【第163回芥川賞&直木賞】芥川賞に高山羽根子さん「首里の馬」と遠野遥さん「破局」、直木賞は馳星周さん『少年と犬』

第163回芥川賞&直木賞が決定!
第163回芥川龍之介賞および直木三十五賞の選考委員会がともに、7月15日午後2時より都内で開催され、それぞれ受賞作が決定しました。
芥川賞は高山羽根子さんが3度目、遠野遥さんが初のノミネートで受賞!
第163回芥川賞は、下記候補作の中から高山羽根子さんの「首里の馬」(『新潮』3月号)と遠野遥さんの「破局」(『文藝』夏季号)が受賞作に決定しました。
高山羽根子さんは、1975年富山県生まれ、神奈川県育ち。多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。2009年「うどん キツネつきの」で第1回創元SF短編賞佳作を受賞しデビュー。2016年『太陽の側の島』で第2回林芙美子文学賞を受賞。芥川賞は第160回に『居た場所』で、第161回に『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』で候補となり、今回で3度目のノミネート。
遠野遥さんは、1991年生まれ。神奈川県出身。慶應義塾大学法学部卒業。2019年「改良」で文藝賞を受賞しデビュー。今回が初のノミネートでした。
選考委員は、小川洋子さん、奥泉光さん、川上弘美さん、島田雅彦さん、平野啓一郎さん、堀江敏幸さん、松浦寿輝さん、山田詠美さん、吉田修一さん。
【芥川賞 候補作】
◎石原燃さん 「赤い砂を蹴る」(『文學界』6月号)
◎岡本学さん 「アウア・エイジ(Our Age)」(『群像』2月号)
◎高山羽根子さん「首里の馬」(『新潮』3月号)
◎遠野遥さん 「破局」(『文藝』夏季号)
◎三木三奈さん 「アキちゃん」(『文學界』5月号)
直木賞は馳星周さんが7度目のノミネートで受賞!
第163回直木賞は、下記候補作の中から馳星周さんの『少年と犬』(文藝春秋)が受賞作に決定しました。
馳星周さんは、1965年生まれ。北海道出身。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターに。1996年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で吉川英治文学新人賞、1998年『鎮魂歌(レクイエム) 不夜城 II』で日本推理作家協会賞、1999年『漂流街』で大藪春彦賞を受賞。直木賞は今回で7度目のノミネート。
選考委員は、浅田次郎さん、伊集院静さん、角田光代さん、北方謙三さん、桐野夏生さん、高村薫さん、林真理子さん、三浦しをんさん、宮部みゆきさん。
【直木賞 候補作】
◎伊吹有喜さん『雲を紡ぐ』(文藝春秋)
◎今村翔吾さん『じんかん』(講談社)
◎澤田瞳子さん『能楽ものがたり 稚児桜(ちござくら)』(淡交社)
◎遠田潤子さん『銀花の蔵』(新潮社)
◎馳星周さん 『少年と犬』(文藝春秋)
芥川賞と直木賞について
芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。
芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます。
首里の馬 高山 羽根子 (著) この島のできる限りの情報が、いつか全世界の真実と接続するように。沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。中学生の頃から資料の整理を手伝っている未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいるひとたちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬が庭に迷いこんできて……。世界が変貌し続ける今、しずかな祈りが切実に胸にせまる感動作。 |
破局 遠野 遥 (著) 私を阻むものは、私自身にほかならない。 |
少年と犬 馳 星周 (著) 傷つき、悩み、惑う人びとに寄り添っていたのは、一匹の犬だった――。 2011年秋、仙台。震災で職を失った和正は、認知症の母とその母を介護する姉の生活を支えようと、犯罪まがいの仕事をしていた。ある日和正は、コンビニで、ガリガリに痩せた野良犬を拾う。多聞という名らしいその犬は賢く、和正はすぐに魅了された。その直後、和正はさらにギャラのいい窃盗団の運転手役の仕事を依頼され、金のために引き受けることに。そして多聞を同行させると仕事はうまくいき、多聞は和正の「守り神」になった。だが、多聞はいつもなぜか南の方角に顔を向けていた。多聞は何を求め、どこに行こうとしているのか…… 犬を愛するすべての人に捧げる感涙作! |
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