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没後10年記念出版『この世の息 歌人・河野裕子論』刊行 河野裕子さんのもとで歌を学んだ最後の歌人による“河野短歌”の真髄に迫る論考集

大森静佳さん著『この世の息 歌人・河野裕子論』

大森静佳さん著『この世の息 歌人・河野裕子論』

大森静佳さん著『この世の息 歌人・河野裕子論』が、角川文化振興財団より刊行されました。

 

没後十年、今も愛され続ける河野裕子さんが残した十五冊の歌集を読み解く論考

2010年に64歳で亡くなった、現代短歌を代表する歌人・河野裕子さんはその生涯において15冊の歌集を残しました。

 
本書では、いまだに愛され続ける河野さんのもとで歌を学んだ最後の歌人である大森静佳さんが、15冊の歌集を丁寧に読み込み、自在に変化してゆく詠風と変わらぬ歌への強い愛情、そして歌に懸けた強い意志に迫った論考を纏め上げています。

 
手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が
(『蝉声』より)

 
(本文より)
死の前日、夫の永田和宏が書きとめた遺作五首「手をのべて」…(略)…
遺作にもやはり河野らしい肉感的な表現が見られる。「手をのべて」の歌は最後の一首となった。いい歌だと思う。「この世の息」という言い方の、これ以上ない切なさ。…(略)…
最後の歌となった「手をのべて」の一首が豊かに象徴するように、『?声』はやはり相聞の歌集であった。この世に残る夫に、ひたすら呼びかける歌の数々。感情の芯だけを裸のまま三十一文字にしたような趣で、死に近づくにつれいっそう透明になり、結晶のように純度を増してゆく。

 

本書の目次

第一章 『森のやうに獣のやうに』
一、はじめに──「たとへば君」に願われたもの
二、自分を見つめる
三、死児への思いと幻想
四、「われら」の相聞歌

第二章 『ひるがほ』『桜森』
一、はじめに──土俗と古典の時代
二、「いのちを見つめる」の意義
三、母性の深化(I)
四、母性の深化(II)
五、自意識の息苦しさ

第三章 『はやりを』『紅』
一、はじめに──中期河野の曙
二、「味はふ」ことへの意志
三、身体感覚の行方──渡米前後
四、ヒロインを降りて──日常と諧謔
五、日常の向こう岸

第四章 『歳月』『体力』『家』
一、はじめに──歌集タイトルの重さ
二、「家」のかたちの変化
三、歳月と死の遠近感
四、口語がもたらしたもの──表現の拡張
五、呼吸する世界の入れ子構造

第五章 『歩く』『日付のある歌』『季の栞』『庭』
一、はじめに──歌集に対する気持ちの変化
二、一人のこの世
三、『日付のある歌』と病を詠う口語
四、没入感覚の変容
五、受動性のゆたかさ
六、対話の文体──字余りを中心に

第六章 『母系』『葦舟』『蝉声』
一、はじめに──母の死のむこうに
二、自然や植物に託されたもの
三、読み手を巻き込む肉声と口語
四、相聞歌集としての『蝉声』

特別論考「この世のからだ」
年譜
あとがき

 

河野裕子さん プロフィール

河野裕子(かわの・ゆうこ)さんは、1946年生まれ、2010年8月12日没。

1969年「桜花の記憶」で第15回角川短歌賞を受賞。歌集『ひるがほ』で第21回現代歌人協会賞、歌集『歩く』で第6回若山牧水賞、歌集『母系』で第20回斎藤茂吉短歌文学賞、第43回迢空賞を受賞。

 

著者プロフィール

著者の大森静佳(おおもり・しずか)さんは、1989年、岡山県生まれ。高校から短歌をはじめ、高校3年時に毎日歌壇賞を受賞。京都大学進学後、京都大学短歌会に入会、のちに代表を務める。

大学在学中の2010年に作品「硝子の駒」50首で第56回角川短歌賞を受賞。2013年、第1歌集『てのひらを燃やす』を刊行、第39回現代歌人集会賞を受賞。2014年、同歌集で第20回日本歌人クラブ新人賞、第58回現代歌人協会賞を受賞。2019年、第2歌集『カミーユ』で第12回日本一行詩大賞を受賞。

 

この世の息 歌人・河野裕子論 (塔21世紀叢書)
大森 静佳 (著)

河野裕子のもとで歌を学んだ最後の歌人・大森静佳が、六十四年の生涯に残した河野の十五冊の歌集を丁寧に読み込み、自在に変化してゆく詠風と、変わらぬ歌への強い愛情、そして歌に懸けた強い意志に迫った論考集。没後十年記念出版。

 


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