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ヒョウアザラシのヒョーは、荒廃した世界を漂流する――一條次郎さん『チェレンコフの眠り』が文庫化

『レプリカたちの夜』著者、一條次郎さんによる長編小説『チェレンコフの眠り』が文庫化され、新潮文庫より刊行されました。

 

「なんてチャーミングな一冊」江國香織さん絶賛! 愛おしいほどの不条理に満ちた旅の物語

「とにかくこの小説を世に出すべきだと思いました」と伊坂幸太郎さんが激賞したデビュー作『レプリカたちの夜』が大ヒットとなった鬼才・一條次郎さん。その唯一無二の不思議な読後感で読者を魅了する一條次郎さんの小説世界を存分に堪能できる作品が文庫化されました。

 
『チェレンコフの眠り』の主人公は、ヒョウアザラシのヒョー。荒廃した世界を旅する、彼の愛おしくも哀しい物語をお楽しみください。

 
【あらすじ】

「字が読めるのが、そんなに重要なわけ? 世界は文字に書けないことでいっぱいなんじゃないのか?」
ヒョウアザラシのヒョーは、荒廃した世界を漂流する。愛おしいほどの不条理に満ちた旅の物語。

猫のまたぐらよりも暑い夏の日の午後、ヒョウアザラシのヒョーの飼い主、悪名高いマフィアのボス、シベリアーリョ・ヘヘヘノヴィチ・チェレンコフは、私邸〈生命線プラザ〉を襲撃した武装警官隊の一斉射撃で永遠の眠りについた。

その日はヒョーの誕生日パーティーのはずだった。独り残されたヒョーは、空腹に耐えかね、誕生日プレゼントでもらった全自動「アザラシ専用」ゴルフカートに乗り込み、あてどなく荒廃した外の世界に恐る恐る飛び出す。

ヒョーのつぶらな黒い瞳に映る、汚染された土地、プラスチックの雨、肥大した三葉虫やオウムガイ……そして奇妙な人々。唯一無二の読後感、ユーモアと悲哀に満ち溢れた、不条理で美しい、旅の物語。

 

著者プロフィール

一條次郎(いちじょう・じろう)さんは、1974年2月生まれ。山形大学人文学部卒業。福島県在住。2015年『レプリカたちの夜』で新潮ミステリー大賞を受賞。

他の著書に『ざんねんなスパイ』『動物たちのまーまー』がある。

 

 
【関連】
試し読み | 『チェレンコフの眠り』一條次郎 | 新潮社

 


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