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【第7回斎藤茂太賞】佐藤ジョアナ玲子さん『ホームレス女子大生 川を下る inミシシッピ川』が受賞 旅の魅力を伝える優れた書籍を選出した第4回「旅の良書」も発表

第7回斎藤茂太賞が決定!

第7回斎藤茂太賞が決定!

一般社団法人「日本旅行作家協会」(会長:下重暁子さん/会員数180人)は、紀行・旅行記、旅に関するエッセイおよびノンフィクション作品の中から優れた著作を表彰する「第7回斎藤茂太賞」の受賞作を発表しました。

また同時に、旅の持つさまざまな魅力を読者に伝えてくれる優れた書籍を選出した第4回「旅の良書」も発表されました。

 

第7回斎藤茂太賞が決定!

第7回斎藤茂太賞の選考会が6月16日、学士会館にて開催され、受賞作が次の通り決定しました。

 
<第7回斎藤茂太賞 受賞作品>

佐藤ジョアナ玲子(さとう・じょあな・れいこ)さん
『ホームレス女子大生 川を下る inミシシッピ川』(報知新聞社)

 
審査員は、下重暁子さん(作家/日本旅行作家協会会長)、椎名誠さん(作家/日本旅行作家協会名誉会員)、大岡玲さん(作家/東京経済大学教授)、芦原伸さん(ノンフィクション作家/日本旅行作家協会専務理事)、種村国夫さん(イラストレーター・エッセイスト/日本旅行作家協会常任理事)。

第7回斎藤茂太賞の授賞式は東京・内幸町の日本プレスセンター内 レストラン・アラスカにて7月27日(水)に開催。

 
なお、第7回斎藤茂太賞の最終候補作は以下の4作品でした。

【最終候補作品】
◎熊谷はるかさん『JK、インドで常識ぶっ壊される』(河出書房新社)
◎佐藤ジョアナ玲子さん『ホームレス女子大生 川を下る inミシシッピ川』(報知新聞社)
◎黒川創さん『旅する少年』(春陽堂書店)
◎安田浩一さん・金井真紀さん『戦争とバスタオル』(亜紀書房)

 

受賞者・佐藤ジョアナ玲子さん プロフィール&受賞コメント

受賞者の佐藤ジョアナ玲子さんは、1996年生まれ。東京都港区出身。日比ハーフ。都立工芸高校卒業後、生物学を志し米・ネブラスカ州に大学留学。現在はコロラド州のダン・フレンチ剥製工房にて剥製師を目指して修行中。ロッキー山脈に点在するフォーティナーズと呼ばれる標高1万4000フィート(4267m)を超える53の山々を制覇するべく、山登りに興じています。

 
【受賞コメント】

「受賞の知らせを受けたのは、ドナウ川下りの旅の真っ最中で、ブルガリアの市場の真ん中で、何事かと商店から人が出てくるくらい、思わずオーマイガッ!と叫びました(笑)。無名の私がはじめて書いた旅行記ですが、審査員の先生方に楽しく読んで頂けたことがとてもうれしいです。これからも、世界をカヤックで旅して、たくさん書き残していきたいです。この度は、本当にありがとうございました!」

 

