【Yahoo!ニュース|本屋大賞 2021年ノンフィクション本大賞】上間陽子さん『海をあげる』が受賞
Yahoo!ニュースと本屋大賞が創設し、全国の書店員さんが選ぶ「Yahoo!ニュース|本屋大賞 2021年ノンフィクション本大賞」の受賞作品が発表されました。
「2021年ノンフィクション本大賞」が決定!
今回で第4回目となる「Yahoo!ニュース|本屋大賞 2020年ノンフィクション本大賞」は、一次投票が5月20日より6月30日まで行われ、その集計の結果、上位6作品がノミネート作品に選出されました。そして、7月20日から9月20日まで二次投票が行われ、11月10日に次の通り受賞作品が決定しました。
<2021年ノンフィクション本大賞 受賞作品>
上間陽子(うえま・ようこ)さん
『海をあげる』(筑摩書房)
【上間陽子さんコメント】
本を書いているときには、喉の奥がきーと音をたてるような痛みがありました。
わめきたいような、叫びたいような、でもそれではちっとも足りないような。
沖縄で起きている数々のことに絶望し、果たし状を書くような気持ちで書いていたのに、本当に書きたかったのはやはり違うことだったように思います。
言葉が破壊される国にあって、それを破壊させないと抗い仕事を積み上げる書店員の方々が、この賞をくださったことを誇りに思います。
言葉によって、ひととひとがつながりあえることを信じて、自分にできることをひとつひとつやり遂げていこうと思います。
〔受賞作『海をあげる』あらすじ〕
「海が赤くにごった日から、私は言葉を失った」。痛みを抱えて生きるとは、こういうことなのか。言葉に表せない苦しみを聞きとるには、こんなにも力がいるのか。おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。ベストセラー「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」から3年、身体に残った言葉を聞きとるようにして書かれたノンフィクション。
受賞者・上間陽子さん プロフィール
上間陽子(うえま・ようこ)さんは、1972年生まれ。沖縄県出身。琉球大学大学院教育学研究科教授。普天間基地の近くに住む。
1990年代から2014年にかけて東京で、以降は沖縄で未成年の少女たちの支援・調査に携わる。
2016年夏、うるま市の元海兵隊員・軍属による殺人事件をきっかけに沖縄の性暴力について書くことを決め、翌年『裸足で逃げる沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版)を刊行。2020年、『海をあげる』(筑摩書房)を刊行。
2021年10月には、10代で妊娠・出産した少女たちを支えるシェルター「おにわ」を沖縄でオープンした。
「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」について
ノンフィクション本大賞は、2018年にYahoo!ニュースと本屋大賞が創設。過去1年間に日本語で出版されているノンフィクション作品全般(新書、海外作品の翻訳本は除く)を対象に、全国の書店で働く書店員の投票で大賞を決定します。受賞者には、賞金(取材支援費)として100万円が贈られます。
選考は、一次投票で一人3作品を選んでコメント付きで投票、その集計結果、上位6作品をノミネート本として発表。二次投票はノミネート作品をすべて読んだ上で、全作品に感想コメントを書き、ベスト3に順位をつけて投票。二次投票の集計結果により大賞作品を決定します。
【参考】今回のノミネート作品
◎『あの夏の正解』(早見和真さん/新潮社)
◎『海をあげる』(上間陽子さん/筑摩書房)
◎『キツネ目 グリコ森永事件全真相』(岩瀬達哉さん/講談社)
◎『ゼロエフ』(古川日出男さん/講談社)
◎『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』(河野啓さん/集英社)
◎『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』(河合香織さん/岩波書店)
海をあげる 上間 陽子 (著) 「海が赤くにごった日から、私は言葉を失った」 生きていることが面倒くさい日々が私にあったことは、若い女の子の調査の仕事をしていると、どこかで役に立っているように思う。(……) 初出=webちくま(2019年4月~2020年3月) |
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