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『ミッシングワーカーの衝撃 働くことを諦めた100万人の中高年』「脱落」するリスクは、誰にでもある!

『ミッシングワーカーの衝撃 働くことを諦めた100万人の中高年』(著:NHKスペシャル取材班)

『ミッシングワーカーの衝撃 働くことを諦めた100万人の中高年』(著:NHKスペシャル取材班)

社会問題化する「中高年ひきこもり」解決の糸口を探る『ミッシングワーカーの衝撃 働くことを諦めた100万人の中高年』(著:NHKスペシャル取材班)が、NHK出版より刊行されました。

 

働き盛り世代が「中高年ひきこもり」に!? 誰もが陥りかねない「消えた労働者(ミッシングワーカー)」の実態に迫る!

今、40代、50代の中高年に異変が起きています。働かず、仕事を求めず、親の年金に依存して暮らす「隠れ貧困層」が急増しているのです。

雇用統計上、求職活動をしていない人は「失業者」に反映されないため、労働市場から「消えた」状態、すなわち「ミッシングワーカー」となり、アメリカで問題視され始めています。
日本でも、内閣府が2019年3月に、40歳から64歳で自宅に半年以上ひきこもっている人が推計61万3,000人に上ると発表(「生活状況に関する調査(平成30年度)」)しています。

 
本書『ミッシングワーカーの衝撃 働くことを諦めた100万人の中高年』は、2018年6月2日に放送されたNHKスペシャル『ミッシングワーカー 働くことをあきらめて・・・』をもとに追加取材を行い、「ミッシングワーカー」問題の背景から解決の糸口までを描き出す一冊です。

 
第一章から第二章にかけて、「ミッシングワーカー」とは何か、落ちこぼれていく中高年たちの現状、彼らがいかなる理由で社会から「消えて」いくかなど、実際の「ミッシングワーカー」の事例を取り上げて解説します。

第三章では、誰にでも可能性がある「脱落」のリスクに焦点を当て、家事や介護など、誰もが陥りかねない日常の出来事がきっかけで、正社員から非正規になることもあり得るのだという事実に迫ります。

第四章では、「ミッシングワーカー」を生み出す社会や、彼らが陥る社会的な孤立状態、生活保護高齢者の増加など、さまざまな構造要因について、専門家の視点から問題を紐解いていきます。

そして最後の第五章で、「ミッシングワーカー」を脱するためにはどうすればよいかを考えていきます。とりわけ事態を深刻化させてしまった「ミッシングワーカー」である男性への密着取材を通して、社会へ復帰するための希望を探ります。

 

本書の構成

はじめに

第一章 「ミッシングワーカー」とは何か
落ちこぼれる中高年たち
正社員から非正規へ
労働者が統計から「消える」
「ミッシングワーカー、一〇三万人」の衝撃
母親の介護のために退職
要介護度2でも大変な自宅での介護
正社員から非正規、そして無職へ
こうした親子をどう救うか?
「8050問題」というパンドラの箱
「早期発見・早期支援」の重要性
離れて住む「決断」をした、ある父と息子
閉ざされた密室での親子介護の凄絶さ
親のためにも自分の人生を取り戻す
「世帯分離」の前に立ちふさがった困難とは
引っ越しの日の親子の様子
施設に入る父親からのエール
「ミッシングワーカー」からの脱却

第二章 労働者はいかに社会から「消える」か
「ミッシングワーカー」から抜け出せない人
親の遺産で食いつなぐ日々、預金が底をつく恐怖
順調だった正社員時代
介護をさらに追い詰めた認知症の症状
就労支援などの制度だけではなぜ不十分か
「心訓」が彫られた木彫りの飾り板
「おいしい味に慣れたくない」
唯一残った家族、インコの死
働くという誇りを失って自己否定しがちに
介護二〇年間で失ったこと
「終わらない介護」の悪夢
花見でつぶやいた「消えた人間」

第三章 脱落するリスクは誰にでもある
アメリカ経済の「謎」から浮かび上がった存在
日本版「ミッシングワーカー」とは
「ニート」でも、「ひきこもり」でもない
「ミッシングワーカー」の社会的コストを考える
ある「ミッシングワーカー予備軍」の現実
次の仕事がないまま雇い止め
バブルからの転落
背負った父の介護
実家に帰るたびに襲ってくる恐怖
「将来のことを突き詰めて考えてみたい」
独身中高年×非正規×女性
彼らは負けが決まった「消化試合」をしているのか

第四章 専門家の視点から構造要因に迫る
「ミッシングワーカー」を生み出す社会とは
待っているのは生活保護高齢者の急増
超人手不足でもなぜ問題が解決しないのか
「ミッシングワーカー」と社会的孤立
「親亡き後」の孤立
「消えた労働者」を再び労働市場へ
ある「女性ミッシングワーカー」の挑戦
次のステップは「長続き」への支援

第五章 「ミッシングワーカー」を脱するために
角谷晃男さんとの出会い
ゴミ屋敷とセルフ・ネグレクト
ひきこもり+ゴミ屋敷=孤立の深刻化
非正規の肉体労働を経て「ミッシングワーカー」に
生きる気力を失って
ゴミ屋敷からの脱出
取り戻した「つながり」
地域に恩返しをしたい
必要とされる自分
再び「働く」ことはできるのか
発覚した残酷な現実
労働市場への復活

おわりに

 

ミッシングワーカーの衝撃: 働くことを諦めた100万人の中高年 (NHK出版新書)
NHKスペシャル取材班 (著)

安心してはいけない――。労働市場の「落とし穴」に陥るリスクは、誰にでもある!

労働問題を継続取材する中で見えてきたのは、雇用統計にすら反映されず、労働市場から“消えた”状態となっている中高年たちの存在だった。その数、100万人超。果たして、働き盛りのはずの40代・50代に、いま何が起きているのか? 日本経済にまで負のインパクトをもたらす、労働市場の「落とし穴」とは? ふとしたきっかけで誰もが陥りかねない「消えた労働者(ミッシングワーカー)」の実態と、その問題の背景、そして解決の糸口を、密着取材から多角的に描き出した、渾身の一冊。

 


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