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ホレス・マッコイ〈記者ハードボイルド〉の名作『屍衣にポケットはない』が初邦訳

新潮社は、『彼らは廃馬を撃つ』で知られる作家ホレス・マッコイが、ただ一人巨悪に挑む記者の孤闘を描いた幻の記者小説『屍衣にポケットはない』(訳:田口俊樹さん)を新潮文庫より刊行しました。

 

真実のみを追い求め苦闘する記者魂――ホレス・マッコイが栄光と挫折を描く、記者ハードボイルドの名作が甦る!

『屍衣にポケットはない』は、ヘミングウェイやフォークナーとも並び評される作家ホレス・マッコイがデビュー作『彼らは廃馬を撃つ』から2年後、1937年に発表した第2作目。真実のみを追究しようとする記者の孤高の死闘を描いた、幻のハードボイルド小説です。

 
後期ミステリー作品『明日に別れの接吻を』へと受け継がれるハードボイルド文体は、すでに確立されていて、いまだに古びない魅力に充ちています。80年以上を経て甦る名作が初邦訳され発売となりました。

 
【あらすじ】

人口40万人の街コルトンの地方紙『タイムズ・ガゼット』でスポーツ担当記者として活躍するドーランは、真実の報道より広告収入を重視する新聞社に愛想を尽かし退社、自ら雑誌『コスモポライト』を創刊する。中絶手術に失敗し患者を殺した医師や、KKKまがいの人種差別組織を告発する記事を次々と発表することでジャーナリストとしての正義を貫き、多くの読者を獲得する。

「死に装束にポケットなんかない、どうせあの世に金なんか持っていけないんだ――」とうそぶき、ひたすら告発記事の取材に奔走するドーラン。だが、ペンの力で巨悪に立ち向かおうとする彼にたいし、創刊当初から、古巣の新聞社からの圧力、資金難、告発された側の関係者による発売前の雑誌の強奪騒動など、さまざまな苦難が立ちはだかる――。

 

著者プロフィール

 
■ホレス・マッコイ(Horace McCoy, 1897-1955)

1897年生まれ、テネシー州ぺグラム出身。新聞のスポーツ担当記者を経て、1920年代後半から《ブラック・マスク》を中心にパルプ雑誌に数々の短篇を発表する。本国で認められなかったデビュー長篇『彼らは廃馬を撃つ』(1935年)と第2作『屍衣にポケットはない』(1937年)が、第二次大戦後、フランスで出版され高評を得たことで再評価された。他の邦訳に『明日に別れの接吻を』(1948年)がある。

 
■訳:田口俊樹(たぐち・としき)さん

1950年生まれ、奈良市出身。早稲田大学卒業。ブロックの〝マット・スカダー・シリーズ〟をはじめ、ケイン『郵便配達は二度ベルを鳴らす』、スミス『チャイルド44』、チャンドラー『長い別れ』、ウィンズロウ『業火の市』、コーベン『THE MATCH』など訳書多数。

 

屍衣にポケットはない (新潮文庫)
ホレス・マッコイ (著), 田口 俊樹 (翻訳)

デビュー作『彼らは廃馬を撃つ』を超える衝撃がここに。
迫真のジャーナリズム・ハードボイルド小説、本邦初訳!

 
【関連】
試し読み | ホレス・マッコイ、田口俊樹/訳 『屍衣にポケットはない』 | 新潮社

 


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