【第27回小川未明文学賞】新潟県在住・藤村沙希さん『湊まちの寅吉』が大賞を受賞
上越市(新潟県)は、創作児童文学作品を公募する第27回小川未明文学賞の受賞作を発表しました。
第27回小川未明文学賞が決定!
第27回小川未明文学賞には、日本全国から昨年より27編多い503編の応募があり、そのうち最終選考に残った8編から、作家の落合恵子さんやねじめ正一さんら6名の最終選考委員が大賞と優秀賞を決定しました。
なお、大賞・優秀賞とも受賞者は新潟県にお住まいの方で、作品も新潟が舞台となっています。また、27年に渡る同賞の歴史の中で、新潟県からの受賞者は初めてとなります。
■大賞
藤村沙希(ふじむら・さき)さん〔57歳/新潟県新潟市在住〕
『湊まちの寅吉』(長編部門)
■優秀賞
河村一美(かわむら・かずみ)さん〔74歳/新潟県上越市在住〕
『昔、瞽女さんが雁木の町を歩いていたんだよ』(長編部門)
最終選考委員は、落合恵子さん、佐々木赫子さん、ねじめ正一さん、宮川健郎さん、小川英晴さん、株式会社 学研プラス絵本・読み物編集室長。
大賞を受賞した藤村沙希さんには賞金100万円および、記念品として『小川未明童話全集』(全16巻 別巻1/大空社)が贈られます。また、優秀賞を受賞した河村一美さんには賞金20万円が贈られます。
贈呈式は、3月30日(土)午後2時から新潟県上越市の小川未明文学館にて開催。
<大賞『湊まちの寅吉』について>
大賞受賞作の『湊まちの寅吉』は、活気溢れる江戸時代の新潟湊を舞台に、廻船問屋の息子の寅吉が、父のために芝居に奮闘するエンターテインメント色の強い物語です。
大賞に選ばれた藤村沙希さんは、
「地元の偉人である小川未明の名前を冠した賞を頂けたことは、大変名誉なことと思っております。また私は、主催されている上越市での受賞ということに、ひときわ感慨深いものがあります。(上越市出身である)杉みき子先生から指導を受けたり、一緒に勉強する仲間に巡り合ったりしたことが、児童文学を書くきっかけになったからです」
と感想をコメントしています。
<優秀賞『昔、瞽女さんが雁木の町を歩いていたんだよ』について
優秀賞に選ばれた『昔、瞽女さんが雁木の町を歩いていたんだよ』は、小学6年生の主人公が、あるきっかけから高田の瞽女(ごぜ)だった自分の曾祖母への関心を深めていく物語です。
偶然にも藤村さんと同じく、児童文学作家の杉みき子さんの元で学んだ経験を持つ優秀賞受賞者の河村一美さんは、
「本当に嬉しく光栄に存じます。受賞した作品は、まず題材に大きく助けられたと思います」「高田瞽女の歴史や文化をぜひ小学生にわかってもらいたいという強い願いがありました。今回、多少それが果たせたような気持ちにならせていただきました」
とコメントを寄せています。
小川未明文学賞委員会の小玉武会長は、今回の選考結果について、
「今回はレベルが高かった。上越市に小川未明文学館があり、童話創作講座を開いていることがいい影響を与え、結果につながったのでは」
と話しています。
贈呈式は3月30日(土)午後2時より、小川未明文学館(上越市)にて開催予定です。
また、大賞受賞作品は秋ごろ、学研プラスより書籍として刊行される予定です。
小川未明文学賞について
小川未明文学賞は、上越市出身の小説家・童話作家で、「日本のアンデルセン」とも呼ばれる小川未明の没後30周年を記念し、「小川未明の文学精神を継承し、新しい時代にふさわしい創作児童文学作品を輩出」する目的で、平成3年に創設された公募の文学賞です。
新潟県上越市と小川未明文学賞委員会が主催し、学研プラスが第9回より協賛しています。文化庁、新潟県、早稲田大学文化推進部、上越教育大学、日本児童文学者協会、日本児童文芸家協会が後援。
【関連】
▼第27回小川未明文学賞の受賞作決定・贈呈式開催 – 上越市ホームページ
▼小川未明文学賞|株式会社学研プラス
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