本のページ

SINCE 1991

直木賞作家・熊谷達也さん新境地『明日へのペダル』が刊行 自ら愛車を駆り入賞も果たす著者がロードバイク愛を込めて描く物語

熊谷達也さん著『明日へのペダル』

熊谷達也さん著『明日へのペダル』

いつもの明日は必ずやってくるとは限らない、ある日突然分断されることも――新型コロナ禍で息苦しい時代に、自転車を通して前向きに生きようとする人々の明日へと向かう営みを描く、直木賞作家・熊谷達也さん著『明日へのペダル』がNHK出版より刊行されました。自ら愛車を駆り入賞も果たす熊谷さんが、ロードバイク愛を込めて描く感動の物語です。

 

分断された平和な日々の再生を願って、明日へと続くペダルを踏み続ける

 
【あらすじ】

もう何かに夢中になることなんてないかと思っていた……

本間優一は、多少のさざ波はあっても大過なく仙台で会社員生活を送ってきた。50代半ばに差し掛かり、健康上の理由からロードバイク(本格的なスポーツ用自転車)に乗るようになる。部下の唯の指導を受けて、優一のロードバイク技術はめきめき向上していく。思えば本気になって趣味に打ち込むことは、いままでに経験のないことだった。おりしも新型コロナウイルスのパンデミックが仙台にも広がり経済にも影響を及ぼすように。そんな息苦しい状況にあっても、自転車を通して、優一たちは新しい扉を開いてゆく。

直木賞作家であり、自ら愛車を駆りイベント入賞も果たす現在最も自転車に詳しい作家が、ロードバイク愛を込めて描く感動の物語。

 
◆「第6章 ビギナーズライド」より

駐車場から左折で通りに出て、北へ向かって走り始める。速度は時速二十キロメートル程度。自転車の速度としてはそこそこ速い。だが、体力的にはまだまだ余裕がある。さすがロードバイクだ。・・・・・・気持ちいい。実に気持ちいい。これ以上気持ちの良い乗り物には、いままで乗ったことがない。あらためて不思議な乗り物だと思う。五十代も半ばの大の男が、嬉々として自転車に乗っているというのも奇妙な話だが、事実なのだからしょうがない。

 

本書の目次

1 危険水域
2 ロードバイク
3 プロショップ
4 イタリアンバイク
5 フィッティング
6 ビギナーズライド
7 テレワーカー
8 老兵は死なず
9 ステイホーム
10 ヒルクライム
11 コロナ禍にて
12 用意周到
13 百キロライド
14 経営改革
15 涙
16 お人好し
17 DNF
18 リスタート
19 明日へのペダル

 

著者プロフィール

著者の熊谷達也(くまがい・たつや)さんは、1958年生まれ。宮城県仙台市出身。東京電機大学理工学部数理学科卒業。1997年『ウエンカムイの爪』で第十回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。

2000年『漂泊の牙』で第十九回新田次郎文学賞、2004年『邂逅の森』で第十七回山本周五郎賞、第百三十一回直木賞のダブル受賞を果たす。近著に『潮の音、空の青、海の詩』(NHK出版)、『エスケープトレイン』(光文社)、『無刑人芦東山』(潮出版)ほか。

 

明日へのペダル
熊谷 達也 (著)

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です