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『脱炭素革命への挑戦 世界の潮流と日本の課題』2050年カーボンニュートラルに向けて、いま何が必要なのか?

堅達京子さん+NHK取材班著『脱炭素革命への挑戦 世界の潮流と日本の課題』

堅達京子さん+NHK取材班著『脱炭素革命への挑戦 世界の潮流と日本の課題』

話題のNHK番組を書籍化した、堅達京子さん+NHK取材班著『脱炭素革命への挑戦 世界の潮流と日本の課題』が、山と溪谷社より刊行されました。

 

火力発電所やガソリン車が「座礁資産」に?

「2050年脱炭素」に向けて舵が切られた日本。しかしその実態は、世界の潮流から大きく取り残されています。

 
欧米では洋上風力発電や太陽光発電が普及して、再生可能エネルギーの電気代が大幅に安くなっている中、石炭に依存した日本の火力発電は、再生可能エネルギーの普及を妨げているばかりか、「RE100」(再エネ100%での事業運営)の実現やカーボンニュートラルの達成を遅らせる要因ともなっています。

今後、気候危機の進行を食い止めるために、脱石炭への圧力がますます強まり、石炭火力発電所は「座礁資産」(価値が毀損して投資回収できなくなる資産)となることが想定されます。そのため、欧米では石炭・石油からの投資撤退がすでに始まっています。

 
政策面で見ても、EUやバイデン政権に変わったアメリカでは数百兆円規模を脱炭素に投じることが決定されています。再生可能エネルギーが最も安い電力となって市場に出回り、自動車のEV化促進政策として、数十万規模の充電ステーションの敷設、2030年代のガソリン車の実質販売禁止、再エネ普及に欠かせない送電網などインフラの整備が強化され、コロナ危機で傷んだ経済からの「グリーンリカバリー」が加速しています。

一方の日本では「失われた30年」の課題が次々と浮き彫りになり、世界の潮流から大幅に遅れを取っているのが現実です。

 
国連IPCCの最新の報告書では、このままでは、パリ協定の目標である1.5度に到達してしまう時期が早まるとの警告が出され、対策は待ったなしです。水害など温暖化による気候危機の影響が極めて大きい国の一つ日本。コロナによる経済打撃に加え、毎年のように頻発する異常気象が追い討ちをかける中、ピンチをチャンスに変えるために、いま何が必要なのか? 

 
番組で紹介された文明評論家のジェレミー・リフキン、アップル副社長のリサ・ジャクソン、前ユニリーバCEO ポール・ポールマン、慶應義塾大学の安宅和人教授へのロングインタビューに加え、『人新世の「資本論」』著者の斎藤幸平さんが問いかける資本主義のありようについても論考。脱炭素をめぐる世界の潮流と日本の課題を、わかりやすく解説しています。

NHKスペシャル『激変する世界ビジネス “脱炭素革命”の衝撃』、BS1スペシャル『グリーンリカバリーをめざせ! ビジネス界が挑む脱炭素』など数々の番組を制作してきたプロデューサーによる渾身の提言書です。

 

本書の構成

序章 止まらない「脱炭素」の潮流

第1章 なぜいま、グリーンリカバリーが必要か

第2章 なぜ金融界は変わったのか カーボンバジェットのリアル

第3章 深刻化する気候危機 迫り来るティッピングポイント

第4章 日本は追いつけるのか? ビジネスの現場を追う

第5章 重厚長大も変化 産業界が挑むカーボンニュートラル

第6章 ファッション・食料システム・建築 〝衣食住〟の挑戦

第7章 めざすべき未来 グリーン×デジタル

第8章 変わり始める私たちのライフスタイル

第9章 資本主義で脱炭素は実現できるのか?

終章 これが日本のラストチャンス

 

著者プロフィール

著者の堅達京子(げんだつ・きょうこ)さんは、1965年生まれ。福井県出身。NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー。

早稲田大学、ソルボンヌ大学留学を経て、1988年、NHK入局、報道番組のディレクター。2006年よりプロデューサー。NHK環境キャンペーンの責任者を務め、気候変動やSDGsをテーマに数多くの番組を放送。NHKスペシャル『激変する世界ビジネス “脱炭素革命”の衝撃』 『2030 未来への分岐点 暴走する温暖化 “脱炭素”への挑戦』、BS1スペシャル『グリーンリカバリーをめざせ! ビジネス界が挑む脱炭素』はいずれも大きな反響を呼んだ。2021年8月、株式会社NHKエンタープライズに転籍。日本環境ジャーナリストの会副会長。環境省中央環境審議会臨時委員。文部科学省環境エネルギー科学技術委員会専門委員。世界経済フォーラムGlobal Future Council on Japanメンバー。東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員。

主な著書に『NHKスペシャル 遺志 ラビン暗殺からの出発』『脱プラスチックへの挑戦 持続可能な地球と世界ビジネスの潮流』。

 

 


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