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【第61回文藝賞】待川匙さん「光のそこで白くねむる」と松田いりのさん「ハイパーたいくつ」が同時受賞

【選考委員】(左から)小川哲さん、角田光代さん、町田康さん、村田沙耶香さん

【選考委員】(左から)小川哲さん、角田光代さん、町田康さん、村田沙耶香さん

河出書房新社は8月29日、公募の新人文学賞「第61回文藝賞」の受賞作を発表しました。

 

応募総数2,111作品の中から第61回文藝賞が決定!

1962年の創設以来、多くの新人作家を輩出してきた「文藝賞」の選考会が8月21日にフォレストテラス明治神宮にて執りおこなわれました。

選考委員を務める小川哲さん、角田光代さん、町田康さん、村田沙耶香さんによる選考の結果、次の通り受賞作が決定しました。

 
<第61回文藝賞 受賞作品>

◎待川匙(まちかわ・さじ)さん
「光のそこで白くねむる」(400字×150枚)

◎松田いりの(まつだ・いりの)さん
「ハイパーたいくつ」(400字×129枚)

 
受賞者の待川匙さんは、1993年生まれ、徳島県出身。滋賀県育ち。現在、北海道在住。
同じく受賞者の松田いりのさんは、1991年生まれ、静岡県出身。現在、東京都在住。

 
受賞作と受賞の言葉、選考委員による選評・選考経過は、10月7日(月)発売の「文藝」冬季号に掲載されます。
贈呈式は11月中旬に明治記念館にて開催され、受賞者には正賞として記念品、副賞として50万円が贈られます。

 

「第61回文藝賞」受賞作品 あらすじ

 
■「光のそこで白くねむる」(待川匙さん)

「わたしたちの生まれるまえ、この土地には恐竜がいた。わたしは、その話をあなたとしたい」

あなたの墓参りのため十年ぶりに故郷をおとずれた「わたし」。山あいを走る電車に乗り、坂をのぼり、過去の時間をたゆたう中で、ふと「キイちゃん」の声が語りかけてきて――。

崖で隔てられた彼岸と此岸の往還により引き出される思いもよらない記憶。時の流れのゆらぎを漂う静謐な戦慄が、新感覚の詩情で語られる。

 
■「ハイパーたいくつ」(松田いりのさん)

「もうちょっと頑張ってくれなくちゃあ、まともな成果とは無縁の君がどうしてまだ会社にいるんだって話にもなるじゃないか。溺れてこそのペンペンさ」

迷惑系給金泥棒として職場で疎まれている私は、ジャケット姿が無様なペンギンに似ていることから「ペンペン」と呼ばれている。
八方塞がりで退屈な毎日が限界を迎えたとき、壊れた私の壊れた言葉が、壊れた風景を呼び起こす。リリカル系日常破壊小説!

 

文藝賞について

文藝賞は、1962年に文芸誌『文藝』で創設された公募の新人文学賞です。河出書房新社が主催。

日本における新人作家の登竜門とされ、第1回受賞作である高橋一巳さん『悲の器』をはじめ、田中康夫さん『なんとなく、クリスタル』、山田詠美さん『ベッド タイム アイズ』、綿矢りささん『インストール』、白岩玄さん『野ブタ。をプロデュース』、山崎ナオコーラさん『人のセックスを笑うな』、宇佐見りんさん『かか』、遠野遥さん『改良』など、実力と才能を兼ね備えた作家を多数輩出しています。

ちなみに、創設当時の『文藝』の編集長は坂本一亀さんで、音楽家・坂本龍一さんの父。

 
【関連】
文藝の案内|河出書房新社

 


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