『幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える』働く人を幸せにできる企業しか生き残れない!
前野隆司さん、小森谷浩志さん、天外伺朗さんによる著書『幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える』が、内外出版社より刊行されました。
企業経営で一番大切なことは、儲けることですか?働く人の幸せですか?
本書では、まず、幸せのメカニズムを解き明かす独自の学問「幸福学」の前野隆司教授が、最新の研究で明らかになった「働く人の幸せ」が、企業の業績にどう影響を及ぼすのか、解説しています。
最新の研究では、たとえば、以下のような研究結果が出ているそうです。
●幸せなリーダーがいるサービス部門は顧客からより高い評価を得る傾向がある
●幸せな人は、信頼できる友人や同僚の数が多い傾向がある
●上司による仕事のパフォーマンス評価は、仕事への満足度とは相関しないが、幸せとは相関する
●販売部門の人々の感情のポジティブなトーンが高いほど顧客満足度は高い傾向がある
●ポジティブ感情を示す社員は、他の社員を助け、組織を守り、生産的な提案をし、組織内で自分の能力を向上させる傾向がある
●ポジティブなムードで仕事をしている人は、離職率が低く、会社への報復的行動をしにくく、組織市民としての行動を行ない、仕事で燃え尽きにくい傾向がある
●楽観的なCEOは、パフォーマンスが高く、経営する会社への投資のリターンも高い傾向がある
●幸せな社員は、意思決定の際に、時間や努力のコストを度外視してまでアウトカムを最大化しようとするのではなく、最適で満足度の高い意思決定をする傾向がある
つまり、「幸福度の高い社員ほど、創造性が高く、仕事の効率も高く、求められた以上の働きやソーシャルサポート(困っている同僚などへの手助けや食事に誘うなど物質的・心理的支援)を惜しまない。欠勤率や離職率は低く、上司や顧客から高い評価を受ける傾向がある」、と言えます。
「幸せな人はそうでない人に比べて創造性が3倍高い」という研究結果も出ています。
それはすなわち、会社が社員の幸福度を高めれば、社内に豊かな発想の土壌が育まれる原因となり、結果としてビジネス面の飛躍につながるようなイノベーションも3倍起こりやすくなる、ということにほかなりません。
利益の確保よりも、社員の幸せを第一に追求する経営思想――いわば「幸せの経営」が、企業自体にも“幸せ”をもたらすことのエビデンスと言ってよいのではないでしょうか。
実際に「社員の幸せ」を追求して業績を上げている企業とは
2章では、働く人の幸せを追求した結果、業績も伸び続け、成長し続けている企業を紹介しています。
ナットなどのファインパーツを製造・販売する「西精工」(徳島県徳島市)、知的・発達障がいなど、障がいのある人たちのための保険を扱う日本で唯一の専門保険会社「ぜんち共済」(東京都千代田区)、中古タイヤ販売の「アップライジング」(栃木県宇都宮市)、不動産ソリューションカンパニー「ダイヤモンドメディア」(東京都港区)の4社です。
これらの企業がどのようなプロセスで、社員の幸せを追求し、仕組みを作り、業績アップを実現させてきたのか、その秘密に迫っています。
ほかに、経営学の観点から、今までの経営学の限界を示すとともに、これからの経営学に求められる考え方を、経営コンサルタントの小森谷浩志さんが論じています。
最後に、元ソニーの上席常務でアイボなどの開発を主導した天外伺朗さんが、フロー経営を生んだかつてのソニーの秘密に迫り、新しい「日本型経営」のあり方を明示します。
本書では、「働き方改革」の前に、知っておくべきこれからの企業経営のあり方について、今、話題の「幸福学」を中心に探っていきます。
「社員の幸せを追求した方が、会社の業績を伸ばすことができる」。
その実例を示しながら、幸福学と経営学の、2つの理論を融合させた新しい日本型経営のあり方を提案します。
著者プロフィール
■前野隆司(まえの・たかし)さん
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。
1962年、山口県生まれ。東京工業大学卒、同大学修士課程修了。キヤノン入社後、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、ハーバード大学客員教授、慶應義塾大学理工学部教授等を経て、2008年より現職。博士(工学)。研究領域は、幸福学、システムデザイン・マネジメント学、イノベーション教育と幅広い。
著書に、『幸せのメカニズム』(講談社現代新書)、『システム×デザイン思考で世界を変える』(日経BP社)、『実践 ポジティブ心理学』(PHP新書)など多数。
■小森谷浩志(こもりや・ひろし)さん
博士(経営学)、株式会社ENSOU代表取締役、株式会社ジェイフィール コンサルタント。
神奈川大学経営学部国際経営学科講師。ニッカウヰスキー株式会社入社、営業にてトップの業績を残す。その後、アサヒビール株式会社のコンサルティング会社の設立に参画、コンサルタント育成体制を構築。
現在は“生命が喜ぶ経営”をテーマに活動。自覚の方法論として東洋の智慧、特に禅の基本テキスト「十牛図」に着目、マネジメント・コミュニティを中核とした組織開発、個の可能性の開花にアプローチするワークショップを展開している。
著書に『週イチ・30分の習慣でよみがえる職場』(日本経済新聞出版社)などがある。
■天外伺朗(てんげ・しろう)さん
1964年、東京工業大学電子工学科卒業後、42年間ソニーに勤務。CD、ワークステーション「NEWS」、犬型ロボット「AIBO」などの開発を主導した。上席常務を経て、ソニー・インテリジェンス・ダイナミクス研究所(株)所長兼社長などを歴任。
現在、ホロトロピック・ネットワークを主宰、医療改革や教育改革に携わり、瞑想や断食を指導し、また「天外塾」という企業経営者のためのセミナーを開いている。
著書に、『日本列島祈りの旅1』(ナチュラルスピリット)、『創造力ゆたかな子を育てる』『無分別智医療の時代へ』(内外出版社)など多数。
かつては、企業が社員を不幸にすることで競争に勝てる時代がありました。しかし、それはもう限界です。逆に、これからは、働く人を幸せにできる企業しか生き残れない―。この本で描かれている、最新の幸福学の研究でわかってきたことと、ホワイト企業の先進的な取り組みや改革のエピソードを読めば、時代の変化をはっきりと実感できるでしょう。
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