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探検家・角幡唯介さん〈冒険登山ノンフィクション〉『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』が刊行

探検家・作家の角幡唯介さんによるはじめての国内冒険登山ノンフィクション『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』が新潮社より刊行されました。

 

探検家・角幡唯介の価値観を変えた、『極夜行』と対をなす冒険登山ノンフィクション『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』

これまで「脱システム」を掲げて冒険を続けてきた角幡唯介さんにとって、今回の日高山脈での「地図を持たない登山」は、冬の北極を歩いた『極夜行』と双璧をなす重要な旅となりました。

 
◆スマホの検索結果をたどるだけの日常で満足できるのか?

グルメサイトや地図アプリの検索結果をなぞるだけの日常で人生は満たされるのか?

情報と消費に覆われた現代社会に疑問を抱いた著者は、文明の衣を脱ぎ捨て大地と向き合うため、地図を持たずに日高の山に分け入ります。

 
◆百戦錬磨の探検家を打ちのめしたものとは?

満を持して乗り込んだ日高山脈でしたが、先が読めないことは、著者の精神に想像以上の重圧を与え続けます。

そして、目の当たりにしたのが高低差70mの大滝でした。普段なら、さまざま方法を駆使して「登れた」はずのその滝を、著者は「登れない」と瞬間的に判断して引き返します。先の地形がわからない心理的重圧のせいで、瞬間的に断念したのです。

その経験は、著者の胸の内に数年にわたって残り続けることになりました。

 
◆未来が読めない混沌の先に何を見つけたのか?

「地図なし登山」の過酷さに心を折られ、その試み自体を断念しようとした著者でしたが、最初の登山から3年の時を経て、再び日高の山に挑みます。

その行為の先に見えてきたのは、それまでとはまったく違う山の表情でした。
――探検家の価値観はどのように変容したのでしょうか。本書をご確認ください。

 
【本書の内容】

文明の衣を脱ぎ捨て、大地と向き合いたい――百戦錬磨の探検家は、地図を持たずに日高の山に挑む。だが、先の読めない恐怖に足がすくみ、「魔境」と化した山に打ちのめされる。前代未聞の冒険登山ノンフィクション。

 

角幡唯介さん コメント

前代未聞の登山記です。誰にも想像できない世界がここに描かれています。
情報がありすぎて息苦しいほどの世の中ですが、地図をもたずに山に登れば、そこは完全に情報の遮断された世界にかわります。
完璧に情報が失われると人はどれほどうろたえるのか。
自由と不安、矛盾する感情のなかで苦しみ、解放される。そんな登山だったと思います。

 

本書の構成

はじめに――よりよく生きるために私は地図を捨てた

第一章 旅立ちの記 <二〇一七年夏の記録 その一>

第二章 漂泊論~地図なし登山への道

第三章 裸の山に震え慄く <二〇一七年夏の記録 その二>

第四章 新しい道を見つける <二〇二〇年夏>

第五章 巨大な山に登る <二〇二一年夏>

第六章 ラストピークをめざす <二〇二二年夏>

あとがき

 

著者プロフィール

(c) 新潮社

(c) 新潮社

角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)さんは、1976年生まれ、北海道出身。探検家・作家。チベットのヤル・ツアンポー峡谷の単独探検や、極夜の北極探検など独創的な活動で知られる。近年はグリーンランドとカナダ・エルズミア島の地球最北部で狩りをしながら犬橇で旅をするエスキモースタイルの長期旅行を実践する。

2010年、チベット奥地にあるツアンポー峡谷を探検した記録『空白の五マイル』で開高健ノンフィクション賞、2011年同作で大宅壮一ノンフィクション賞、2012年『雪男は向こうからやって来た』 で新田次郎文学賞、2013年『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』で講談社ノンフィクション賞、2015年『探検家の日々本本』で毎日出版文化賞書評賞、2018年『極夜行』で本屋大賞ノンフィクション本大賞大佛次郎賞を受賞。

その他の著書に『狩りの思考法』、『裸の大地』第一部・第二部、『書くことの不純』など。

 

地図なき山:日高山脈49日漂泊行
角幡 唯介 (著)

地図がない――それだけで日高の山は「極夜」を超える「魔境」と化した。

グルメサイトや地図アプリの検索結果をなぞるだけの日常で生は満たされるのか。情報に覆われた現代社会に疑問を抱いた著者は、文明の衣を脱ぎ捨て大地と向き合うために、地図を持たずに日高の山に挑む。だが、百戦錬磨の探検家を待ち受けていたのは、想像を超える恐るべき混沌だった。前代未聞の冒険登山ノンフィクション。

 


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