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『「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ』「させていただく」は正しい敬語?

椎名美智さん著『「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ』

椎名美智さん著『「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ』

椎名美智さん著『「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ』(角川新書)がKADOKAWAより刊行されました。

 

なぜ、使わずにはいられないのか

「本日はすでに退勤させていただきました」
ご相談させていただきたく存じます」

……このような「させていただく」の使い方には違和感があるのに、なぜ多用してしまうのでしょうか。

 
意識調査とコーパス調査で違和感の正体を明らかにします。現代人は相手を敬うためでなく、自分を丁寧に見せるために敬語を使っていたのです。

 
明治期、戦後、SNS時代、社会環境が変わるときには新しい敬語が生まれます。言語学者の著者が、身近な例でわかりやすく解説します。

 

本書の構成

はじめに
 SMAPとV6の解散劇

第一章 新しい敬語表現――街中の言語学的観察
 用例を採集する
 「免除させていただきます」
 愛されるタメ語キャラと毒舌キャラ
 サザエさんは「させていただい」てない

第二章 ブームの到来――「させていただく」の勢力図
 「語用論」のアプローチ
 新しい敬語のお仕事
 敬意漸減の法則
 遅れてきた「させていただく」

第三章 違和感の正体――七〇〇人の意識調査
 敬語の「乱れ」は変化の兆し
 違和感を左右する三つの要素
 最大の要因は「聞き手の存在」
 話し手が持つ違和感

第四章 拡がる守備範囲――新旧コーパス比較調査 
 距離感が二極化している
 政治家は「させていただく」をよく使うのか
 関わるようで直接の関わりは避ける
 合理化か貧困化か

第五章 日本語コミュニケーションのゆくえ――自己愛的な敬語
 「させていただく」は関西発祥なのか
 「表敬」から「品行」へ
 敬語のナルシシズム
 そして他者はいらなくなった

おわりに
 「させていただく」はコミュニケーションの変化を示す指標

 

著者プロフィール

著者の椎名美智(しいな・みち)さんは、宮崎県出身。法政大学文学部英文学科教授。

お茶の水女子大学卒業、エジンバラ大学大学院修士課程修了、お茶の水女子大学大学院博士課程満期退学、ランカスター大学大学院博士課程修了(Ph.D.)、放送大学大学院博士課程修了(博士(学術))。専門は言語学、特に歴史語用論、コミュニケーション論、文体論。

著書に『「させていただく」の語用論』(ひつじ書房)、『歴史語用論の世界』(共編著/ひつじ書房)、『歴史語用論入門』(共編著/大修館書店)など。

 

 


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