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第40回講談社ノンフィクション賞の最終候補5作品が決定

講談社は6月5日、平成30年度(第40回)講談社ノンフィクション賞の最終候補作品を発表しました。

 

第40回講談社ノンフィクション賞 最終候補作が決定

第40回講談社ノンフィクション賞の最終候補作品は次の通りです。
なお、受賞作は7月20日に決定する予定です。

 
【最終候補作品】

●高梨ゆき子(たかなし・ゆきこ)さん
『大学病院の奈落』(講談社)

●東良美季(とうら・みき)さん
『満たされることのない東京の闇を駆け抜ける デリヘルドライバー』(駒草出版)

●旗手啓介(はたて・けいすけ)さん
『告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実』(講談社)

●宮下洋一(みやした・よういち)さん
『安楽死を遂げるまで』(小学館)

●横田増生(よこた・ますお)さん
『ユニクロ潜入一年』(文藝春秋)

 

講談社ノンフィクション賞について

講談社ノンフィクション賞は、1979年創始されたノンフィクションを対象とした文学賞です。講談社が主催。

なお、講談社が2019年に創業110周年という節目の年を迎えるにあたり、次回より同賞は、戦後日本を代表するノンフィクションの書き手の一人・本田靖春さん(1933~2004)の名を冠し、「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」に改称されます。

 

大学病院の奈落
2014年、群馬大学医学部附属病院で手術を受けた患者8人が相次いで死亡したことが発覚した。
執刀したのは、40代男性医師・早瀬だった。
読売新聞医療部のエース・高梨記者は、この事実を察知。2014年11月にスクープ記事を放ったところから、医学界を揺るがす大スキャンダルがはじめて白日のもとにさらされた。
院内調査によって、さらに10人が死亡していたことが発覚。
技量の未熟な早瀬が、超一流外科医でも尻込みする言われた高難度の最先端手術に挑んだのはなぜなのか。
死亡例が積み重なるなかで、なぜ誰も早瀬の「暴走」を止めなかったのか。
その背景には、群馬大学病院内のポスト争い、学閥、セクハラ問題が影を落としていた――。
乱れ飛ぶ怪文書。
患者には知らされない、保険診療の闇。
旧帝大がいまだに力を振るう、医師会の勢力争い。
いまなおそびえ立つ、「白い巨塔」――。
高梨記者は一連の報道で日本新聞協会賞を受賞している。

 
デリヘルドライバー

 
男たちの欲望と女たちの切ない思いを乗せて。
東京の夜を走り続ける男たちの真実。

デリバリーヘルスは、ほとんどが夕刻から早朝にかけて営業される。
文字通り夜の闇に覆い隠されているとも言える。
そんな闇に包まれたデリヘルの内情を、誰よりも肌で感じているのがデリヘルドライバーたちだ。
バイオリン学生コンクール日本一、ヤクザ、闇金、プッシャー、風俗店経営者、元女性で性転換の後にデリヘルドライバーに……
さまざまな道のりを経て、デリヘルドライバーという職業にたどり着いた9人の男たちのドラマ。

デリヘル嬢たちは自分と自分についた客しか知らないが、彼らドライバーは多数の女性を乗せ、さまざまな街から街へと走り、多種多様な客へと送り届けている。
欲望が満ちた夜の中で、デリヘルドライバーだけが確かなフィジカルを持ち、自分の腕でハンドルを握り、自分の足でブレーキとアクセルを操り、確かな現実世界とデリヘル嬢を乗せ客の元に走らせている。
そんな世界の中で、デリヘルドライバーたちはいったい何を見て、何を感じ、何を思うのか。
また、この実態のない夜の中で、彼らは何を見て何を獲得したのだろう。
それは本書に登場する九人の男たちが明らかにしてくれるはずだ。

 
告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実
「息子がどのような最期を遂げたのか、教えてくれる人はいませんでした」――日本が初めて本格的に参加したPKO(国連平和維持活動)の地・カンボジアで一人の隊員が亡くなった。だが、その死の真相は23年間封印され、遺族にも知らされていなかった。文化庁芸術祭賞優秀賞など数々の賞を受賞したNHKスペシャル待望の書籍化。隊員たちの日記と、50時間ものビデオ映像が明らかにした「国連平和維持活動の真実」。

 
安楽死を遂げるまで
死の「瞬間」にまで立ち会った衝撃ルポ!

安楽死、それはスイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、アメリカの一部の州、カナダで認められる医療行為である。超高齢社会を迎えた日本でも、昨今、容認論が高まりつつある。しかし、実態が伝えられることは少ない。

安らかに死ぬ――。本当に字義通りの逝き方なのか。患者たちはどのような痛みや苦しみを抱え、自ら死を選ぶのか。遺された家族はどう思うか。

79歳の認知症男性や難病を背負う12歳少女、49歳の躁鬱病男性。彼らが死に至った「過程」を辿りつつ、スイスの自殺幇助団体に登録する日本人や、「安楽死事件」で罪に問われた日本人医師を訪ねた。当初、安楽死に懐疑的だった筆者は、どのような「理想の死」を見つけ出すか。

<医師は、老婦に向かって、「もう大丈夫よ、もう少しで楽になるわ」と呟いた。15、16、17秒、そして20秒が経過した時、老婦の口が半開きになり、枕にのせられていた頭部が右側にコクリと垂れた。まるで、テレビの前でうたた寝を始めたかのようだった。・・・・・・死の直後、犯行現場に居合わせている気分に襲われた。私は老婦の横で、ただ祈りを捧げ、自らへの罪滅ぼしを演じていた>――プロローグより

 
ユニクロ潜入一年
ワンマン経営に疲弊する現場を克明に描く潜入ルポルタージュの傑作!

サービス残業、人手不足、パワハラ、無理なシフト、出勤調整で人件費抑制――。
「(批判する人は)うちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」
そんな柳井正社長の言葉に応じ、ジャーナリストはユニクロの店舗への潜入取材を決意。妻と離婚し、再婚して、姓を妻のものに変え、面接に臨んだ――。

「週刊文春」誌上で大反響を呼んだ「ユニクロ潜入ルポ」をもとに、一年にわたる潜入取材の全貌を書き下ろした。読む者をまさにユニクロ店舗のバックヤードへと誘うかのような現場感に溢れたルポルタージュである。気鋭のジャーナリストが強い意志をもち、取材に時間をかけ、原稿に推敲を重ねた読み応えのあるノンフィクション作品が誕生した。

 
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