〔出版不況〕人気雑誌が「休刊ラッシュ」、出版社の3割超が「赤字」
帝国データバンクは、2024年1-8月の「出版業界」の動向についての調査・分析結果を発表しました。
<人気雑誌も「休刊ラッシュ」の苦境 出版社の3割超が「赤字」 過去20年で最大、出版不況で低迷脱せず 倒産・廃業も増加傾向続く>
■集計期間:2024年8月31日まで
■集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
■調査機関:株式会社帝国データバンク
全国で書店の減少に歯止めがかからないなか、雑誌や書籍の出版社でも厳しい経営環境が鮮明となっています。
2023年度における出版社の業績は「赤字」が36.2%を占め、過去20年で最大となったほか、減益を含めた「業績悪化」の出版社は6割を超えました。出版不況の中で、多くの出版社が苦境に立たされています。
2024年は有名雑誌の休刊・廃刊が相次ぎました。月刊芸能誌『ポポロ』をはじめ、女性ファッション誌『JELLY』やアニメ声優誌『声優アニメディア』などが休刊を発表。日本の伝統文化や芸能関係の話題を世界に紹介する国内唯一の英文月刊誌『Eye-Ai』を発刊していたリバーフィールド社は今年4月に破産となりました(※『Eye-Ai』の事業については、2021年7月にザ・ショット(The Shot)に移管されており、現在は『Re:Eye-Ai』および『Re:Eye-Ai+』として従来通り発行されている)。
購読者の高齢化に加え、若者層では電子書籍の普及やネット専業メディアが台頭し、紙の雑誌・書籍の売り上げは1996年をピークに減少が続いています。
また、「再販制度」で出版物の約4割が売れ残りとして返品されるなど出版社では在庫負担が重くなっています。加えて、物価高の影響で紙代やインク代など印刷コスト、さらには物流コストも上昇が著しく、ますます収益が悪化する悪循環に陥っている状況です。
2024年1-8月に発生した出版社の倒産(負債1000万円以上、法的整理)と廃業も、4年ぶりに前年から増加した2023年(65件)と同等のペースで発生し、2024年通年では過去5年間で最多となる可能性があります。
足元では、業界大手書店が返本を減らす取り組みを進めるほか、特色あるテーマや編集スタイルで業績を伸ばす雑誌や出版社もあります。一方でヒット本や雑誌の発刊は容易ではなく、出版コストの増加で経営体力が疲弊した中小出版社の休廃刊、倒産や廃業といった淘汰が進むとみられます。
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▼「出版社」の倒産・休廃業解散動向(2024年1-8月) | 株式会社 帝国データバンク[TDB]
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