向坂くじらさん〈第171回芥川賞候補作〉『いなくなくならなくならないで』が刊行
これまで詩作、エッセイ執筆などで活躍してきた、向坂くじらさんによる初小説にして、第171回芥川賞候補作『いなくなくならなくならないで』の単行本が河出書房新社より刊行されました。
なお、第171回芥川賞の選考会は2024年7月17日(水)です。
ジェットコースターのように心揺さぶられる、「友情」をめぐる衝撃作!
【あらすじ】
「わたしというものは、いなかったらばそっちのほうがよかったな」
死んだはずの親友・朝日からかかってきた一本の電話。
時子はずっと会いたかった彼女との再会を喜ぶが、「住所ない」と話す朝日を自宅に招くと、いつしか家に住み着いて──。
愛と憎しみ、親しみと疎ましさ、アンビバレントな人間の心情を繊細に描く。
デビュー作にして第171回芥川賞候補作。
<鮮烈デビュー小説に称賛の声続々!>
物語は三部構成のその段階を追うごとに拡がり、心理描写が相当に精緻で、しかも現代的な攻撃性を秘めている。
――古川日出男さん(朝日新聞2024年4月26日「文芸時評」)
「共生」という言葉でごまかすことができない、「寄生」の関係性が青春小説の甘美さを食い破る。
――渡邊英理さん(京都新聞2024年4月26日他「いま、文学の場所へ」)
タイトルのままに、心がはち切れそうな振り子のようだ。
社会や家族や友人とともに在るこの世界は怒りと愛に満ちている。
――うさぎや 矢板店 山田恵理子さん
家族や友人を大切に思う気持ちと、疎ましく思う気持ち。
深刻な中に、何故だか不思議なユーモアが。ソワソワとゾクゾクが伸び縮みしました。
――蔦屋書店 熊谷店 加藤京子さん
ずっと握りしめていたものが大事だから握りしめていたのか? 握りしめていたから大事になったのか? こころが自家中毒を起こす過程にやるせなくなった。
まるで自分のことだと読み進めて、自分以外の人にはわからなくてもいいと読み終えた。
――萬松堂 渡邉典朋さん
身のうちに渦巻く感情をこれほどまでに端的に現したタイトルを、私は知らない。
読み終わったあとにタイトルを読んでウワァッとなる小説は例外なく傑作と決まっている。
――精文館書店 商品部 馬場あゆみさん
著者プロフィール
向坂くじら(さきさか・くじら)さんは、1994年生まれ、愛知県名古屋市出身。2016年、Gt.クマガイユウヤさんとのポエトリーリーディング×エレキギターユニット「Anti-Trench」を結成、ライブを中心に活動を行う。
主な著書に、詩集『とても小さな理解のための』、エッセイ『夫婦間における愛の適温』、『犬ではないと言われた犬』など。2024年、初小説である本作が第171回芥川龍之介賞候補となる。
新聞やWEBメディアでの連載も多数。執筆活動に加え、小学生から高校生までを対象とした私塾「国語教室ことぱ舎」の運営を行う。
いなくなくならなくならないで 向坂くじら (著) 死んだはずの親友・朝日からかかってきた一本の電話。時子はずっと会いたかった彼女からの連絡に喜ぶが、「住所ない」と話す朝日が家に住み着き――。デビュー作にして第171回芥川賞候補作。 装画:加藤宗一郎 |
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