3・11から10年!震災俳句の第一人者・照井翠さん新句集『泥天使』刊行 文庫新装版句集『龍宮』も同時発売!

照井翠さん新句集『泥天使』刊行 文庫新装版句集『龍宮』も同時発売!
震災俳句の第一人者・照井翠さんの新句集『泥天使』と文庫新装版句集『龍宮』が、コールサック社より2021年1月11日に刊行されます。
3・11の記憶を未来に引き継ぐ俳句集
照井翠さんの最新句集『泥天使』には、3・11の震災から10年間、忘れることの無い犠牲者への深い鎮魂の思いが詠まれています。
また、前句集『龍宮』は単行本発売の2013年、異例の若さで俳壇最高の賞である蛇笏賞の最終候補になり、様々なマスメディアでも取り上げられ、一世を風靡しました。
今回、絶版となっていた句集『龍宮』を文庫新装版として復刊。巻末に、小説家の池澤夏樹さん、玄侑宗久さんの解説を収録。小説家の視点から俳句初心者にも分かりやすく、震災文学としての照井翠の俳句の魅力が紹介されています。
◆文庫新装版句集『龍宮』池澤夏樹さん・玄侑宗久さんの帯文
「照井翠の、東北受難の句には強く惹かれるのだ。
この中のいくつかを多分ぼくは暗記してしまうだろう。」
(作家・池澤夏樹さん)
「照井翠は、一匹の龍なのだ。」
(作家・玄侑宗久さん)
句集『泥天使』&文庫新装版句集『龍宮』の俳句
『泥天使』より
三・一一死者に添ひ伏す泥天使
別々に流されて逢ふ天の川
蜩(かなかな)や海ひと粒の涙なる
人呑みて光の春となりにけり
三月を喪(うしな)ひつづく砂時計
『龍宮』より
喪へばうしなふほどに降る雪よ
双子なら同じ死顔桃の花
春の星こんなに人が死んだのか
寒昴(かんすばる)たれも誰かのただひとり
亡き娘(こ)らの真夜(まよ)来て遊ぶ雛まつり
著者プロフィール

照井翠さん
著者の照井翠(てるい・みどり)さんは、昭和37年、岩手県花巻市生まれ。平成2年「寒雷」入会。以後、加藤楸邨さんに師事。「草笛」入会。平成5年「草笛」同人。平成14年に第20回現代俳句新人賞、平成15年に遠野市教育文化特別奨励賞を受賞。
東日本大震災発生当時、著者は岩手県釜石市の高校教師だった。被災して避難所となった体育館で高校生らと避難生活をしながら詠んだ俳句などをまとめた第5句集『龍宮』で平成25年に第12回俳句四季大賞および第68回現代俳句協会賞特別賞を受賞。また同作で俳壇最高の賞「第47回蛇笏賞」の候補に。令和元年、エッセイ集『釜石の風』により第15回日本詩歌句随筆評論大賞・随筆評論部門奨励賞を受賞。
著書に句集『針の峰』『水恋宮』『翡翠楼』『雪浄土』など。
泥天使 照井 翠 (著, 写真) 震災句集『龍宮』で一世風靡した俳人が 満を持して送り出す、慟哭と祈りの鎮魂句集! (帯文より) |
文庫新装版 龍宮 照井 翠 (著, 写真) 解説 池澤夏樹、玄侑宗久 激賞! |
■『泥天使』『龍宮』と連なる照井翠さんの震災三部作の一つ、エッセイ集『釜石の風』(2019年刊)も発売中
※被災体験、震災俳句が出来たエピソードなどがつづられた、著者初のエッセイ集です。
釜石の風 照井 翠 (著) 東日本大震災時、著者は岩手県釜石市の高校教師だった。悲惨な震災体験が詠われた句集『龍宮』は、蛇笏賞候補になり一世風靡した。震災で傷ついた人々の心に響いた俳句は、いかにして生まれたのか。犠牲者への鎮魂の祈り、被災地が立ち上がろうとする心の現場が描かれる。 俳句誌「藍生」に連載の「釜石の風」60篇、新聞・雑誌に発表したエッセイ、講演録などをまとめた初のエッセイ集。 |
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