには覚醒剤やコカインと、多剤を乱用する者も珍しくありません。また、素人が密売人になることも特殊なケースではなくなり、「密売の自由化」が始まっていると言えます。

 
本書では薬物問題を多面的に捉え、ネット問題や私が関わったさまざまなエピソードを交えつつ、また、重要な課題は質疑応答にして可能な限りをわかりやすく解説します。ショッキングな事案も多く登場しますが、これは、読者の皆さんに薬物蔓延の「現実」を知ってほしいと考えているからです。本書を通じて薬物問題への理解と関心を少しでも深め、子どもさんたちを、そしてご自身を守ってください。

 

著者プロフィール

著者の瀬戸晴海(せと・はるうみ)さんは、1956(昭和31)年生まれ。福岡県出身。明治薬科大学薬学部卒業後、厚生省麻薬取締官事務所(通称:マトリ)に採用され、薬物犯罪捜査の一線で活躍。九州部長、関東信越厚生局麻薬取締部長などを歴任、人事院総裁賞を二度受賞。2018年に退官。著書に『マトリ』。

 

スマホで薬物を買う子どもたち (新潮新書)
瀬戸 晴海 (著)

カラフルな絵文字に隠語の数々、秘匿アプリが浸透したSNS上では、今日も違法薬物の特売セール。親に隠れて手を出すのは中高生や大学生、売人もまたごく普通の若者たちだ。気楽に手早くお手軽に、スマホを介した「密売革命」によって、子どもたちの薬物汚染は急速に蔓延している。ひと昔前とは様変わりした最新ドラッグ事情から、安易な誤解で広がる大麻の脅威まで、元「マトリ」トップが実例とともに徹底解説。

 


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