気になる本、おススメの本を紹介

B O O K P O O H

テラフォーマーズ(作・貴家悠、画・橘賢一/集英社・刊)

火星の環境を人為的に変化させ、人類の住める星に改造するため放たれ、人型へと進化したゴキブリ「テラフォーマー」と、それを駆除するために特殊な手術を施された人間との戦いを描いたSFコミック。

〔ストーリー〕
火星の地表をある「コケ」と「ゴキブリ」を撒くことで暖め、人が住めるようにするという「テラフォーミング計画」が実行されました。
西暦2599年、その計画の総仕上げとして、地表に残っていると思われるゴキブリの駆除をするために、15人の若者が火星へ旅立ちます。小町小吉、秋田奈々緒をはじめとした貧しき若者たちは、この計画の参加報酬に、未来への希望を託します。ですが、その希望は、火星到着後、すぐに断ち切られます。彼らが駆除しようとしたゴキブリは、想定外の進化を遂げた「テラフォーマー」となり、人間たちを逆に駆除しようとします。こうして、宇宙船バグズ2号と、その20年後の宇宙艦アネックス1号の、二世代にわたるゴキブリとの大戦争が始まったのでした・・・

2016年に三池崇史さん監督、伊藤英明さん主演で実写映画化されています。実は、それまで本作を読んだことはなく、アニメも放映されていましたが、そちらも観たことはありませんでした。映画化のニュースも、「三池監督かぁ。出演者も主演クラスの役者さんがたくさん出て豪華だなあ」と思っておしまいでした。

まあ、宇宙を舞台にしたSF映画だし、コケそうだな、とは心配しましたが・・・三池監督の過去の栄光に拘らない、そして来る依頼はほぼ断らない、という生き方には敬意を払いますが、予算もそんなに付かないでしょうし、大丈夫かなとは思っていました。
そして、映画が公開されると厳しい評価がだいぶ有ったようで、そうした中である批評が私の目にとまりました。

「テラフォーマーズ」の原作漫画は、万人受けする精細な絵柄とぶっ飛んだアイデア、熱いバトルで大人気である。じっさい、非常に面白く、読みだすと止まらない。
美人に恨みでもあるのかと思うような唐突な女性キャラの死など、心の準備をする間もなく次々攻められる恐怖、絶対勝てない!と思わせる圧倒的な強敵がかもしだす絶望感、追い詰められてゆく手詰まり感、そしてそれらをひっくり返すバグズ手術戦闘の熱さ。
そうした原作の魅力は今更いうまでもないわけだが、この実写版映画には一つもない。完全に原作の読み込み不足、リサーチ不足である。

(中略)

原作はたしかに設定は一見荒唐無稽だが、昆虫周辺のトリビア知識など理論武装はガチガチで、この世界なりのリアリズムがきっちりと作りあげられている。一言でいえば、フィクションとして筋が通っている。

(中略)

そしてそして、どうしても許せないのは「敵」の外観である。
この映画を作った人たちは、原作を読んでいて本当に気づかなかったのだろうか? あの漫画で最初に「敵」が登場した時、なぜ読者は二足歩行するそれを「あの昆虫」だとすぐに認識できたのか、を。
それはその生き物が「黒くてテカテカしていたから」だ。
こんなことをいちいち、なぜ映画批評家の私が指摘しなくてはならないのかとウンザリするが、どうしてこの映画では「敵」が「茶色」で「てかてかしていない」のか。本当に誰一人として、このデザインに異を唱えるスタッフはいなかったのか。
あんな茶色く薄汚れた敵を何百体出したとしても、日本人の根源的恐怖感を引き起こすことなどできはしないに決まっているではないか。

※批評の全文は、「超映画批評「テラフォーマーズ」5点(100点満点中)」をご覧ください。

そしてこの批評を読んで、「そんなにすごい絶望感、手詰まり感なのか、そしてそれをひっくり返せるのか!」と思ってしまったんですね。どんだけの絶望感なんだ、と。思わず、原作コミックをまとめ買いしてしまいました。
そして・・・凄い絶望感でした。けっこう主要な人物でもどんどん死んでしまうこともあって、自分自身は一読者にすぎないのに、何度か、「もうダメ、もう無理。あきらめよう。これで終わりにしよう」と勝手にあきらめてしまうほどです。(まだ何とか無事です、私は)

そんな『テラフォーマーズ』は、現在(2016年10月)単行本は第19巻まで発売されています。スピンオフや外伝もあります。
なお、人体の損壊等のグロい描写もありますので、そういった描写が苦手は方はご注意ください。

【関連】
テラフォーマーズ特設ページ – 週刊ヤングジャンプ公式サイト

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です