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【第64回毎日芸術賞】作家・桐野夏生さん、歌人・永田和宏さんらが受賞

「第64回(2022年度)毎日芸術賞」受賞者が決定!

「第64回(2022年度)毎日芸術賞」受賞者が決定!

毎日新聞社は1月1日、第64回(2022年度)毎日芸術賞の受賞者を発表しました。

 

「第64回(2022年度)毎日芸術賞」受賞者が決定!

第64回(2022年度)毎日芸術賞を作家・桐野夏生さん、歌人・永田和宏さんらが受賞しました。

 
桐野夏生(きりの・なつお)さんは、1951年生まれ、金沢市出身。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1997年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年に同作でで読売文学賞、201年に早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。2015年に 紫綬褒章を受章。日本ペンクラブ会長。

 
永田和宏(ながた・かずひろ)さんは、1947年生まれ、滋賀県出身。歌人・細胞生物学者。京都大学理学部物理学科卒業。京大再生医科学研究所教授などを経て、2020年よりJT生命誌研究館館長。日本細胞生物学会元会長。京大名誉教授。京都産業大名誉教授。宮中歌会始詠進歌選者、朝日歌壇選者。「塔」短歌会前主宰。1975年『メビウスの地平』で現代歌人集会賞、1998年『饗庭』で若山牧水賞、1999年『饗庭』で読売文学賞、2002年『荒神』で日本歌人クラブ賞、2004年歌集『風位』で芸術選奨文部科学大臣賞と迢空賞、2008年『後の日々』で斎藤茂吉短歌文学賞、2010年『日和』で山本健吉文学賞、2013年『歌に私は泣くだらう  妻・河野裕子 闘病の十年』で講談社エッセイ賞、2015年『現代秀歌』で日本歌人クラブ評論賞、2017年『永田和宏作品集Ⅰ』で現代短歌大賞を受賞。2009年に紫綬褒章を受章。歌人・河野裕子さん(2010年逝去)と1972年に結婚。

 
なお、全受賞者は次の通りです。

 
<第64回(2022年度)毎日芸術賞 受賞者・受賞理由>

■遠藤彰子さん(美術家)
〔「物語る 遠藤彰子展」(神奈川・平塚市美術館)での展示〕

■加藤健一さん(俳優)
〔舞台「スカラムーシュ・ジョーンズor七つの白い仮面」などでの演技〕

■加藤登紀子さん(歌手)
〔CDアルバム「果てなき大地の上に」(TOKIKO RECORDS)の制作〕

■桐野夏生さん(作家)
〔小説『燕は戻ってこない』(集英社)〕

■永田和宏さん(歌人)
〔歌集『置行堀(おいてけぼり)』(現代短歌社)〕

 
※贈呈式は2月9日に東京都文京区のホテル椿山荘東京で開催されます。

 

毎日芸術賞について

毎日芸術賞は、毎日新聞社が主催する賞で、文学、演劇、音楽、美術、映画などに功績があった人に与えられます。信越化学工業株式会社が特別協賛。

 

燕は戻ってこない
桐野 夏生 (著)

この身体こそ、文明の最後の利器。

29歳、女性、独身、地方出身、非正規労働者。
子宮・自由・尊厳を赤の他人に差し出し、東京で「代理母」となった彼女に、失うものなどあるはずがなかった――。

北海道での介護職を辞し、憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳女性・リキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニック「プランテ」の日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられ……。

『OUT』から25年、女性たちの困窮と憤怒を捉えつづける作家による、予言的ディストピア。

置行堀
永田 和宏 (著)

人は誰しも、死者を抱えて生きている。その死の意味を突き詰めるとき、歌はアフォリズムのごとき静寂に充ちてゆく。みずからを死者の眼で見つめる歌にはユーモアとペーソスが漂う。この世に置いてきぼりにされた者のしんとしたさびしさが立ち上がる永田和宏の世界。

妻と呼ばれてゐたころ人は明るくて竹箒はきはき使ひてゐたり
二人ゐて楽しい筈の人生の筈がわたしを置いて去りにき
あなたにはなくてわたしにのみ続く死後とふ時間に水仙が咲く
男三人昼酒を飲む知らぬ間に死んでしまつたあの莫迦野郎
権力にはきつと容易(たやす)く屈するだらう弱きわれゆゑいま発言す

 


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