気になる本、おススメの本を紹介

B O O K P O O H

リブート (福田和代・著/双葉社・刊)

リブート! (双葉文庫)ある銀行のシステム子会社を舞台に、そこで働く、いろんな世代・ポジションのシステムエンジニアの日常と思いを描いています。
銀行同士の統合があり、主人公たちのシステム会社(および親会社の銀行)と、統合するもう一つのシステム会社(および親会社の銀行)が両行のシステムを統合して、一つの巨大なシステムを構築・運用していきます。

福田和代さんの作品を読んだのは、この作品が初めてでした。とくに、作者名を意識せずに買って、作者の略歴を見ると工学部出身でシステムエンジニアの経験があるようでしたので、経歴を活かした作品なんだなと思いながら読みました。
ですので、どちらかというと、福田さんの作品としては異色な部類に入るとは、この段階では気づきませんでした。
(ちなみに、国家的謀略も凶悪な殺人事件も起きません)

 
エンジニアの日常が丁寧に描かれており、すごくリアルです。
経験がなくても取材だけで書けるのかもしれませんが、やはり、実際に経験された方が書いているせいか、エピソードも細かいです。
そして、業務上の大きな事件も目白押しです。巨大銀行同士のシステム統合なので、主人公たちの業務的にはすごく大きなトラブルが次々に襲い掛かってきます。

 
銀行の統合といえば、以前、みずほ銀行のシステム統合で大きなトラブルが生じて、連日ニュースなのでも騒がれたことがありました。
なかなかシステム統合というものは厄介で、ちょうど、その騒動のあとに、複数の大手のシステム会社のマネージャーさんたちと交流する機会がありましたが、皆さん、「エンジニアの人たち、可哀そうにな。あの規模であの納期じゃ、そりゃあ無理よ」と同情されていました。多くのエンジニアがかなりダメージを受けた気がします。

作品の中でも統合上のトラブルに直面しながら、マネージャークラスの人も、中堅、若手も、それぞれが悩み、もがきながら自身を見つめ直し、成長していきます。
読後感は、爽やかです。明日も仕事頑張ってみようかな、って思いました。

 
〔追伸〕
この作品を呼んだ後、福田和代さんの本を何冊か続けて読みました。
ビックリ!やたら人、殺されてるじゃないですか!「えっ、この人死んじゃうの、それも銃殺!」って驚きましたよ。
たぶん、本来(?)のファンの方たちは驚かない。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です