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『AI翻訳革命 ―あなたの仕事に英語学習はもういらない―』人工知能時代に、英語を学ぶべきなのか?

隅田英一郎さん著『AI翻訳革命 ―あなたの仕事に英語学習はもういらない―』

隅田英一郎さん著『AI翻訳革命 ―あなたの仕事に英語学習はもういらない―』

日本における自動翻訳研究の第一人者である隅田英一郎さん著『AI翻訳革命 ―あなたの仕事に英語学習はもういらない―』が朝日新聞出版より刊行されました。人工知能を活用した自動翻訳の最新の実力や、徹底的に活用するための手法、今後の進化の可能性などについて解説します。

 

日本の自動翻訳研究の第一人者が明かす、本当の実力と可能性

「グーグル翻訳」などに代表される自動翻訳。テキストや音声で入力した文章を、一瞬で別の言語に訳してくれる便利なツールで、旅行や仕事、ウェブサイト閲覧などの際に使用したことがある人も少なくないでしょう。この自動翻訳技術は、ここ数年の人工知能(AI)の進化に伴い目覚ましい性能向上を続け、2020年にはTOEIC900点の英語力を持つまでに進化しています。

 
本書では、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)フェローで、日本における自動翻訳研究の第一人者である隅田英一郎さんが、最新の自動翻訳の実力や特性、翻訳の仕組などを解説。自動翻訳との「上手な付き合い方」を指南し、日常生活や仕事でも十分役立つ賢い使い方を紹介します。

 
そのほか、「AIに同時通訳は可能か」「自動翻訳が進化するなかで、英語学習はどこまで必要なのか」「いつか英語を学ばなくていい日が来るのか」など、自動翻訳にまつわる気になる話題についても言及しています。

 

本書の構成

【第1章】 人工知能による自動翻訳は使える!
・美容師も商社社員も使っている自動翻訳
・人工知能はTOEIC900点の英語能力―ネイティブ一歩手前―に到達した

【第2章】 日本を超・開国する、自動翻訳で
・暗黙的に“鎖国”状態の日本
・働く外国人の生活全般を支援する、自動翻訳で
・輸出競争力を強化する、自動翻訳で
・ネット販売を世界に広げる、自動翻訳で
・情報鎖国の日本をチェンジする、自動翻訳で
・ソフトウェアの開発力を強化する、自動翻訳で

【第3章】 自動翻訳とコロナ禍
・外国人観光客とインバウンド消費の光と影
・コロナ禍でビジネスや診察も、「リモート」に切り替わる
・世界中のコロナ情報を収集し瞬時に日本語で表示する

【第4章】 自動翻訳と鋏は使いようだ
・天気予報と同じで、「100%正しいわけではない」自動翻訳
・自動翻訳の誤訳を配信するのは新聞ネタだ ――逆翻訳で防ごう
・意味がわかればよいなら、「そのまま使える」自動翻訳
・1文字もゆるがせにできないなら、自動翻訳を「人間が検査して修正する」
・目立つところだけを「人間が検査して修正する」前提で、全数公開する自動翻訳
・電動アシスト自転車が移動能力を拡張するのと同様に、AI翻訳は翻訳力を拡張する

【第5章】 人工知能による翻訳の仕組み
・コンピューターは人間と同じやり方では翻訳できなかった
・コンピューターは、文法ではなく訳例を使って翻訳する
・コンピューターは「深層」ニューラルネットで翻訳する
・コンピューターのために「言葉」を「数値」に変換する
・グーグル翻訳がいいかどうかは人による
・オープンソースと自動翻訳
・多様な自動翻訳ベンダー

【第6章】 自動翻訳は過去の翻訳データを栄養にすくすく育つ
・「Data fuels AI」 ――データが人工知能の成否を握る
・AI開発を加速する、著作権法の改正
・「悪質で大量」のデータか、「良質で少量」のデータか
・日本は過去の翻訳データの「公的集積所」を創設した
・過去の翻訳データは「宝の山」。リサイクルで新たな価値を創出する
・PDFファイルは「翻訳リサイクル」には不向き

【第7章】 翻訳品質をコンピューターで評価する
・自動翻訳には品質評価が不可欠
・翻訳は自由度が大きいので品質評価が難しい
・自動評価技術ができたことで、自動翻訳技術も飛躍的に進化
・翻訳の品質評価の基本は人手評価
・自動評価は安くて速いだけじゃない

【第8章】 研究開発は波瀾万丈だ ―自動翻訳開発の歴史―
・自動翻訳の研究は米国で誕生し、そして早世した
・「ルール」の時代 ――不死鳥のように復活し、そしてまた天井にぶつかった
・「ノー・モア・ルールズ」の時代 ―― データ主義が世界の自動翻訳研究者を席巻した
・技術の進歩はS字カーブの繰り返し

【第9章】 「同時通訳」は2025年に自動化できる
・日常会話の「逐次」通訳は、すでにコンピューター任せにできる
・人間の通訳が持ちえない、自動通訳の長所
・逐次通訳の自動化の研究は、1986年に始まる
・総務大臣の指示により、実用化に向け一気に性能向上
・自動「同時」通訳技術は、2025年の実用化を目指す

【第10章】 自動翻訳を取り込んだ「新たな」翻訳
・自動翻訳が人々を「葦の髄から天井を覗く」状況から解放する
・情報のロングテールの価値で翻訳費用を賄える
・SNSもコンピューターで翻訳できる
・多言語翻訳にもコンピューターの活躍が有望である
・どこまでの品質を追求するか
・自動翻訳のメリットとデメリット
・自動翻訳は翻訳者の仕事を奪うのか
・自動翻訳と人間翻訳の組み合わせで再構築された「翻訳」
・フリースタイルの波は翻訳にも来るのか?

【第11章】 自動翻訳と英語教育
・日本では英語の影響力が第2次世界大戦後に強くなった
・自動翻訳が高精度化し英語教育の存在理由が問われ始めた
・英語と日本語は共通点がなく日本人には英語習得は元来困難である
・最低2200時間勉強しないと日本人は英語が使えない
・英語が「世界語」の地位を失う可能性が見えてくる
・日本人の全員が英語を学ぶべきか?
・英語の社内公用語化は廃れ自動翻訳がどんどん企業に導入される
・数学教育や漢字教育は生き残った。さて、英語教育は?

 

著者プロフィール

著者の隅田英一郎(すみた・えいいちろう)さんは、国立研究開発法人情報通信研究機構フェロー、一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会会長。

電気通信大学大学院修士課程修了。京都大学大学院博士(工学)。日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)を経て2007年から情報通信研究機構(NICT)に勤務(2016年からフェロー)。2010年に音声翻訳のスマホアプリ「VoiceTra(ボイストラ)」、2014年にテキスト翻訳サイト「TexTra(テキストラ)」を公開。2017年から総務省と協力して自動翻訳の高精度化のために「翻訳バンク」を運営。また、音声翻訳の国家プロジェクト「グローバルコミュニケーション計画2025」を推進中。日本オープンイノベーション大賞総務大臣賞など受賞。40年にわたり自動翻訳の研究開発に携わり、後進の育成、研究マネジメントに加え、現在は、進化を続ける自動翻訳技術の広報活動にも力を入れる。

 

 


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