映画「PERFECT DAYS」で再注目の幸田文さん名随筆『雀の手帖』が刊行
幸田文さんの名随筆『雀の手帖』が大き目文字の新装版となって新潮文庫より刊行されました。
すきま時間に〈名随筆〉を味わう――1編5分の中に、「生き方の発見」がある
映画「PERFECT DAYS」(https://www.perfectdays-movie.jp/)で役所広司さん演じる主人公が読んでいたことで注目された『木』の著者で、今年生誕120年の幸田文さん。そのエッセイには、人に寄りかからず生きた女性作家の「かっこよさ」があります。
仕事や子育て、家のことに忙しい日常では、「流されずに生きる」ことなんてできないけれど、ときどき、「これでいいのかな」「なにか大切なこと、忘れているんじゃないだろうか」……そう思うのも、やはり自然なこと。
作家・幸田文さんも同じように、取材や執筆に追われていましたが、ふだんの暮らしの些細な出来事やひとの姿に目をとめ、毎日1編ずつ綴ったのが本書『雀の手帖』でした。
本書は刊行されて以降、長く読み継がれてきましたが、1904(明治37)年生まれの幸田さんの随筆が、なぜ今も多くのファンを?んでいるのでしょうか。時代を越えて共通する魅力とは何なのか――。
〈おでんやすきやき〉の季節が、〈筍とそら豆〉になるまでの一月から五月にかけて、何気ない日々の出来事を書き留めた百日の手帖は、ことばに対する鋭敏な感覚と、生きることの確かさが織り込まれています。
女にとって親密なことば「きざむ」、隅田川の意外な光景「川の家具」、道路掃除の仕事をする女のひとの話「掃く」、季節に心の機微を読む「春の雨」、出張先で急に切なくなる「朝の別れ」ほか、「おこると働く」「木の声」「豆」「吹きながし」など、移りゆく〈暮らしの実感〉を自在に綴って古びない名随筆です。
著者プロフィール
幸田文(こうだ・あや)さんは、1904年生まれ、東京出身。幸田露伴の次女。1928(昭和3)年、清酒問屋に嫁ぐも、10年後に離婚、娘を連れて晩年の父のもとに帰る。
露伴の没後、父を追憶する文章を続けて発表、たちまち注目されるところとなり、1954年の『黒い裾』により読売文学賞を受賞。1956年の『流れる』は新潮社文学賞、日本芸術院賞の両賞を得た。他の作品に『闘』(女流文学賞)、『崩れ』『包む』など。1990年、逝去。
雀の手帖 (新潮文庫) 幸田 文 (著) 食卓の〈おでんやすきやき〉が、〈筍とそら豆〉になるまでの一月から五月、何気ない日々の出来事を書き留めた百日の手帖。女にとって親密なことば「きざむ」、隅田川の意外な光景「川の家具」、道路掃除の仕事をする女のひとの話「掃く」、季節に心の機微を読む「春の雨」ほか、「おこると働く」「木の声」「朝の別れ」「豆」「吹きながし」等、移りゆく暮らしの実感を自在に綴って今なお古びない名随筆。 |
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