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第157回(平成29年上半期)芥川賞&直木賞が決定 芥川賞は沼田真佑さん『影裏』、直木賞は佐藤正午さん『月の満ち欠け』

第157回芥川龍之介賞および直木三十五賞の選考委員会がともに、7月19日午後5時より築地の料亭「新喜楽」で開催され、芥川賞は沼田真佑さんの『影裏(えいり)』に、直木賞は佐藤正午さんの『月の満ち欠け』に決定しました。

 

【芥川賞】沼田真佑さんの『影裏』

芥川賞は下記候補作品の中から、沼田真佑さんの『影裏(えいり)』に決定しました。

沼田真佑さんは、1978年北海道小樽市生まれ。岩手県在住。西南学院大学卒。2017年に今回の受賞作『影裏』で第122回文學界新人賞を受賞。芥川賞は、初ノミネートでの受賞となりました。ちなみに、岩手県初の芥川賞受賞者でもあります。

 
【芥川賞 候補作】〔敬称略〕
今村夏子(いまむら・なつこ)『星の子』(小説トリッパー 春号 掲載)
温又柔(おん・ゆうじゅう)『真ん中の子どもたち』(すばる 4月号 掲載)
沼田真佑(ぬまた・しんすけ)『影裏(えいり)』(文學界 5月号 掲載)
古川真人(ふるかわ・まこと)『四時過ぎの船』(新潮 6月号 掲載)

 
なお、受賞作『影裏』は『文藝春秋』9月号に全文が掲載されます。

 

影裏
大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。交差する追憶と現実。

東日本大震災6年目だからこそ生まれた、繊細な喪失の物語。

 

【直木賞】佐藤正午さん『月の満ち欠け』

直木賞は下記候補作品の中から、佐藤正午さん『月の満ち欠け』に決定しました。

佐藤正午さんは、1955年長崎県佐世保市生まれ。北海道大学文学部中退。1983年に『永遠の1/2』で第7回すばる文学賞を受賞。同作品でデビュー。2014年刊行の『鳩の撃退法』で第6回山田風太郎賞を受賞。直木賞は初のノミネートでの受賞となりました。

ちなみに、出版元の岩波書店にとっても初の直木賞受賞作品となりました(芥川賞も未受賞)。

 
【直木賞 候補作】〔敬称略〕
木下昌輝(きのした・まさき)『敵の名は、宮本武蔵』(KADOKAWA)
佐藤巖太郎(さとう・がんたろう)『会津執権の栄誉』(文藝春秋)
佐藤正午(さとう・しょうご)『月の満ち欠け』(岩波書店)
宮内悠介(みやうち・ゆうすけ)『あとは野となれ大和撫子』(KADOKAWA)
柚木麻子(ゆずき・あさこ)『BUTTER』(新潮社)

 
なお、受賞作『月の満ち欠け』は『オール讀物』9月号に作品の一部が掲載されます。

 

月の満ち欠け
新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし
あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。この数奇なる愛の軌跡よ! さまよえる魂の物語は、戦慄と落涙、衝撃のラストへ。

 

芥川賞および直木賞について

芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。

芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます。

 
【関連】
芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会
芥川賞&直木賞(平成29年上半期) 候補作が決定 | 本のページ

芥川賞に沼田真佑さん 直木賞に佐藤正午さん | NHKニュース・・・受賞者の会見と選考委員のコメント。動画もあり。

 


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