ヘーゲル哲学の現代的意義を問う!書『国家はなぜ存在するのか』が刊行
ヘーゲル研究の第一人者である大河内泰樹さん初の単著『国家はなぜ存在するのか ヘーゲル「法哲学」入門』がNHK出版より刊行されました。
西洋哲学史上トップクラスに難解とされる『法の哲学』を読み解く。
西洋哲学史上、最も難解とされるヘーゲル『法の哲学』はなぜ書かれたのか。
本書では、「精神現象学」と並ぶ知の巨人ヘーゲルの代表作を、「ポリツァイ」「コルポラツィオン」概念から読み解くことで、彼が見た市民社会の限界と、そこで理想とした国家の姿に迫ります。
なぜ私たちは、「法」を通じて「自由」になるのか。個人の自由を守りながら、公共性を復活させ、普遍的な幸福を実現させる方法はあるのか。そのことと、「人倫」の関係とは。批判や誤解のあるヘーゲル「法哲学」を現代的視点で捉えなおし、そこから積極的意義を鮮やかに取り出した入門書です。
『国家はなぜ存在するのか ヘーゲル「法哲学」入門』「はじめに」より
本書は、一九世紀ドイツの哲学者ヘーゲルの国家論にわかりやすい解説を与えることを目指しています。これまでもヘーゲルの「法哲学」や政治哲学については、類書が書かれてきました。ただ、本書の出発点となるのは私たちの記憶に新しいという意味で、とてもアクチュアルな問題、感染症によるパンデミックです。新型コロナウイルス感染症(Covid-19)は、私たちの時代の国家とその統治のあり方についてあらためて問題を提起しました。
じつは、ヘーゲルが生きていたのも感染症の時代であり、彼はその時代にパンデミックを引き起こしたコレラで死んだと考えられています。まさしく、感染症やその予防接種に対して社会がどう向き合うか、その際の国家の役割とは何かが議論されていた時代に、ヘーゲルは自分の社会哲学・国家哲学を練り上げようとしていました。
もっとも、本書はヘーゲルの国家論を感染症との関連からだけ扱おうとするものではありません。感染症対策という視点から出発して、そこに現れてくる近代国家の特徴について、ヘーゲルが何を考え、そして彼自身の哲学がそのことによってどのような性格を持つことになったのかを明らかにしていきます。
本書の構成
はじめに
序章 ヘーゲルの死と国家
第一章 『法の哲学』から見えてくること
第二章 市民社会の限界とは
第三章 公共性をいかに復活させるか
第四章 国家は何のために存在するのか
第五章 ヘーゲルの民主主義論と、その問題
おわりに
あとがき
後注
参考文献
著者プロフィール
大河内泰樹(おおこうち・たいじゅ)さんは、1973年生まれ、福岡県出身。京都大学大学院文学研究科教授。一橋大学大学院社会学研究科教授などを経て現職。哲学博士(ルール大学)。専攻はヘーゲルを中心とするドイツ観念論、批判理論、ネオ・プラグマティズムなど。日本ヘーゲル学会代表理事。NPO法人国立人文研究所代表。
著書に『生命と自然――ヘーゲル哲学における生命概念の諸相』(共編著、法政大学出版局、2024年)など。
国家はなぜ存在するのか: ヘーゲル「法哲学」入門 (NHKブックス) 大河内 泰樹 (著) 管理、統制しようとする権力といかに向き合うべきか? 知の巨人ヘーゲルの代表作の一つであり、西洋哲学史上、トップクラスに難解とされる『法の哲学』の核心に迫る! 「法」を通じて「自由」になる、とはどういうことなのか。そのとき、私たち個人と、大きな権力を持つ国家との関係はどうあるべきか。ヘーゲルが思い描いた国家体制の姿を、「ポリツァイ」「コルポラツィオン」といった概念に着目して読み解くことで、批判や誤解のあるヘーゲル「法哲学」から積極的意義を取り出した画期的入門書! |
◆『ソフィーの世界』から30年――著者初のエッセイ『未来のソフィーたちへ 「生きること」の哲学』が刊行 | 本のページ
◆哲学者・批評家の福尾匠さん《真の現代思想》『非美学』が刊行 | 本のページ
◆谷川俊太郎さん×永井玲衣さん『13歳からのきみへ スヌーピーの自分らしく生きることば』が刊行 | 本のページ
◆金原ひとみさん、大前粟生さん、町屋良平さん、隈研吾さん、宇垣美里さん、松村圭一郎さん、武田綾乃さん、読書猿さんらが『友だち関係で悩んだときに役立つ本を紹介します。』 | 本のページ