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柳美里さん全米図書賞受賞作『JR上野駅公園口』河出文庫版が5万部増刷へ

柳美里さん (c)大森克己

柳美里さん (c)大森克己

今年で第71回を迎えるアメリカで最も権威のある文学賞である全米図書賞が11月18日(現地時間・日本時間19日午前)に発表され、柳美里さん著『JR上野駅公園口』(河出書房新社)の英語版『Tokyo Ueno Station』(訳:モーガン・ジャイルズさん)が翻訳文学部門を受賞しました。

 
1967年から1983年まで設けられていた翻訳部門では、1982年に樋口一葉著『たけくらべ』(訳:ロバート・L・ダンリーさん)、『万葉集』(訳:リービ英雄さん)が受賞。2018年に新設された翻訳文学部門では、多和田葉子さん著『献灯使』の英語版 『The Emissary』(訳:マーガレット満谷さん)が日本の文学作品として36年ぶりの受賞となりました。今回の受賞はこれに続く快挙となります。

 
『JR上野駅公園口』を刊行する河出書房新社は、今回の受賞を受け、河出文庫『JR上野駅公園口』(2017年2月刊)の5万部の重版を決定、11月30日の重版出来を予定しています。

 

柳美里さん受賞コメント

「とても、うれしいです。
『Tokyo Ueno Station』を、日本語から英語に翻訳したのは、モーガン・ジャイルズです。
いま、モーガンと並んで、授賞式会場にいられないことが残念です。
いま、ここに、モーガンがいたら、ハイタッチをして、抱き合うのに……。

わたしが暮らしている場所は、日本の福島県南相馬市です。
2011年3月に爆発事故を起こした原発から16キロ地点の旧警戒区域で、わたしは、本屋を営みながら小説を書いています。

『Tokyo Ueno Station』は、南相馬市出身の男性が主人公で、会話は、ほぼ全てこの地方の方言で書いています。
日本の標準語ではないのです。
翻訳の難易度が極めて高い作品です。
しかも、『Tokyo Ueno Station』は、モーガンが初めて訳した長篇小説です。
わたしは、モーガンを、讃えたい。
話したいこと、感謝を伝えたい人はたくさんいますが、モーガン、ありがとう!

そして、地震と津波と原発事故に遭い、苦難の道を歩んでいる福島県の南相馬市の住民たちと、この喜びを分かち合いたいと思います。」

――柳美里さん(@yu_miri_0622 )2020年11月19日Twitterより

 

モーガン・ジャイルズさん受賞コメント

「柳美里と私が全米図書賞翻訳文学部門を受賞したことを大変光栄に思います。
夢が実現したことを、福島の人々、ホームレスを経験している人々と共有したいと思います。
彼らの物語を届けるために、小さな役割が果たせたことを光栄に思っています。」

――モーガン・ジャイルズ(Morgan Giles)さん(@wrongsreversed)2020年11月19日Twitterより

 

『JR上野駅公園口』について

『JR上野駅公園口』(河出文庫)

『JR上野駅公園口』(河出文庫)

<あらすじ>
1933年、私は「天皇」と同じ日に生まれた――。

東京オリンピックの前年、男は出稼ぎのために上野駅に降り立った。そして男は彷徨い続ける、生者と死者が共存するこの国を。

高度経済成長の中、その象徴ともいえる「上野」を舞台に、福島県相馬郡(現・南相馬市)出身の一人の男の生涯を通じて描かれる死者への祈り、そして、日本の光と闇……。

「居場所を失くしたすべての人たち」へ贈る、魂の物語。

 

著者プロフィール

著者の柳美里(ゆう・みり)さんは、1968年生まれ。高校中退後「東京キッドブラザース」に入団。役者、演出助手を経て、1986年に演劇ユニット「青春五月党」を結成。

1993年『魚の祭』で岸田戯曲賞、1997年『家族シネマ』で芥川賞を受賞。2000年以降「山手線」をテーマにした『グッドバイ・ママ』『まちあわせ』『JR上野駅公園口』を刊行。2016年刊『ねこのおうち』は読者の感動を呼び、話題作となった。「国家とは何か?」という問題に挑んだエッセイ集『国家への道順』、南相馬を舞台にした戯曲『町の形見』、山折哲雄さんとの対談集『沈黙の作法』他、著書多数。

2018年には福島県南相馬市に書店「フルハウス」を開業、自ら店長を務める。

★柳美里さんオフィシャルサイト:http://yu-miri.com/

 

『Tokyo Ueno Station』訳者:モーガン・ジャイルズさん プロフィール

訳者のモーガン・ジャイルズ(Morgan Giles)さんは、翻訳家、書評家。

米国ケンタッキー州出身。インディアナ大学日本語科卒業。ロンドン在住。

 

JR上野駅公園口 (河出文庫)
柳 美里 (著)

東京オリンピックの前年、出稼ぎのため上野駅に降り立った男の壮絶な生涯を通じ柳美里が描く、居場所を失くしたすべての人へ贈る物語

一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれた―東京オリンピックの前年、男は出稼ぎのために上野駅に降り立った。そして男は彷徨い続ける、生者と死者が共存するこの国を。高度経済成長期の中、その象徴ともいえる「上野」を舞台に、福島県相馬郡(現・南相馬市)出身の一人の男の生涯を通じて描かれる死者への祈り、そして日本の光と闇…。「帰る場所を失くしてしまったすべての人たち」へ柳美里が贈る傑作小説。

【英語版】https://amzn.to/3iGbEfQ

 


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