[選評] 下重暁子さんより

最終選考に残った4作品は、いずれも個性的で読みごたえがあった。中でも『ホームレス女子大生 川を下る inミシシッピ川』は、実体験した人でないとわからない、川とその周辺の様子が臨場感たっぷりに書き込まれていて、ぐいぐい引き込まれた。『旅する少年』の黒川創氏は、初めての旅ものだそうだが、さすがに文章もうまく構成も確か。中学生のときにこんな旅をしたことにも驚かされる。ただ、すでに作家としての実績もあるプロの手による、いわば王道すぎる作品であり、むしろインパクトに欠けるように思う。『戦争とバスタオル』は、男女二人の掛け合いやイラストも良い。ただ旅の最初の目的と結果が違ったものになってしまったことに疑問をもった。『JK、インドで常識ぶっ壊される』は、高校生にしてはうまく書けていると思う。豊かな表現力にも驚かされた。惜しむらくは、若さと飛躍だけで書いていて、かみしめていない、消化不良気味なところが気になる。インドへ行くことになったのも、自分が興味をもったからではなく、たまたま父親の転勤によるものだったことも弱点といえる。その点、近い世代でありながら、評価が大きく分かれるのが『ホームレス女子大生 川を下る inミシシッピ川』。川下りは自分の意思でやり始めたことであり、その行動は野性味にあふれ、たくましく、のびのびとしていて、心をわしづかみにされた。本のタイトルがちょっと違う気がするが、他の選考委員もこの作品に第7回斎藤茂太賞を贈ることに異議はなく、最後は満場一致で決まった。著者に早く会ってみたい。

 

斎藤茂太賞について

「斎藤茂太賞」は、長年にわたり世界と日本の旅行文化の発展に貢献した、日本旅行作家協会創立会長の故・斎藤茂太さんの功績をたたえ、その志を引き継ぐために2016年に創設。前年に出版された紀行・旅行記、旅に関するエッセイおよびノンフィクション作品の中から優れた著作を表彰する文学賞です。

 
<斎藤茂太さん プロフィール>

斎藤茂太さんは、1916年(大正5年)、歌人の斎藤茂吉の長男として東京に生まれます。精神医学者としても活躍。日本旅行作家協会の創立会長を長らく務めました。2006年(平成18年)11月20日逝去。作家の北杜夫さんは弟。

日本精神病院協会会長、アルコール健康医学協会会長、日本ペンクラブ理事などを歴任。

著作に『茂吉の体臭』(岩波書店)、『モタさんの“言葉”』(講談社)、『精神科の待合室』(中央公論社)、『モタさんのヒコーキ談義』(旺文社)、『モタさんの世界のりもの狂走曲』(角川学芸出版)など。

 

旅の持つさまざまな魅力を読者に伝えてくれる優れた書籍を選出した第4回「旅の良書」も発表!

「旅の良書」は、基本的に中学生以上を対象として、旅の持つさまざまな魅力を読者に伝えてくれる優れた書籍を選出するもので、斎藤茂太賞の選考過程でセレクトしたすべての作品を対象として、斎藤茂太賞の選考システムを活用して斎藤茂太賞実行委員会が選考・選出し、日本旅行作家協会の理事会の承認を経て認定するものです。

今年が第4回目の発表となり、日本旅行作家協会選定の「旅の良書」マークを、選ばれた「旅の良書」の版元へ無償で提供します。

 
<第4回「旅の良書」選出作品>

■『真夏の刺身弁当 旅は道連れ世は情け』(沢野ひとしさん/産業編集センター)
子どもの頃の放浪や登山体験に始まって、世界あちこちへの旅行や長期滞在の思い出を味のある筆致で描く28篇のエッセイ集。氏ならではのイラストも文章に素敵にマッチング。

 
■『80歳、歩いて日本縦断』(石川文洋さん/新日本出版社)
報道カメラマンとしてベトナム戦争などの取材で知られる御年80歳の石川文洋氏の日本縦断歩き旅日記。歩き旅ならではの出会いと気づきと感動に満ちた3500キロの旅の物語。

 
■『世界遺産 キリシタンの里 長崎・天草の信仰史をたずねる』(本馬貞夫さん/九州大学出版会)
長崎、平戸、天草、外海、五島列島と潜伏キリシタンの里を訪ね、貴重な証言とともにその聖地や史跡を丹念にたどる。この地の世界文化遺産を巡るガイドとしても必携の1冊。

