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【2023年本屋大賞】凪良ゆうさん『汝、星のごとく』が受賞

「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本」を決める「2023年本屋大賞」の受賞作が決定しました。

 

2020年に続き2度目の受賞!凪良ゆうさん『汝、星のごとく』が大賞

2023年本屋大賞では、一次投票には全国の471書店より書店員615人、二次投票では333書店、書店員422人がノミネート作品をすべて読んだ上でベスト3を推薦理由とともに投票しました。順位は次の通りです。

 
【ノミネート作品 順位】

大賞:凪良ゆうさん『汝、星のごとく』(講談社)

『汝、星のごとく』

『汝、星のごとく』

2位:安壇美緒さん『ラブカは静かに弓を持つ』(集英社)

3位:一穂ミチさん『光のとこにいてね』(文藝春秋)

4位:呉勝浩さん『爆弾』(講談社)

5位:青山美智子さん『月の立つ林で』(ポプラ社)

6位:小川哲さん『君のクイズ』(朝日新聞出版)

7位:夕木春央さん『方舟』(講談社)

8位:町田そのこさん『宙ごはん』(小学館)

9位:寺地はるなさん『川のほとりに立つ者は』(双葉社)

10位:結城真一郎さん『#真相をお話しします』(新潮社)

 
大賞を受賞した凪良ゆう(なぎら・ゆう)さんは、2006年にBL作品にてデビューし、代表作に2022年に連続TVドラマ化された「美しい彼」シリーズなど作品多数。2017年非BL作品である『神さまのビオトープ』(講談社タイガ)を刊行。2019年に『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。2020年『流浪の月』で本屋大賞を受賞。同作は2022年5月に実写映画化。2020年刊行の『滅びの前のシャングリラ』は2年連続本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」で第1位。今回の大賞受賞作『汝、星のごとく』は約2年ぶり長編小説で、2022年12月に「キノベス!2023」で第1位を獲得。京都市在住。

 
<『汝、星のごとく』あらすじ>

その愛は、あまりにも切ない。
正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。
本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の心の奥深くに響く最高傑作。

 
――わたしは愛する男のために人生を誤りたい。

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

――まともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。

 

翻訳小説部門はクリス・ウィタカーさん『われら闇より天を見る』が受賞!

2023年本屋大賞の翻訳小説部門の結果は次の通りです。

 
1位:クリス・ウィタカーさん『われら闇より天を見る』(訳:鈴木恵さん/早川書房)

2位:ソン・ウォンピョンさん『プリズム』(訳:矢島暁子さん/祥伝社)

3位:キム・リゲットさん『グレイス・イヤー 少女たちの聖域』(訳:堀江里美さん/早川書房)

 
翻訳小説部門で第1位となった『われら闇より天を見る』の著者・クリス・ウィタカーさんは、ロンドン出身。フィナンシャル・トレーダーを経て、2016年に『消えた子供 トールオークスの秘密』で作家デビュー、翌年の英国推理作家協会賞最優秀新人賞を受賞。2021年に本書『われら闇より天を見る』で英国推理作家協会賞最優秀長篇賞(ゴールドダガー賞)を受賞。

 
<『われら闇より天を見る』あらすじ>

「それが、ここに流れてるあたしたちの血。あたしたちは無法者なの」

アメリカ、カリフォルニア州。海沿いの町ケープ・ヘイヴン。30年前にひとりの少女命を落とした事件は、いまなお町に暗い影を落としている。
自称無法者の少女ダッチェスは、30年前の事件から立ち直れずにいる母親と、まだ幼い弟とともに世の理不尽に抗いながら懸命に日々を送っていた。
町の警察署長ウォークは、かつての事件で親友のヴィンセントが逮捕されるに至った証言をいまだに悔いており、過去に囚われたまま生きていた。
彼らの町に刑期を終えたヴィンセントが帰ってくる。
彼の帰還はかりそめの平穏を乱し、ダッチェスとウォークを巻き込んでいく。そして、新たな悲劇が……。苛烈な運命に翻弄されながらも、 彼女たちがたどり着いたあまりにも哀しい真相とは――?

人生の闇の中に差す一条の光を描いた英国推理作家協会賞最優秀長篇賞受賞作。

 

発掘部門「超発掘本!」は田辺聖子さん『おちくぼ姫』に決定!

本屋大賞「発掘部門」〈超発掘本!〉は、「ジャンルを問わず、2021年11月30日以前に刊行された作品のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと思う本をエントリー書店員が一人1冊選び、さらにその中から、これは!と共感した1冊を実行委員会が選出し〈超発掘本!〉として発表」されるものです。

 

今回、田辺聖子さんが若い読者のために現代訳した、田辺流〈王朝版シンデレラ〉『おちくぼ姫』(角川文庫)が〈超発掘本!〉に選出されました。

受賞者の田辺聖子(たなべ・せいこ)さんは、1928年生まれ、大阪出身。樟蔭女専国文科卒業。1964年『感傷旅行』で芥川賞、1987年『花衣ぬぐやまつわる……』で女流文学賞、1993年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、1994年菊池寛賞、1998年『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞を受賞。2000年文化功労者に。主な著書に『ジョゼと虎と魚たち』『ゆめはるか吉屋信子――秋灯机の上の幾山河』『むかし・あけぼの』『田辺聖子の小倉百人一首』他多数。2008年には文化勲章を受章。2019年、91歳で永眠。

 
<『おちくぼ姫』あらすじ>

高貴な生まれにもかかわらず、意地わるな継母に縫い物ばかりさせられている貴族の姫君。落ちくぼんだ部屋にひとりぼっちで暮らす彼女は、邸の者からも「おちくぼ」と呼ばれていた……。そんなある日、都でも評判の貴公子が姫君の噂を聞きつけて求婚を! 熱心な貴公子に姫君の心も動かされるものの、さまざまな問題がたちはだかる。はたして二人の恋の行方は……? 若い読者のために現代訳された、田辺流「王朝版シンデレラ」!

「古典というと、わたしたちは読みにくく、取りつきにくい気がしますが、この『落窪物語』はわりあい読みやすい、おもしろい物語です。(中略)そのおもしろさを、わたしの筆がうまくお伝えできるといいのですが――。さあ、ではご案内しましょう。千年むかしの、シンデレラ物語の世界へ――。」(『おちくぼ姫』「はじめに」より)

 

本屋大賞について

本屋大賞は、出版不況の中、「商品である本と、顧客である読者を最も知る立場にいる書店員が、売れる本を作っていく、出版業界に新しい流れをつくる、ひいては出版業界を現場から盛り上げていけないか」という趣旨で設立され、「NPO法人 本屋大賞実行委員会」が運営。書店(オンライン書店を含む)の書店員の投票によってノミネート作品および受賞作が決定されます。

 
【発表会 動画】

 

 

汝、星のごとく
凪良 ゆう (著)

われら闇より天を見る
クリス ウィタカー (著), agoera (イラスト), 鈴木 恵 (翻訳)

おちくぼ姫 (角川文庫)
田辺 聖子 (著)

貴族のお姫さまなのに意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられている、おちくぼ姫と青年貴公子のラブ・ストーリー。千年も昔の日本で書かれた、王朝版シンデレラ物語。

 
【関連】
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『発掘部門』投票結果 2023年本屋大賞

 


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