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直木賞作家・安部龍太郎さんが初めて「太平洋戦争」に取り組んだ『特攻隊員と大刀洗飛行場―四人の証言』を刊行

安部龍太郎さん著『特攻隊員と大刀洗飛行場―四人の証言』

安部龍太郎さん著『特攻隊員と大刀洗飛行場―四人の証言』

安部龍太郎さん著『特攻隊員と大刀洗飛行場―四人の証言』(PHP新書)が、PHP研究所より刊行されました。

本書は、太平洋戦争当時、東洋一と謳われた大刀洗飛行場(福岡県)で青春の日々を送った4人を、直木賞作家・安部龍太郎さんが取材したものです。数多くの歴史小説を上梓してきた著者が、初めて「太平洋戦争」に取り組む意欲作です。

 

「東洋一」と謳われた大刀洗飛行場

かつて「東洋一」と謳われた大刀洗飛行場は大正8年(1919年)に完成した陸軍の飛行場で、航空第四中隊の基地とされました。

 
46万坪にも及ぶ広大な敷地には、長さ500メートル、幅200メートルという堂々たる滑走場が2本ありました。陸軍が大刀洗の地を選んだのは、中国大陸への中継基地が必要だったこと、敵の艦砲射撃の射程に入らない内陸部にあることなどの条件に合致していたからといわれます。

 
大正14年(1925年)4月には航空第四中隊に昇格し、定員150名を擁する日本最大の航空部隊の基地になります。その後、大刀洗飛行場には、陸軍飛行学校や技能者養成所が置かれます。国民学校を卒業したばかりの15歳の少年たちは、この地で速成され、ある者は整備兵として、そしてある者は特攻兵として、戦場へと送り出されていくのです。

 

直木賞作家・安部龍太郎氏が初めて「太平洋戦争」に挑む

著者:安部龍太郎さん(福岡県八女市、旧・黒木町出身)

著者:安部龍太郎さん(福岡県八女市、旧・黒木町出身)

本書は、大刀洗飛行場で青春の日々を過ごした4人の証言をもとに構成するノンフィクションです。当時、若者であった四人は、陸軍という組織にあって、決して上層部にいたわけではありませんが、それだからこそ後世に伝えていきたい貴重な証言を寄せています。

 
著者は、古代から近代まで、数多くの歴史小説を上梓してきた直木賞作家の安部龍太郎さん。福岡県八女市(旧・黒木町)に生まれ、久留米工業高等専門学校機械工学科で学んだ著者が、開戦80年の節目の年に、満を持して初めて「太平洋戦争」に取り組んだ意欲作です。

 

当時を語る貴重な証言を収録したノンフィクション

本書は、大刀洗平和記念館(福岡県朝倉郡筑前町)の協力により、次の4人を取材しています。

 
◆松隈嵩さん氏への取材――技術者たちの苦闘
久留米工専(現・久留米高専)出身で、1年生の時に学徒動員で九州飛行機に勤務。震電の製作にも関わる。昭和20年4月18日にB29が福岡県小郡市に墜落した時、現場を撮影した歴史的な一枚を残した。

 
◆信国常実さんへの取材――生き地獄を味わった整備士
技能者養成所でエンジンの整備の訓練を受け、フィリピンのクラーク飛行場(現クラーク国際空港)に配属された。密林での逃避行の末、九死に一生を得て現地で終戦を迎え、昭和20年12月に米国輸送船で帰国。

 
◆河野孝弘さんへの取材――陸軍の迷走と「さくら弾機事件」
技能者養成所で整備工の訓練を受け、大刀洗飛行場で任務に当たっている最中に、昭和20年3月27日の大空襲を経験。この日飛行場には、800キロの魚雷を装備した九八戦隊の飛龍など46機が出撃のために待機していたが、空襲のためにすべて破壊された。その後、北飛行場でも勤務し、特殊爆弾を搭載したさくら弾機の火災現場も目撃している。

 
◆末吉初男さんへの取材――特攻兵の届かなかった手紙
昭和18年(1943年)、16歳の時に少年飛行兵第15期生に合格。大刀洗陸軍飛行学校甘木生徒隊に入隊した。翌年、台湾の屛東(へいとう)飛行場(屛東県屛東市)に配属される。特攻訓練を受け、昭和20年4月28日に沖縄の海域に向けて出撃。四機編隊で向かったものの、航法士が同乗していた隊長機が故障したために、特攻用の爆弾を海に捨てて石垣島の飛行場に不時着した。

 
「いずれも戦争の修羅場をくぐり抜けた方々で、会って話を聞くのは、生涯を平和のうちに生きてきた者には恐れ多いほどだった」と著者は言います。

本書は、大刀洗飛行場を舞台に、「戦争の本質」を歴史に学ぶための貴重な証言が収録された一冊となっています。

 

著者プロフィール

著者の安部龍太郎(あべ・りゅうたろう)さんは、1955年生まれ。福岡県八女市(旧・黒木町)出身。久留米工業高等専門学校機械工学科卒業。東京都大田区役所勤務、図書館司書として働きながら小説を執筆。1990年『血の日本史』で作家デビュー。

2005年に『天馬、翔ける』で第11回中山義秀文学賞、2013年に『等伯』で第148回直木賞、2015年に福岡県文化賞、2020年に京都府文化賞を受賞。

著書に、『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『信長燃ゆ』『下天を謀る』『蒼き信長』『冬を待つ城』『維新の肖像』『宗麟の海』『迷宮の月』『太閤の城』『レオン氏郷』『家康』『信長はなぜ葬られたのか』など多数。

 

特攻隊員と大刀洗飛行場 四人の証言 (PHP新書)
安部 龍太郎 (著)

昭和20年(1945)3月、重要拠点ゆえにB29に爆撃され、壊滅的被害を受けた大刀洗飛行場(福岡県)。
大正8年(1919)に完成したこの飛行場は、その後、陸軍飛行学校や技能者養成所が置かれ、東洋一と謳われた。
国民学校を卒業したばかりの15歳の少年たちは、この地で即製され、ある者は整備兵として、そしてある者は特攻兵として戦場へと送り出されていったのである。
当時を知る者が数少なくなる中、大刀洗飛行場で若き日を送った4人に、直木賞作家・安部龍太郎が取材。
古代から近代まで、数多くの歴史小説を上梓してきた著者が、満を持して初めて「太平洋戦争」に取り組んだ。

 


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