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ノンフィクション本大賞受賞探検家・角幡唯介さん『狩りの思考法』が刊行

角幡唯介さん著『狩りの思考法』

角幡唯介さん著『狩りの思考法』

『極夜行』でノンフィクション本大賞2018第45回大佛次郎賞を受賞した探検家・作家の角幡唯介さんによる、狩りと旅についての最新刊『狩りの思考法』が、清水弘文堂書房より10月29日に刊行されました。

 

いつもと同じ生活が、少しだけ違った景色に見えてくる

「現実は、とても残酷だ。でも現実は、とっても美しい。」

 
グリーンランドの世界最北の集落シオラパルクから、結氷した海峡を犬ぞりで渡る壮大な旅をしようとしていたのに、新型ウイルスのせいでカナダの入国許可が取り消され、旅ができなくなってしまった! 氷に囲まれた小さな村にいる間に、世界は一変してしまったらしい。

だが、感染症によってもたらされた明日をも知れない世界は、角幡唯介さんが探検によって求めてきた世界の姿と似たところがある――。

 
◆北極圏で生き抜いてきたイヌイットの知恵

シオラパルクのイヌイットは、農業ができない土地で、数千年ものあいだ狩猟による生活をつづけてきました。彼らと同じ生活をしてわかった、厳しい世界と向き合う方法。その秘密は、イヌイットが口癖のように言う「ナルホイヤ」という言葉に秘められていました。

この「ナルホイヤ」という言葉から、イヌイットが厳しい環境を生き抜いてきた知恵をうかがい知ることができます。

犬ぞりで氷原を走る角幡唯介さん  (c) Yusuke Kakuhata

犬ぞりで氷原を走る角幡唯介さん  (c) Yusuke Kakuhata

 
◆狩りと漂泊の旅

前時代のイヌイット猟師のように、食料をほとんど持たず犬ぞりで移動し、狩りの獲物だけを頼りに2カ月ものあいだ旅行をする。そこには、日本の都市での「安全な」暮らしとは対照的な世界が広がっています。

狩りとは、旅とは、生と死、偶然と運命とは――明日の食べものがあるかどうかもわからず、ときに野生動物に襲われかけながら、狩りと旅をした経験から、角幡唯介が考え、発見したことを、軽やかな筆致で語っています。

いつもと同じ生活が、少しだけ違った景色に見えてくる。そんな一冊です。

カヤックで海を進む角幡唯介さん  (c) Yusuke Kakuhata

カヤックで海を進む角幡唯介さん  (c) Yusuke Kakuhata

 

著者プロフィール

著者の角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)さんは、1976(昭和51)年生まれ。北海道出身。早稲田大学卒業。同大探検部OB。新聞記者を経て探検家・作家に。

チベット奥地にあるツアンポー峡谷を探検した記録『空白の五マイル』で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞。その後、北極で全滅した英国フランクリン探検隊の足跡を追った『アグルーカの行方』や、行方不明になった沖縄のマグロ漁船を追った『漂流』など、自身の冒険旅行と取材調査を融合した作品を発表する。

2018年には、太陽が昇らない北極の極夜を探検した『極夜行』でYahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞を受賞し話題となった。翌年、『極夜行』の準備活動をつづった『極夜行前』を刊行。2019年1月からグリーンランド最北の村シオラパルクで犬橇を開始し、毎年2カ月近くの長期旅行を継続している。

 
【主な著書】

『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』集英社(2010年)
 第8回開高健ノンフィクション賞/第42回大宅壮一ノンフィクション賞/第1回梅棹忠夫・山と探検文学賞

『雪男は向こうからやって来た』集英社(2011年)
 第31回新田次郎文学賞

『探検家、36歳の憂鬱』文藝春秋(2012年)

『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』集英社(2012年)
 第35回講談社ノンフィクション賞

『探検家の日々本本』幻冬舎(2015年)
 第69回毎日出版文化賞書評賞

『漂流』新潮社(2016年)

『探検家、40歳の事情』文藝春秋(2016年)

『極夜行』文藝春秋(2018年)
 Yahoo!ニュース | 本屋大賞2018年ノンフィクション本大賞/大佛次郎賞

『新・冒険論』集英社インターナショナル(2018年)

『極夜行前』文藝春秋(2019年)

『探検家とペネロペちゃん』幻冬舎(2019年)

『エベレストには登らない』小学館(2019年)

『そこにある山 結婚と冒険について』中央公論新社(2020年)

 

狩りの思考法 (アサヒ・エコ・ブックス)
角幡 唯介 (著)

『極夜行』が本屋大賞ノンフィクション本大賞に輝いた角幡唯介の最新作。

年間のおよそ半分をグリーンランド極北のイヌイットの村・シオラパルクで過ごし、伝統的な犬ぞり移動と狩猟による食料調達での漂泊旅行を積み重ねて実感した、厳しい自然や予測困難な未来、生と死に向き合う思考法をつづるエッセー。

 


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