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『はじめよう、お金の地産地消』 名古屋発、金融業界の常識を変えた「地域のお金を地域で回す」挑戦

『はじめよう、お金の地産地消』 名古屋発、金融業界の常識を変えた「地域のお金を地域で回す」挑戦

『はじめよう、お金の地産地消』 名古屋発、金融業界の常識を変えた「地域のお金を地域で回す」挑戦

英治出版より、木村真樹さんの『はじめよう、お金の地産地消――地域の課題を「お金と人のエコシステム」で解決する』が発売されました。

 

地方創生のカギ、「地域のお金を地域で生かす」 仕組みづくり

人口減少や自治体の財政難が深刻化する中、「地域のお金を地域で生かす」ことが求められています。とりわけ、さまざまな地域課題の解決に取り組むNPO(非営利組織)・ソーシャルビジネスに資金を回していくことが、よりよい地域づくりには不可欠です。

 
一般に、NPOは金融機関から融資を受けるのが困難です。そこで木村真樹さんは2005年に名古屋でコミュニティ・ユース・バンクmomoを設立。東海地方で地域課題の解決に挑む多くのNPO等に融資してきました。

12年間、貸し倒れはゼロ。「NPOには貸せない」という金融業界の常識を覆した実績が注目され、近年は信用金庫など地域金融機関との連携も進展しています。

 
さらに木村さんは2013年、公益財団法人あいちコミュニティ財団を設立。市民や企業の「地域のために役立てたい」というお金を集め、地域課題に取り組むNPO等の立ち上げ・成長を幅広くサポートしています。同財団の活躍等により、コミュニティ財団(市民のお金で公益的事業を支える)をつくる動きが今、各県で進んでいます。

 

「お金の地産地消」 を掲げる注目の起業家、初の著書

木村真樹さんは、大学卒業後に地方銀行に勤務。当時は不良債権処理で「貸し渋り・貸しはがし」が広がった頃。「地域の銀行は、本当に地域のために役立っているのか」という疑問から銀行を辞め、国際NGOでの勤務や、Mr.Childrenの桜井和寿さんらが設立したNPOバンク「ap bank」のスタッフを経て、故郷の名古屋で現在の活動を始めました。

 
地域のお金を地域で生かす=「お金の地産地消」の必要性を提唱し、金融機関、自治体、企業、大学、そして多くの個人を巻き込んで新しいお金の流れを生み出してきた活動が評価され、木村さんは2015年に「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」国内部門賞、2016年に寄付月間2015大賞、2017年に「日本パートナーシップ大賞」地域ファイナンス賞を受賞しています。

 
本書『はじめよう、お金の地産地消』では、「お金の地産地消」が求められる背景と、木村さんのこれまでの活動の軌跡、実際に支援してきたNPO等の事例を紹介し、地域のお金を地域で生かすために一人ひとりにできることを提案しています。

 

木村真樹さん プロフィール

著者の木村真樹(きむら・まさき)さんは、公益財団法人あいちコミュニティ財団 代表理事で、コミュニティ・ユース・バンクmomo 代表理事。

1977年愛知県名古屋市生まれ。静岡大学卒業後、中京銀行勤務を経て、A SEED JAPAN事務局長やap bank運営事務局スタッフなどを歴任。地域の課題解決に地域の“志金”を生かす「お金の地産地消」を推進したいと、2005年にコミュニティ・ユース・バンクmomo、2013年にあいちコミュニティ財団を設立し、NPOやソーシャルビジネスへの助成・補助・融資による資金支援と、ボランティアとの伴走支援に取り組んでいます。中京大学大学院客員教員、東海若手起業塾実行委員会理事/事務局長、全国NPOバンク連絡会副理事長、全国コミュニティ財団協会副会長、日本NPOセンター評議員、日本ファンドレイジング協会理事なども務めています。

2015年に第3回「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」国内部門賞、2016年に寄付月間2015大賞、2017年に第12回「日本パートナーシップ大賞」地域ファイナンス賞を受賞。

 

『はじめよう、お金の地産地消』 概要

「お金の流れ」が変われば、地域はもっと元気になる。
子育て、介護、環境…地域づくりに取り組む人をみんなで応援する仕組みをつくろう。
若者たちが始め、金融機関、自治体、企業、大学、そして多くの個人を巻き込んで広がる「地域のお金を地域で生かす」挑戦。

(構成)
第1章 新しいお金の流れをつくる――いま各地で起きていること
第2章 過去を見るか、未来を見るか――NPOバンクmomoはなぜ貸し倒れゼロなのか
第3章 お金と人のエコシステム――地域に必要な仕事を、みんなで応援する
第4章 仕事の「価値」って何だろう――お金でないものを見つめる
第5章 小さな一歩から始まる――地域課題への挑戦者たち
第6章 共助社会をめざして――誰もが当事者になる時代

 

はじめよう、お金の地産地消――地域の課題を「お金と人のエコシステム」で解決する
【「はじめに」より一部抜粋】

「お金の地産地消」という言葉から、みなさんはどんなことをイメージするでしょうか。

大学卒業後、地方銀行を経てNGOに勤務したぼくは2005年、28歳のとき故郷の名古屋に戻り、NPOバンク「コミュニティ・ユース・バンクmomo」を立ち上げました。地域のさまざまな課題の解決に挑むNPOやソーシャルビジネスを、「お金」と「人のつながり」で応援する団体です。

営利を目的としないNPOやソーシャルビジネスは、社会にとって重要な役割を担っているにもかかわらず、既存の金融機関からお金を借りることが難しく、そのため活動の継続が困難になることがしばしばあります。ぼくたちは、そんなNPOなどに低金利でお金を貸しています。お金だけでなく、活動のPRを手伝ったり、ボランティアを紹介したり、さまざまな人的支援も提供しています。

NPO向けの融資なんてうまくいくわけがない、無謀だ、と言われました。しかもスタッフは全員がボランティアで、ほとんど金融の知識のない若者たちばかりでしたから、大反対されたのは無理もありません。

しかし、以後の12年間、1件の貸し倒れも出すことなく、運営を続けています。一部を後に紹介しますが、限界集落の支援、子育て支援、高齢者福祉、障がい者福祉、環境保護など、さまざまな地域課題の解決に挑戦する人たちを応援してきました。

元手となるのは、主として市民のみなさんからの出資金や寄付金です。「地域のために何かしたい」という思いのこもったお金――ぼくたちは「志金」と呼んでいます――を託していただき、そのお金を活用して、地域課題の解決に乗り出したNPOやソーシャルビジネスを応援する。地域のお金を、地域をよりよいものにするための事業に回す。地域のお金を地域で生かす。これが「お金の地産地消」です。

この本は、いま着実に広がりつつある「お金の地産地消」の必要性と可能性を、実際の事例を通して紹介する本です。そして、みなさん一人ひとりにも、それぞれにできることから、「お金の地産地消」に関わってもらいたい。そんな思いで書いた本です。

 


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