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【訃報】直木賞作家・阿部牧郎さんが死去 『それぞれの終楽章』など

直木賞作家の阿部牧郎(あべ・まきお)さんが5月11日、急性肺炎のため大阪府内の病院で死去しました。85歳。京都市出身。葬儀は近親者で執り行われました。後日、しのぶ会が開催される予定。

 
阿部牧郎さんは、1933年生まれ。京都大学文学部卒業。1968年に「蛸と精鋭」が初めて直木賞候補となって以降、計7度の落選を経て、1988年に8度目の候補作『それぞれの終楽章』で同賞を受賞。ちなみに、受賞に至るまでの悪戦苦闘を描いた自伝的小説に『大阪迷走記』があります。

推理、恋愛、評伝、時代小説から官能小説まで幅広い分野の作品を執筆。大の野球ファンとしても知られ、長嶋茂雄さんらを描いた『90番死なず』の著書もあります。

著書に『狼たちの笑う日』『ドンキホーテ軍団』『東郷茂徳 日本を危機から救った外相』『勇断の外相 重光葵』『大阪をつくった男 五代友厚』『危機の外相 東郷茂徳』『英雄の魂 小説石原莞爾』『大義に死す 最後の武士・阿南惟幾』『失われた球譜』『焦土の野球連盟』『春情おかげ参り』『定年直後』『われらの再生の日』など。

 

それぞれの終楽章 (講談社文庫)
阿部 牧郎 (著)

自殺した同級生の葬儀に故郷秋田を訪れた作家がふりかえる自らの生の軌跡。友と聴いたクラシック、仲間と励んだ雪の中の野球…。万引事件や生家の破産を越えて胸に迫るのは懐しい思い出の数々。人生の終楽章を迎えて、自分を支えてくれた友人、父の愛、妻の献身に気づく。胸を打つ感動的な直木賞受賞作。

われらの再生の日
阿部 牧郎 (著)

年輪礼賛!

孫ほど年下の娘と人生最後の恋を楽しむ老年作家。大人の余裕を見せつけて、甘美な果実をもぎとるが――。
生きてきてよかった。そう思ったことはありますか。

ほんの冷やかしのはずだった。
60代後半の物書き・矢部三郎は取材にと飛びこんだセクシーキャバクラの女・ゆりあに入れ込み、店外につれだして心身ともに関係を深めていく。同時にパソコンの手ほどきを受けた矢部は、時代の流れに乗る楽しさを知り、ブログや電子書籍にも挑戦しはじめる。だが、やがて姿を消したゆりあを追って、矢部はさらなる行動を起こす――。

 
【関連】
阿部牧郎公式サイト
ブログ「阿部牧郎の問わず語り」
阿部牧郎 (@abemaki0894) | Twitter

 


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