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【第38回石橋湛山賞】千葉大学法政経学部教授・水島治郎さん『ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か』が受賞

第38回(2017年度)石橋湛山賞が、千葉大学法政経学部教授の水島治郎さんによる『ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か』(中央公論新社)に決定しました。

 

石橋湛山賞について

石橋湛山賞は、石橋湛山記念財団が、東洋経済新報社の元主幹で内閣総理大臣も務めた石橋湛山(いしばし・たんざん)を記念して、1980年に創設。東洋経済新報社と経済倶楽部が後援。

政治経済・国際関係・社会・文化などの領域で、その年度に発表された論文・著書の中から、石橋湛山の自由主義・民主主義・国際平和主義の思想の継承・発展に、最も貢献したと考えられる著作に贈られてます。

政界・経済界・学界・マスコミ関係者から寄せられた推薦論文・著書をもとに、財団理事・評議員による選考委員会が授賞候補を十数点に絞ります。この中から選考委員の奥村洋彦さん(学習院大学名誉教授)、叶芳和さん(経済評論家)、田中秀征さん(福山大学客員教授)、増田弘さん(立正大学法学部特任教授)、山縣裕一郎さん(東洋経済新報社 代表取締役社長) 各氏の合議を経て、最終選考委員会の場で決定します。

 

第38回石橋湛山賞 受賞作について

今回の受賞作は、全国の有識者から推薦された40を超える著作・論文の中から、千葉大学法政経学部教授・水島治郎さんの『ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か』が選ばれました。

ポピュリズムは日本では「大衆迎合主義」とも訳され、ともすれば自由と民主主義の脅威として非難されがちです。しかし、「現代デモクラシーを支える『リベラル』な価値、『デモクラシー』の原理を突きつめれば突きつめるほど、結果として、ポピュリズムを正統化することになる」と水島さんは言います。

オランダ政治史を専門とする水島さんは、ヨーロッパ、ラテンアメリカでのポピュリズムの誕生と発展を精緻に分析し、ポピュリズムが、政治から排除されてきた周縁的集団の政治参加を促進、政治革新をもたらしたプラス面を評価するとともに、排外主義や独裁政治につながりかねないマイナスの側面をも明らかにしました。

選考委員会では、「日本でも既存政治への不信が募るなか、ポピュリズム的現象と直面しつつあり、本書のもつ価値はきわめて高いものがある」と評価しています。

なお、授賞式は10月2日11時から、また記念講演(経済倶楽部主催)は11月10日13時から、東洋経済ビルで行われます。

 

水島治郎さん プロフィール

水島治郎(みずしま・じろう)さんは、1967年東京都生まれ。東京大学教養学部卒業、1999年、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。日本学術振興会特別研究員、甲南大学法学部助教授、千葉大学法経学部教授などを経て、現在、千葉大学法政経学部教授。専攻はオランダ政治史、ヨーロッパ政治史、比較政治。

著書に『戦後オランダの政治構造 ネオ・コーポラティズムと所得政策』(東京大学出版会)、第15回損保ジャパン記念財団賞受賞作『反転する福祉国家 オランダモデルの光と影』(岩波書店)、編著に『保守の比較政治学』(岩波書店)など。

 

ポピュリズムとは何か – 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書)
いま世界中でポピュリズムが猛威を振るっています。
「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義を蝕む悪しき存在と見なされがちなポピュリズム。しかし、ラテンアメリカでは少数のエリートによる支配から人民を解放する力となりました。
またヨーロッパでは、ポピュリズム政党の躍進が既成政党に緊張感を与え、その改革を促す効果も指摘されています。現代のポピュリズム政党は、リベラルな価値、民主主義のルールを前提としたうえで、既成政治を批判し、イスラム移民の排除を訴えており、ポピュリズムの理解は一筋縄ではいきません。
本書は各国のポピュリズム政党・政治家の姿を描き、「デモクラシーの影」ともいわれるその本質に迫ります。

 


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