自分の身体の“きもちわるさ”に取りつかれた研究者・小鷹研理さんエッセイ『身体がますます分からなくなる』が刊行
自分の身体の“きもちわるさ”に取りつかれた研究者、小鷹研理さん渾身のエッセイ『身体がますます分からなくなる』が大和書房より刊行されました。
「からだの錯覚」の研究者が、からだの不確かさや思い通りにいかなさに考えを巡らせる科学人文エッセイ!
本書では、知的好奇心を揺さぶる数々のからだの錯覚実験を紹介しつつ、「からだとは何か、脳とは何か」という人文的考察を深めていきます。
知らなかった、意識していなかった「自分のからだ」のおもしろさが次々と襲いかかりるエキサイティングな研究と考察。
「一冊読めばからだのことがよくわかる」と思っていたら、「なんだかますます分からなくなってきた」という不思議な読後感を味わえます。
本書の構成
▼第1章 どうしても思い出せない左手のこと
両腕を奪われたディフェンダー
髭にまとわりつくこの左手について
闇に葬られたエイリアンの行動記録
右の頬を打たれたら左の頬を差し出さずにはいられない
外向的な右手と内向的な左手
顔触を奪われることで奪われるもの
▼第2章 誕生日が1日ズレた自分を想像する
奇数が好きですか、偶数が好きですか
ブーバとキキの運動学
偶数と奇数を踏みつけてみたならば
ブーバ世界のカフェで賑わう4人の女性たち
自己愛をあたりかまわず転写するバースデーナンバー
誕生日をずらすことによるきもちわるさ
奇数が好きになる誕生日、偶数が好きになる誕生日
数字から豊潤な連想世界が広がる女性たち
歴史上、ただの一度しか許されない実験
▼第3章 20秒間でシャッターを1回だけ押す
生きているものたちのリズム、しなやかなメトロノーム
初めての実験、窮屈に押し込められたシャッターの音塊
好きにボタンを押してください、とはいうけれど
集団を使って緊張を突破しようとする者たち
授業の外に飛び出した集団フリーシャッター実験
集団心理は本当にシャッターチャンスを高めているのか?
自由意志はキリのよい時間に現れる
今日、私は◯◯くんに告白をする
▼第4章 半地下のラバーファミリー錯覚
(第0節 序)
現実と虚構を同一の地平で編み直す
(第1節 建築物が「家」になるまで)
身体に宿る家族的なハーモニー
(第2節 接合型パラサイトの諸相)
自分と他人の入り混じったもの
出来事の同期体験が「家族」をつくりだす
「におい」という宇宙
他人として出会い直される自分
(第3節 交換型パラサイトの諸相)
身体を収納する「一つ」の容器の潔癖
切断されたラバーファミリー錯覚の憂鬱
(第4節 不可視型パラサイト、そして約束された悲劇へ)
▼終章 ――会ったことのない同居人(半自己特論)
神経の通っていない自分、としての他人
物語を持たない人間の倫理
未開の皮膚、未開の骨、頻発する「ビッグバン」
デッドライン
あとがき
著者プロフィール
小鷹研理(こだか・けんり)さんは、名古屋市立大学芸術工学研究科准教授。工学博士。2003年京都大学総合人間学部卒業。京都大学大学院情報学研究科、IAMAS、早稲田大学WABOT-HOUSE研究所を経て、2012年より現職。
野島久雄賞(認知科学会)、Best XR Content Award(ACM Siggraph Asia)、世界錯覚コンテスト入賞(2019-2021)など多数受賞。著書に『からだの錯覚』(講談社ブルーバックス)がある。
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