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第44回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」最終候補作が決定! インベカヲリ★さん、鈴木忠平さん、高梨ゆき子さん、中日新聞編集局・秦融さん、常井健一さん、藤岡雅さんの計6作品

第44回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」最終候補作が決定!

第44回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」最終候補作が決定!

講談社は5月31日、令和4年度(第44回)「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」の最終候補作品を発表しました。

 

第44回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」最終候補作品が決定!

第44回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」の最終候補作品は次の通りです。なお、受賞作は7月21日に決定する予定です。

 
【第44回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」最終候補作品】

◎インベカヲリ★さん
『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』(KADOKAWA)

◎鈴木忠平(すずき・ただひら)さん
『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(文藝春秋)

◎高梨ゆき子(たかなし・ゆきこ)さん
『命のクルーズ』(講談社)

◎中日新聞編集局 秦融(はた・とおる)さん
『冤罪をほどく “供述弱者”とは誰か』(風媒社)

◎常井健一(とこい・けんいち)さん
『おもちゃ 河井案里との対話』(文藝春秋)

◎藤岡雅(ふじおか・ただし)さん
『保身 積水ハウス、クーデターの深層』(KADOKAWA)

 

「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」について

「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」は、講談社が主催するノンフィクションを対象とした文学賞です。1979年に創始された「講談社ノンフィクション賞」を2019年(第41回)より改称。

講談社が2019年に創業110周年という節目の年を迎えるにあたり、戦後日本を代表するノンフィクションの書き手の一人・本田靖春さん(1933~2004)の名を冠することとなりました。ちなみに、本田さん自身も第6回講談社ノンフィクション賞の受賞者です。

 

家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像
インベ カヲリ★ (著)

新幹線無差別殺傷事件。理解不能な動機、思考を浮き彫りにする驚愕のルポ!

国家に親代わりを求めた男。
法廷で無期懲役に万歳三唱をし、殺人犯なのに刑務所で生存権を主張し続ける犯人・小島一朗。
誰も踏み込まなかったその内面に、異端の写真家が迫る。全真相解明、驚愕の事件ルポ!

犯人はいったい何者なのか?
―――――
【新幹線無差別殺傷事件】
2018年6月9日、走行中の東海道新幹線の車内で男女3人が襲われ、2名が重軽傷、男性が死亡した。「刑務所に入りたい」という動機だったため、一審で無期懲役となった際に小島一朗は法廷で万歳三唱をした。控訴せず20年1月に刑が確定。小島は刑務所内で生存権を主張し続けている。
―――
2008年以降の無差別殺人事件の犯人は前科前歴なし、両親は揃っており、貧困家庭でもなく友人関係に問題もない、「普通」の者が多い。
だが、「死刑になるため」「刑務所に入るため」と彼らは犯行に及ぶ。
約3年にわたる取材で理解不能な動機、思考を浮き彫りにする驚愕のルポ!

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか
鈴木 忠平 (著)

なぜ 語らないのか。
なぜ 俯いて歩くのか。
なぜ いつも独りなのか。
そしてなぜ 嫌われるのか――。

中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースですべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた。それでもなぜ、落合博満はフロントや野球ファン、マスコミから厳しい目線を浴び続けたのか。秘密主義的な取材ルールを設け、マスコミには黙して語らず、そして日本シリーズで完全試合達成目前の投手を替える非情な采配……。そこに込められた深謀遠慮に影響を受け、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった12人の男たちの証言から、異端の名将の実像に迫る。
「週刊文春」連載時より大反響の傑作ノンフィクション、遂に書籍化!

命のクルーズ
高梨 ゆき子 (著)

ふと気付くと、涙がぼろぼろとほおをつたっていく。
「あれ、俺、なんで泣いてんだろ」
自分でもわけがわからなかった。
「東日本大震災以来の、とんでもないことが起きていると思って」ーー
2020年1月、横浜を出港した豪華客船、ダイヤモンド・プリンセス号は、香港、ベトナム、台湾をめぐっていた。
沖縄・那覇を経て、2月4日に横浜に戻る予定だったが、その直前、香港で下船した中国人乗客が発症したことが判明する。船内でも発熱した乗客が次々に医務室を訪れていた。
しかし、そのとき、多くの乗客はまだ「異変」に気付いてはいなかった。
正装のディナー、外国人歌手によるエンターテインメント、絵画展、マージャン、有志による合唱発表会などが行われ、旅のフィナーレを目前にしていた。
日本政府には、衝撃的な情報がもたらされる。発熱した31人の乗客のうち、10人が「新型コロナウイルス陽性」だったのだ。
横浜で下船予定だった乗客たちは、船内に足止めされることになり、まず厚労省の医系審議官と、横浜検疫所の検疫官らが乗船。その後、災害派遣医療チーム=DMATの面々が乗船した。
DMATは震災や水害など、災害時に発生する病人の救護にあたるボランティア医師たちである。事務局が片っ端から電話してかき集めたメンバーだった。当然、感染リスクはある。家族は反対する。活動の法的裏付けさえ満足になかった。
「俺たちがやらなければ」という使命感だけがよりどころだった。
連日、乗客・乗員数十人の感染が判明。2月17日、陽性者は99人にのぼった。
ある外国人女性は、感染が判明したものの下船することを嫌がり、駄々っ子のように床を転がった。部屋で暴れたイタリア人男性もいた。
混乱をきわめた船内で、医師たちは感染と隣あわせになりながら、困難なミッションにあたっていた。
「薬を」「情報を」焦燥を募らせる乗客の気持ちに、どう向き合えばいいのか。
やがて迎えた、大切な人との別れーー。
医師、乗客への重厚な取材で描きだす、感涙のノンフィクション。

