【第3回斎藤茂太賞】若林正恭さん『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』が受賞
日本旅行作家協会が主催する第3回斎藤茂太賞の選考会が5月25日に行われ、お笑いコンビ「オードリー」の若林正恭さん著『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』が受賞作に決定しました。
斎藤茂太賞について
「斎藤茂太賞」は、長年にわたり世界と日本の旅行文化の発展に貢献した、日本旅行作家協会創立会長の故・斎藤茂太さんの功績をたたえ、その志を引き継ぐために2016年に創設。前年に出版された紀行・旅行記、旅に関するエッセイおよびノンフィクション作品の中から優れた著作を表彰する文学賞です。
審査員は下重暁子さん(作家・日本旅行作家協会会長)、椎名誠さん(作家・日本旅行作家協会名誉会員)、芦原伸さん(ノンフィクション作家・日本旅行作家協会専務理事)、種村国夫さん(イラストレーター・エッセイスト・日本旅行作家協会会員)。
第3回斎藤茂太賞 受賞作品について
■第3回斎藤茂太賞 受賞作品
若林正恭さん『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(KADOKAWA)
【総評】日本旅行作家協会会長・下重暁子さん(談)
「最終選考に残った3作品のうち、『カナダ歴史街道をゆく』は、丁寧な取材に裏付けされた豊かな広がりを見せる作品ではあるが、その「物語性」に今ひとつ深みが足りなかった。残った『バッタを倒しにアフリカへ』(以下A)と『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(以下B)で賞を争うことになったが、当初は意見が二つに分かれた。面白さという点でいえばAが群を抜いている。しかし、すでに複数の賞を受賞し、評価が固まっていることなどが逆にマイナス要素となった。本賞の目的の一つは「新しい書き手を発掘する」ことでもある。航空券の予約サイトで見つけた、たった一席の空席。一人キューバに旅立った3泊5日の弾丸旅行をつづる本書はそのピュアな視点、ものの考え方も高評価の対象となった。思わず椎名委員から「純文学」という言葉が飛び出したほどの新鮮さとその将来性を重視した結果、今回はBを選ぶこととなった。お笑いの世界でも大活躍の著者が、文筆家としてさらに飛躍することを期待したい。」
【最終候補作】
『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎さん/光文社新書)
『カナダ歴史街道をゆく』(上原善広さん/文芸春秋)
『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(若林正恭さん/KADOKAWA)
なお、受賞者の若林正恭さんには正賞としてクリスタルのトロフィーが、 副賞として賞金30万円が贈られます。授賞式は7月26日18時30分から、千代田区内幸町の日本プレスセンター内「レストラン・アラスカ」にて開催。
斎藤茂太さん プロフィール
斎藤茂太さんは、1916年(大正5年)、歌人の斎藤茂吉の長男として東京に生まれます。精神医学者としても活躍。日本旅行作家協会の創立会長を長らく務めました。2006年(平成18年)11月20日逝去。作家の北杜夫さんは弟。
日本精神病院協会会長、アルコール健康医学協会会長、日本ペンクラブ理事などを歴任。
著作に『茂吉の体臭』(岩波書店)、『モタさんの“言葉”』(講談社)、『精神科の待合室』(中央公論社)、『モタさんのヒコーキ談義』(旺文社)、『モタさんの世界のりもの狂走曲』(角川学芸出版)など。
オードリー若林、東京から楽園キューバへ逃亡を図る!
読者の共感を呼んだ前作「社会人大学人見知り学部 卒業見込」を出発点に、新たな思考へと旅立ったオードリー若林の新境地!
累計20万部に迫る前作『社会人大学人見知り学部 卒業見込』。
そこで吐き出された社会への違和感、悩みは普遍的なものだと思っていたけれど、
「あれ? これって人が作ったシステム上の悩みに過ぎなかったのか?」
と気づいてしまった著者。
「俺が競争したい訳じゃなかった! 競争しなきゃ生きていけないシステムだった!」
新しい発見に意識がいったところで、
「別のシステムで生きる人々を見てみたい」
と、猛然とキューバへ旅立った。
キューバはよかった。そんな旅エッセイでは終わらない、間違いなく若林節を楽しんでもらえる、そして最後はホロリと泣ける、待望の書き下ろしエッセイです。
本当にプライベートで若林さんが撮ったキューバ旅行の写真も多数掲載予定。
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