 
■『ぶらりユーラシア 列車を乗り継ぎ大陸横断、72歳ひとり旅』(大木茂さん/現代書館)
72歳のカメラマンによるユーラシア大陸最東端から最西端まで16か国を行く2万キロの鉄道紀行。ユーラシアの人々、暮らし、そして地域と文明を活写する1000枚の写真も見事。

 
■『観光の力 世界から愛される国、カナダ流のおもてなし』(半藤将代さん/日経ナショナルジオグラフィック社)
コロナ後の観光でますます重要視されるサスティナブルツアーという考え方。この課題解決へのヒントとなる、サスティナブルツアー先進国カナダの8つの事例にみる旅の新しい形。

 
■『花街の引力 東京の三業地、赤線跡を歩く』(三浦展さん/清談社Publico)
花街、三業地、遊廓、岡場所、赤線地帯、カフェー街……。「夜の街」の残り火のような痕跡を残す43の街を歩き、失われつつある昭和という時代の手触りを求めてルポルタージュ。

 
■『旅がくれたもの』(蔵前仁一さん/旅行人)  
著者が旅先で買ったり、もらったり、拾ったりしたさまざまなコレクションを約400点、入手したエピソードとともに紹介。カラー写真満載で、見て、読んで、世界を楽しめる1冊。

 
■『ポルトガル、西の果てまで』(福間恵子さん/共和国)  
ポルトガルに通うこと18年、13回もの旅。だからこそ生まれた人との出会い、お気に入りの食堂…。著者の一つひとつ大切にしているエピソードが織りなす魅惑の紀行エッセイ。

 
■『JK、インドで常識ぶっ壊される』(熊谷はるかさん/河出書房新社)
高校入学を目前に控え父親の転勤により突然インドへ引っ越すことに。格差社会の光と影を女子高生視線で描く、眩しくて、清々しくて、でも頼もしさすら感じさせるインド滞在記。

 
■『旅する少年』(黒川創さん/春陽堂書店)
著者の少年時代、1973年の小学6年から中学3年卒業までの回想旅行記。著者撮影の写真、切符類も多数掲載。繰り返された旅のディテールがほぼ正確に記された稀有な作品。

 
■『戦争とバスタオル』(安田浩一さん・金井真紀さん/亜紀書房)
風呂好きの2人が、タイ、沖縄、韓国、大久野島(広島県)など旅先の風呂をめぐり「湯けむりの先にある歴史の真実」をたどる旅。世代も性別も異なる二人の共著だからこそ描けた歴史紀行。

 

ホームレス女子大生川を下る―inミシシッピ川

佐藤 ジョアナ玲子 (著)

訳あって単身異国の地に渡った著者のノンフィクション冒険記。ワクワクとドキドキが詰まった一冊です。

<目次>
第一部 ミズーリ川 編 サウス・スーシティ~セント・ルイス
1 ホームレスへの転落
2 フォールディングカヤックとは
3 ホームレス3日目の事件
4 ネブラスカの野生
5 カンザスシティと野宿の手引き
6 ワイルドカヌー四人衆
7 穴あきカヤック
8 マイアミの人口は170人
9 セントルイス
第二部 ミシシッピ川 前編 セント・ルイス~セントフランシスビル
1 ミシシッピ川の巨大船
2 蛇口の水はどこから来る?
3 孤島の鳥は肌の色を気にしない
4 お金持ちとの遭遇
5 メンフィス
6 バイブルベルト
7 クラークスデール
8 ミシシッピデルタ
9 ヴィックスバーグとヤズー川の今昔
10 ミシシッピ川はどこへ行く
11 野生のワニ
12 ナチェズと剥製職人
13 南部の歴史は奴隷の歴史
14 毎年水に沈む町
第三部 ミシシッピ川 後編 バトンルージュとメキシコ湾
1 バトンルージュとタンカー船
2 発がん横丁
3 ルイジアナの苦難
4 二人旅の楽しみ
5 引きの悪い男
6 最後の100マイル

 
【関連】
JTWO日本旅行作家協会

 


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