男たちはいかにして支配者になったのか――アンジェラ・サイニーさん『家父長制の起源』が刊行
アンジェラ・サイニーさん著『家父長制の起源 男たちはいかにして支配者になったのか』(解説:上野千鶴子さん/訳:道本美穂さん)が集英社より刊行されました。
「女より男のほうが強くて賢い」は、本当か?
今年放送されたNHKの朝ドラ「虎に翼」でも注目を集めた「家父長制」。
(特に年長の)男性が女性を支配するこの体制は、決して日本だけで見られる現象ではありません。
世界の多くの地域で、男性は社会的地位を独占しています。
この「家父長制」は、果たして人類誕生の時から続く必然的なものなのでしょうか?
生物学的に「男性は女性よりも強くて賢い」から、仕方が無いのでしょうか。
そもそもなぜ、男たちはこれほどまでに偉そうなのでしょうか。
こうした根本的な疑問に答えるべく、著者は最新の科学、考古学、人類学などの成果をもとに、歴史をひもとき、世界各地を訪ねながら、さまざまな「家父長制ではない社会」を掘り下げていきます。
徹底的な取材によって、私たちの思い込みは次々とくつがえされていきます。
そして一連の考察の結果、見えてきたものとは……。
「女性抑圧」の真の根源を探りながら、未来の変革と希望へと読者を誘うスリリングな一冊です。
【各界から絶賛の声、多数!】
家父長制は普遍でも不変でもない。
歴史のなかに起源のあるものには、必ず終わりがある。
先史時代から現代まで、最新の知見にもとづいた挑戦の書。
――上野千鶴子さん(社会学者)
男と女の「当たり前」を疑うことから始まった太古への旅。
あなたの思い込みは根底からくつがえる。
――斎藤美奈子さん(文芸評論家)
人類史を支配ありきで語るのはもうやめよう。
歴史的想像力としての女性解放。
――栗原康さん(政治学者)
家父長制といえば、”行き詰まり”か”解放”かという大きな物語で語られがちだ。
しかし、本書は極論に流されることなく、多様な” 抵抗” のありかたを丹念に見ていく誠実な態度で貫かれている。
――小川公代さん(英文学者)
<世界中で話題沸騰!>
WATERSTONES BOOK OF THE YEAR 2023 政治部門受賞作
2023年度オーウェル賞最終候補作
明晰な知性によって、家父長制の概念と歴史を解き明かした、息をのむほど印象的で刺激的な本だ。
――フィナンシャル・タイムズ
希望に満ちた本である。なぜかといえば、より平等な社会が可能であることを示し、実際に平等な社会が繁栄していることを教えてくれるからだ。
歴史的にも、現在でも、そしてあらゆる場所で。
他の文化の視点から物事を見ることで、私たちの生き方がまったく異なる光の中で明らかにされるのだ。
――ガーディアン
サイニーは、この議論にきらめく知性を持ち込んでいる。
興味深い情報のかけらを掘り起こし、それらを単純化しすぎずに、大きな全体像にまとめ上げるのが非常にうまい。
――オブザーバー
本書の構成
はじめに
第一章 支配
第二章 例外
第三章 起源
第四章 破壊
第五章 制限
第六章 疎外
第七章 革命
第八章 変化
おわりに
謝辞
解説 家父長制は永遠ではない 上野千鶴子
引用・参考文献
著者プロフィール
■アンジェラ・サイニーさん
科学ジャーナリスト。オックスフォード大学で工学、キングス・カレッジ・ロンドンで科学と安全保障の修士号をそれぞれ取得。オックスフォード大学・キーブルカレッジ名誉フェロー。マサチューセッツ工科大学院非常勤講師。BBCやガーディアンなど欧米の主要メディアに多数登場。主な著書に『科学の女性差別とたたかう──脳科学から人類の進化史まで』『科学の人種差別とたたかう──人種概念の起源から最新のゲノム科学まで』(いずれも作品社)など。
■解説:上野千鶴子(うえの・ちづこ)さん
社会学者。京都大学大学院社会学博士課程修了。社会学博士。東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。
著書に『家父長制と資本制』『近代家族の成立と終焉 新版』(いずれも岩波現代文庫)、『女ぎらい ニッポンのミソジニー』(朝日文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『情報生産者になる』(ちくま新書)など多数。
■訳:道本美穂(みちもと・みほ)さん
英語翻訳者。東京大学文学部社会学科卒業。大手通信会社勤務を経て独立。
主な訳書に『失われた報道の自由』(日経BP)、『地獄への潜入 白人至上主義者たちのダーク・ウェブカルチャー』(柏書房)、『トマトの歴史』(原書房)、共訳書に『告発──フェイスブックを揺るがした巨大スキャンダル』(ハーパーコリンズ・ ジャパン)など。
家父長制の起源 男たちはいかにして支配者になったのか アンジェラ・サイニー (著), 道本 美穂 (著) |
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