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【訃報】芥川賞作家・田辺聖子さんが死去 『姥ざかり』『新源氏物語』『ジョゼと虎と魚たち』など

「おせいさん」の愛称で親しまれた、作家の田辺聖子(たなべ・せいこ)さんが6月6日、胆管炎のため神戸市内の病院で死去しました。91歳。大阪出身。葬儀は親族で済ませており、後日、東京と大阪でお別れの会を開く予定。

 
田辺聖子さんは、1928年生まれ。樟蔭女子専門学校(現・大坂樟蔭女子大学)卒業。1957年に雑誌『婦人生活』の懸賞小説で佳作となった「花狩(はなかり)」が翌年単行本化され、デビュー。

1956年『虹』で大阪市民文芸賞、1964年『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)』で芥川賞、1987年『花衣ぬぐやまつわる……』で女流文学賞、1993年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、1994年に菊池寛賞、1998年『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花賞と読売文学賞、2003年『姥ざかり花の旅笠』で蓮如賞、2007年に朝日賞を受賞。1995年に紫綬褒章、2008年に文化勲章を受章。2000年に文化功労者。1987から2005年まで直木賞の選考委員。

 
『猫も杓子も』『私の大阪八景』『求婚旅行』『すべってころんで』『苺をつぶしながら』『言い寄る』『恋する罪びと』『姥ざかり』『一葉の恋』、開業医の夫・故川野純夫さんが登場する「カモカのおっちゃん」シリーズなど、小説・エッセイを多数執筆。古典の紹介や現代語訳でも活躍し、源氏物語を現代語で書き換えた『新源氏物語』なども発表。

なお、2006年には田辺さんをモデルにしたNHK連続テレビ小説『芋たこなんきん』が藤山直美さん主演で放送されています。また、『ジョゼと虎と魚たち』が2003年に妻夫木聡さん、池脇千鶴さん主演で映画化されました。

 

姥ざかり (新潮文庫)
田辺 聖子 (著)

忙しくも楽しい老境の日々。こんなお婆さんにわたしもなりたい。歌子さん76歳、毎日が花ざかり。
京マチ子主演でテレビドラマ化もされた、著者の大人気シリーズ。

娘ざかり、女ざかりを過ぎてもオンナには、輝く季節が待っている――
何故シルバーシートは片隅にしかないのか、年寄りらしく生きよ、気がねをせよとは何ごとぞ、わび、さび、枯淡の境地などマッピラゴメン、若いもんに煙たがられようとも言いたい放題、やりたい放題、姥よ、今こそ遠慮なく生きよう! 胸をはり、誰はばかることなく己が道を行く76歳歌子サンの姥ざかり。

新源氏物語(上) (新潮文庫)
田辺 聖子 (著)

現代のヒーローとして甦った“光る君”。平安の宮廷で華麗に繰り広げられた光源氏の愛と葛藤の物語を、新鮮な感覚で“現代”のよみものとして描いた大ロマン長編―比類ない美貌と知性、そして高貴な身分を持つ源氏は、至福の愛を求めて、許されぬ恋、苦しい恋を重ねる…。上巻には、「眠られぬ夏の夜の空蝉の巻」より「佗びぬればはかなき恋に澪標の巻」までを収める。

言い寄る (講談社文庫)
田辺 聖子 (著)

160万人が愛した女主人公(ヒロイン)乃里子が帰って来た! 乃里子、31歳。フリーのデザイナー、画家。自由な1人暮らし。金持ちの色男・剛、趣味人の渋い中年男・水野など、いい男たちに言い寄られ、恋も仕事も楽しんでいる。しかし、痛いくらい愛してる五郎にだけは、どうしても言い寄れない……。乃里子フリークが続出した、田辺恋愛小説の最高傑作。

 


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