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SNS時代の「絆」の真偽をあぶり出す! 岸見一郎さん『つながらない覚悟』が刊行

岸見一郎さんがSNS時代の「絆」の真偽をあぶり出す『つながらない覚悟』をPHP研究所より刊行しました。

コロナ禍を経て対面コミュニケーションの増加に伴い、対人関係への強迫観念に悩む人や、有象無象のSNSのつき合いに疲弊している人が増えています。本書は映像化もされたベストセラー『嫌われない勇気』の著者でアドラー心理学の第一人者でもある岸見一郎さんが、人間関係とつながりについての哲学的な考察をまとめた一冊です。人との関わりが億劫になることが「よくあった」という著者が、「つながらない覚悟」の重要性と、真のつながりの在り方を提唱し、人間関係の本質に迫ります。

 

強制や排除で成り立つ「偽りのつながり」から解放

友人やSNSのフォロワーの「数」が多いことを誇ったり、誰とでも仲良くすることを「絆」という言葉にすりかえたりする風潮がある今、著者が最も問題視しているのは、人とのつながりが強制されること、つまり偽りのつながりにとらわれていることです。

 
例えば、「言いたいことを言わない」「異なる意見を許さない空気」「高齢者不要論」など、価値観が違う人、偏った視点から生産性がないと見なした人をつながりから排除しようとする閉鎖的な人間関係は「偽りのつながり」でしかないと断言しています。

この偽りのつながりから解放されるために、今の時代に必要なのが「つながらない覚悟」なのです。

 

自立した存在同士の依存しない「真のつながり」のあり方

岸見さんは、偽りのつながりを明らかにした後、「良心の声を聞く」「自分でない自分になっても意味はない」など、真のつながりを築くための心構えを説きます。

 
誰もが一人で生きられるわけではありません。友人、職場の同僚、上司、家族や恋人と、お互いに一人の自立した存在でありながら、必要な人は助けを求め、可能な人は手を差し伸べられる、本当につながりたい人との関係の在り方についてのヒントも見つかります。

 
★試し読みを公開中:https://www.php.co.jp/books/dl/pdf/9784569856216.pdf 〔PDF〕

 

本書の構成

第1章 人と人がつながっているのがノーマル

第2章 依存する人

第3章 支配する人

第4章 関係を分かつ

第5章 依存と支配

第6章 孤独を恐れない

第7章 自分の人生を生きる

第8章 親は子どもにどう接するか

第9章 理解するということ

第10章 まず人間であること

第11章 愛するということ

第12章 本当につながりたい人とつながる

 

著者プロフィール

岸見一郎(きしみ・いちろう)さんは、1956年生まれ。哲学者。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。奈良女子大学文学部非常勤講師などを歴任。専門のギリシア哲学研究と並行してアドラー心理学を研究。

ベストセラー『嫌われる勇気』(古賀史健さんとの共著、ダイヤモンド社)のほか、『アドラー心理学入門』(ベスト新書)、『愛とためらいの哲学』(PHP新書)、『老いる勇気』(PHP文庫)、『数えないで生きる』(扶桑社新書)などがある。

 

つながらない覚悟 (PHP新書)
岸見 一郎 (著)

私たちは子どもの頃から「人間関係は大切にしよう」と教え込まれ、つながりを結ぶことが強制されることもある。しかし、人とつながるとはどういうことなのかがよく理解されておらず、他人との「絆」が依存・支配関係になってしまうことも多い。
「私」を失わないためには孤独を恐れてはいけない。私たちにはつながらない覚悟が必要なのだ。望ましくない人間関係を捨てて、偽りのつながりを真のつながりに変えるための考え方や方法を哲学者が語る。

【本文より】
●支配、強制されて作り出されるつながりは、偽りのつながりである。このつながりは、人は本来的には他者とつながって生きているという意味の真のつながりとは別物である。
●相手を理解したい、理解しようとする。これが愛である。ただ一緒にいるだけでは、いい関係を築けない。互いを理解する努力が必要である。(中略)理解しようと努力しても、その理解が正しいかどうかがわからないのであれば、たずねるしかない。
●誰かを支配したり、依存したりすることなく、自分の完全性を保ったままで人と結びつくにはどうしたらいいか。「共鳴」(レゾナンス)という仕方であれば、他者に影響を与え、他者から影響を受ける。他者と共鳴することで、自分が変わることはある。

 


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