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『ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由』仕事を辞めれば楽になる!? 介護離職の落とし穴

『ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由』仕事を辞めれば楽になる!? 介護離職の落とし穴

『ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由』仕事を辞めれば楽になる!? 介護離職の落とし穴

ディスカヴァー・トゥエンティワンより、酒井穰さん著『ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由』が刊行されました。

 

20年以上にわたって母親の介護を続けている著者が、豊富なデータと実体験に基づいて「仕事と介護を両立させる人生」を提案

いま介護をするために離職する人は、年間10万人を超えると言われています。
「介護と仕事の両立が困難」「後悔しないように、親の介護をしっかりとやりたい」等が離職の理由としてあげられますが、そこには「介護に専念すれば、今よりは楽になるはず」という判断があるのが共通しています。
しかし調査によると、介護離職をした人の70%がさらに負担が増えたと回答しているのが実情なのです。

本書では、企業の取締役を務めながら20年以上にわたって母親の介護を続けている著者が、豊富なデータと実体験に基づいて「仕事と介護を両立させる人生」を提案しています。
「高齢者人口の増加と労働者人口の減少」という待ったなしの問題も念頭におき、著者の示唆に富んだ提言は「新たな人生設計」にまで及んでいます。

 

介護に関する無知や思い込みが離職につながっている

なぜ介護離職に踏み切るのか?
例えば、育児であれば事前に準備できる期間があります。ところが、介護は要介護者の異変がきっかけで突然に始まるものなので、介護未経験者であればまったく無知な状態からのスタートとなります。

さまざまな介護サービスがあったとしても、それを知らなければ無いも同然。そもそも、日本の福祉システムは知らないと損をするようにできています。

仕事を続けながら介護の勉強をして、さらにそれを実行するとなると大変なエネルギーを要します。介護と仕事の両立を困難と感じるのは当然のことなのです。

また、親の介護は子どもがするのがベストと思い込んでしまう人がいます。つまり、親孝行のつもりで離職し、介護に専念してしまうケースです。

その他、細かく言えば介護離職の理由は人それぞれ事情が違いますが、その根底には「今よりは楽に違いない」「離職しても何とかなるはず」という希望的観測があるのです。

 

介護離職後におちいる負のスパイラルとは?

統計によると、介護離職のあとに再就職したとしても、そのために1年以上の期間を要し、収入は男性で4割減、女性で半減の人が最多を占めるというデータがあります。
また、介護期間を10年程度と仮定して、その間には要介護者の症状の悪化によって、金銭的な負担が増大することが予想されます。

以上の事態を想定した上で、それに対応できる貯蓄が必要となってきます。この見通しが甘いと、介護そのものだけでなく、介護者の生活にも貧困や介護離婚といった大きなリスクが生じてきます。

また、介護の金銭的、肉体的な負担はある程度予想できても、精神的な負担を想定している人はそう多くはありません。実情は、在宅介護を進めている介護者の64.5%が抑うつ状態(うつ病の一歩手前)といわれています。

昨今、介護のプロによる虐待がニュースとなっていますが、実のところ家族による虐待件数はその100倍と報告されています。虐待が表面化しにくい身内という事情を考慮すると、本件はもっと深刻な事態と見なければいけません。

 

仕事を続けながら介護をするためにできること

まずは、介護のプロに相談しながら介護サービスを活用することです。次に、各地域にある介護に関する家族会に参加して情報を共有することです。そうすれば、介護に関する無知や思い込みから脱することができ、思いを共有することで精神的にもだいぶ楽になります。

また、仕事と在宅介護をうまく両立している人には、身体介護や家事は自分では行わず、介護サービス事業者にまかせているという特徴がみられます。
その一方で、親孝行のために離職を選び、すべての介護を自分で行うという選択はあまりいい結果が得られないと言えます。

そもそも、子どもの介護離職を親は喜んでくれるでしょうか? 仕事と介護の両立を選んでもそれが「親不孝」というわけではなく、介護離職をしたからといってそれが「親孝行」というわけではないのです。

企業の介護支援体制は、まだこれからというのが現状ですが、多くの企業が介護離職の増加に危機感を持ち始めています。
すでに人材不足が社会問題となっていることを考えれば、仕事と介護の両立は企業にとっても重要な目標となるはずです。その意味でも離職を決断する前に、まずは会社に相談してみるべきです。
休暇や半休、定時退社など勤務形態の見直し、部署間の異動など、あなたの働きかけによって企業から支援が得られる可能性は十分あるのです。

 

気持ちが折れずに介護が続けられる秘訣

介護はいつ終わるとも知れない行為となりますが、介護を長期にわたって頑張れる人と途中で折れてしまう人には、ある違いがあります。

それは、介護に対して自分なりの意義や信念を見い出しているか否かです。この点においては介護と仕事は同じだと言えます。
仕事を一人で抱え込んでしまうと成果が出せず、思い悩んでしまうことがよくありますが、介護もまったく同じことが言えます。まずは環境を整えて、周囲と上手に介護を分け合って、チームとして成果を出すことがとても重要になるのです。

 

本書の構成

第一章 介護離職につながる3つの誤解
(1) 介護離職をしてもなんとかなる
(2) 介護離職をすれば負担が減る
(3) 子どもが親の介護をすることがベスト

第二章 介護離職を避けるための具体的な方法
(1) 介護職(介護のプロ)に人脈を作る
(2) 家族会に参加する
(3) 職場の支援制度と仕事環境の改善に参加す

第三章 介護を自分の人生の一部として肯定するために
(1) 介護とは何かを問い続ける
(2) 親と自分についての理解を深める
(3) 人生に選択肢がある状態を維持する

 

酒井 穰さん プロフィール

著者の酒井穰(さかい・じょう)さんは、介護離職を防ぎつつ、質の高い介護を実現することを目的として設立された株式会社リクシス 取締役副社長 CSO。1972年東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。Tilburg 大学 TIAS School for Business and Society 経営学修士号(MBA)首席(The Best Student Award)取得。

商社に勤務後、オランダの精密機械メーカーにエンジニアとして転職。帰国後、フリービット株式会社の取締役を経て独立。介護メディアKAIGO LAB編集長・主筆、新潟薬科大学 客員教授、KAIGO LAB SCHOOL学長、NPOカタリバ理事などを兼任。

主な著書に『新版 初めての課長の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』(光文社新書)、『幸せの経営学』(日本能率協会マネジメントセンター)、『曹操――乱世をいかに生きるか』(PHP研究所)など。

 

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由
企業の取締役を務めながら20年以上母の介護をした、KAIGO LAB編集長・株式会社リクシス取締役副社長の酒井穣が「介護離職」のリスクを忌憚なく語り、仕事と介護を両立させる指針を示します。

介護とは「自立支援」です。そして自立とは、誰にも頼ることなく生きられる状態のことではありません。
真の自立とは、その人が依存する先が複数に分散されており、ただ1つの依存先に隷属(奴隷化)している状態から自由であることです。
ですから介護とは、ただ1人に依存させることではありません。
介護離職して親を1人の子だけに依存(隷属)させるのではなく、依存先を分散させることが真の自立支援なのです。

 


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