冤罪をほどく: “供述弱者”とは誰か
中日新聞編集局 (著), 秦融 (著)

「私は殺ろして いません」─。獄中で無実を訴え、十二年間書き続けた三百五十余通の手紙…。冤罪の罠にとらわれる〈供述弱者〉の存在を明るみに出し再審無罪へと導いた画期的な調査報道は、いかにして可能となったか。石橋湛山記念・早稲田ジャーナリズム大賞受賞。

おもちゃ 河井案里との対話
常井 健一 (著)

すらっと伸びた脚と大きな目、最先端のセクシーなファッションに身を包んで政界に登場したときは、マスコミはこぞって「女性政治家の星」として好意的に取り上げた。しかし、史上最大級の選挙違反で逮捕されるや、手のひらを返したように、「稀代の悪女」としてここぞとばかりに叩いた。
河井案里。
参院議員として活動したのは二年足らずだったが、世間に大きなインパクトを残した。
彼女はマスコミの寵児となったが、実のところ、彼女のプライベートをよく知る記者はいない。
筆者は、当選直後から逮捕されるまで、インタビューなどの取材だけでなく、ことあるごとに電話やメールでやり取りをしてきた稀少な存在である。筆者の手元には、膨大な量の録音、メールがある。
あらためてそれらを読み返すと、不思議なことに気が付く。
宮崎で成功した建築家の家に生まれ、慶応大学に進学し、代議士の妻、そして自身も県会議員から参院議員と、これだけ聞くと恵まれすぎた人生のように見えるが、彼女からは、いっこうに幸せそうなようすがうかがえないのだ。
生きづらい女。
筆者は彼女の生まれた宮崎を訪れることからはじめ、その人生をあらためて取材してみた。すると、そこには、マスコミで見せた鼻っ柱の強い美人政治家とは別の顔が見えてきた。
タイトルの「おもちゃ」は、案里のメールにあった言葉だ。官邸も関与したであろう買収事件だから、きっと検察がもみ消してくれる。そんな期待は、黒川東京高検検事長のスキャンダルで吹き飛んだ。
「私も黒川さんも、権力闘争のおもちゃにされたんです」
河井案里という一人の女性政治家の人生を通して、現代社会における女性の生きづらさに迫る。
小泉純一郎、中村喜四郎に続く、政治家独白三部作の完結編。

保身 積水ハウス、クーデターの深層
藤岡 雅 (著)

なぜ、小物ばかりトップになるのか?役職が上の者ほど責任から逃げるのか?

なぜ、小物ばかりトップになるのか!?
日本にはいまだ経営トップの不正を監視し、正す機能がない。
隠蔽された「騙されるはずのなかった」地面師事件。積水ハウスで起きたクーデターの内実を明かし、この国の漂流する企業倫理までも抉る経済ルポ!

地面師=他人の土地を自分のもののように偽って第三者に売り渡す詐欺師
積水ハウスは地面師に騙され、取引総額70億円、55億5900万円を支払った。

役職が上の者ほど、責任から逃げる。
実力派会長の突然の辞任。それは、社長の「保身」によるクーデターだった!
積水ハウスでは2018年、地面師事件の全容解明を進める会長が失脚した。
背景には、事件への社長責任が明記された「調査報告書」の存在があった。
責任を問われた社長が、会長を返り討ちにしたのだ。
11年のオリンパス事件以降、東芝、日産自動車、関西電力、東京電力とトップ企業の不祥事が繰り返されている。
下には厳しく、上には優しい、名ばかりのコンプライアンスはなぜ蔓延したのか?
積水ハウス事件から、日本企業の腐敗構造までも暴く経済ルポ!

 
【関連】
令和4年度(第44回)講談社 本田靖春ノンフィクション賞 最終候補作品決定のお知らせ〔PDF〕

 


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