海堂尊さん×ココリコ・田中直樹さんが11年ぶりの〈バチスタ〉対談
KADOKAWAは、新作『氷獄』の刊行を記念して、著者・海堂尊さんとココリコ・田中直樹さんによる対談を文芸情報サイト「カドブン」にて公開しました。
「田中さんにまたお目にかかりたくてこの物語を書いたんです(笑)」
海堂尊さんのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』が刊行されたのは2006年。本作から始まった<桜宮サーガ>シリーズは2015年にいったん閉じられましたが、今回、その中では描かれなかった物語が4作収録された作品集『氷獄』が刊行されました。
表題作はなんと『チーム・バチスタの栄光』のキーパーソン、麻酔医の氷室貢一郎(ひむろ・こういちろう)の<その後>を描いた物語。
2008年に公開された映画『チーム・バチスタの栄光』で氷室役を演じた、ココリコの田中直樹さんとのスペシャル対談が実現。映画の思い出、氷室に対する思い、今回の『氷獄』について、海堂さんと存分に語っています。
<以下、対談の冒頭を一部抜粋>
──お二人は2008年公開の映画『チーム・バチスタの栄光』のときにお会いになっているんですよね。
海堂:もう10年以上前なんですね。
田中:最後にお会いしたのは舞台挨拶でしたね。
海堂:田中さんが舞台挨拶でおっしゃった言葉でよく覚えているのは「麻酔医という仕事は本当に大変なので、みなさん、そのことを考えてください」とおっしゃっていたことです。おっしゃいましたよね。
田中:はい。言いました。
海堂:本当にこの方は麻酔医になってるんだなあ、と。
田中:先生とお会いしたのは撮影のときと舞台挨拶の数回、短時間でしたが、麻酔科の先生の少なさをうかがいました。それが自分の中で印象深かったんですね。患者を救う医師を救ってください、と先生がおっしゃっていたことをよく覚えています。僕が演じた氷室も麻酔医として1日に何件も手術を掛け持ちしている。忙しいスケジュールの中で仕事をしているということが心に残っていました。
海堂:麻酔科の先生ともお話しされたんですか。
田中:ええ。撮影に入る前に、撮影チームで手術の現場を勉強させていただく機会がありました。患者さんの許可をとって。目の前で手術が行われる現場を初めて見ました。意外だったのはみなさん、すごく落ち着いていたこと。イメージとしては、一分一秒を争うような慌ただしい現場じゃないかと思っていたので。もちろんそういう現場もあるでしょうけど。
海堂:慌ただしいのは映画やドラマの中だけですね。緊急手術のときでも、決してドタバタはしませんよ。「血を持ってこーい!」とかはないですね(笑)。
田中:すごく冷静に行われているんだな、とびっくりしたと同時に、安心したのを覚えています。たとえば、自分が手術を受けるときにもお医者さんたちは平常心なんだなと思うと。
海堂:田中さんのようにいろいろな場所で発信できる方に、医療現場のことを理解してもらえるのはありがたいことです。だからこそ、舞台挨拶のときに「麻酔医は大変なんです」とおっしゃっていただいたことは嬉しかった。
田中:僕は先生が、すごく優しく声をかけてくださって、いろんなお話をしてくださったことが印象に残っています。小説が扱っているシリアスなテーマとはまた異なる印象でした。物腰がやわらかく、温かい方なんだなと。
海堂:とくに田中さんには気を遣ったんです。登場人物の中でも氷室貢一郎という一番の問題児を演じていただいたわけですから。
田中:問題児。たしかにそうですね。
海堂:この人は怒らせちゃいけないな、という役ですから(笑)。そういう難しい役をきちんと演じていただいて感謝しています。
この続きは、「カドブン」でご覧ください。
★前編:https://kadobun.jp/talks/102/636e4882
★後編:https://kadobun.jp/talks/103/88789d6e
<対談>取材・文:タカザワケンジさん、撮影:橋本龍二さん
なお、「カドブン」(https://kadobun.jp/)では『氷獄』の試し読みも掲載中です。
★試し読み第1回:https://kadobun.jp/readings/870/3d13a952
対談者プロフィール
■海堂尊(かいどう・たける)さん
1961年生まれ。千葉県出身。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』で2006年デビュー。
著書に『ジェネラル・ルージュの凱旋』『ケルベロスの肖像』『螺鈿迷宮』『輝天炎上』『モルフェウスの領域』など多数。近刊に『フィデル誕生 ポーラースター3』(文春文庫)、『氷獄』(KADOKAWA)など。
2008年、『死因不明社会』で第3回科学ジャーナリスト賞を受賞。
■田中直樹(たなか・なおき)さん
1971年生まれ。大阪府出身。1992年に遠藤章造さんとお笑いコンビ「ココリコ」を結成し、以後さまざまなバラエティ番組で活躍。
MCやパーソナリティーとしても注目を集めるほか、俳優としても数多くの映画やドラマで存在感のある役を演じてきた。映画『みんなのいえ』で、第25回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
『氷獄』について
<あらすじ>
「私が絞首台に吊されるその時、日本の正義は亡びるのです」
新人弁護士・日高正義が初めて担当する事件は、2年前、手術室での連続殺人として世を震撼させた「バチスタ・スキャンダル」だった。被疑者の黙秘に苦戦し、死刑に追い込めない検察。弁護をも拒み続ける被疑者に日高正義は、ある提案を持ち掛けた。こうして2人は、被疑者の死刑と引き換えに、それぞれの戦いを開始する――(「氷獄」)。
『チーム・バチスタの栄光』のその後を描いた表題作を含む、全4篇。
「桜宮サーガ」、待望の最新作。田口・白鳥も登場!
<初出>
◎「双生」:『小説 野性時代』2015年3月号(「鉄仮面の微笑」を改題)
◎「星宿」:『小説 野性時代』2017年5月号(「オレンジの星座」を改題)
◎「黎明」:『小説 野性時代』2018年5月号(「絶望の海、希望の星」を改題)
◎「氷獄」:『小説 野性時代』2019年5月号
※本作品集は上記の作品を改稿の上、書籍化したものです。
「カドブン」について
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氷獄 海堂 尊 (著) バチスタ裁判、開廷。検察組織にメスを入れる、医療×司法エンタメ! 手術室で行われた前代未聞の連続殺人「バチスタ・スキャンダル」。 医療と司法の正義を問う、リーガル×メディカル・エンタテインメント! |
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