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伊与原新さん〈科学のきらめきを湛えた〉短編集『藍を継ぐ海』が刊行

代表作『月まで三キロ』『八月の銀の雪』、そして窪田正孝さん主演でドラマ化の『宙わたる教室』など、科学だけが気づかせてくれる大切な未来を描く伊与原新さんの短篇集『藍を継ぐ海』が新潮社より刊行されました。

 

今日も日本のどこかで、大事なことを引き受け、伝える人がいる――

 
壮大な歴史の上に、私たちは立っている。
人の想いを継いで、今がある――。そんな奇跡が紡がれています。 
――南沢奈央さん(俳優)

読み終えたとき、もっと地球が好きになっていました。
――ヨビノリたくみさん(YouTubeチャンネル『予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」』)

 
【あらすじ】

なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。
老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。
山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男。
長崎の空き家で、膨大な量の謎の岩石やガラス製品を発見した若手公務員。
都会から逃れ移住した奈良の山奥で、ニホンオオカミに出会ったフリーのウェブデザイナーの女性――。

人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。
きらめく全五篇。

 
〈収録作品〉

「夢化け(ゆめばけ)の島」
「狼犬(おおかみけん)ダイアリー」
「祈りの破片」
「星隕つ駅逓(ほしおつえきてい)」
「藍を継ぐ海」

 

伊与原新さんからのメッセージ

この『藍を継ぐ海』という短編集では、日々の慌ただしさに埋没しがちな意識を、地球や自然の悠久な流れの中に置き直してみる、ということに挑んでいます。
日本列島が擁するバラエティに富んだ自然環境の中で、各地方の人々が土地の特質やリズムと融け合うような営みを連綿と受け継いできたことを、執筆を通じて私自身も再認識することができました。
日本海の孤島、吉野の杉林、遠軽の雪原、長崎のみかん畑、徳島のポケットビーチ。
五編を通じて、それぞれの土地の空気と人々の息づかいを感じ取っていただければ嬉しいです。
―――伊与原新

 

著者プロフィール

伊与原新さん (C)新潮社

伊与原新さん (C)新潮社

伊与原新(いよはら・しん)さんは、1972年生まれ、大阪府出身。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。

2019年『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞と第3回未来屋小説大賞を受賞。

他の著書に『八月の銀の雪』『オオルリ流星群』、『宙(そら)わたる教室』『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』『磁極反転の日』『ルカの方舟』『博物館のファントム』『蝶が舞ったら、謎のち晴れ 気象予報士・蝶子の推理』『ブルーネス』『コンタミ 科学汚染』などがある。

 

藍を継ぐ海
伊与原 新 (著)

数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺に―ー。
徳島の海辺の小さな町で、なんとかウミガメの卵を孵化させ、自分ひとりの力で育てようとする、祖父と二人暮らしの中学生の女の子。年老いた父親のために隕石を拾った場所を偽ろうとする北海道の身重の女性。山口の見島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男。長崎の空き家で、膨大な量の謎の岩石やガラス製品を発見した若手公務員。都会から逃れ移住した奈良の山奥で、ニホンオオカミに「出会った」ウェブデザイナーの女性ーー。人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。『月まで三キロ』『八月の銀の雪』の著者による、きらめく全五篇。

 
【関連】
試し読み | 『藍を継ぐ海』伊与原新 | 新潮社

 


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