ヤマザキマリさんがイタリアや日本の美味しい記憶をたどるエッセイ『貧乏ピッツァ』が刊行
漫画家や文筆家として活躍するヤマザキマリさんがフィレンツェでの極貧時代から亡き母の思い出までを綴るエッセイ集『貧乏ピッツァ』が新潮社より11月17日に刊行されます。
貧乏こそが最高の「かくし味」だった――。
ヤマザキマリさんは、絵画を学ぶため17歳でフィレンツェに留学。当地での極貧生活を救ったピッツァやパスタ、出産直後に通りすがりのお婆さんにもらった飴玉、料理が苦手だった亡き母が作った思い出のアップルパイなど、食の記憶から溢れ出す人生のシーンを描く至極のエッセイ集です。
イタリアと日本、そして世界を食べたヤマザキさんが「創造の原点」と語る味覚の記憶を美味しく綴ります。
【本書の内容】
17歳でフィレンツェに留学。極貧の画学生時代に食べたピッツァの味が、今でも忘れられない――。
トマト大好きイタリア人、ピッツァにおける経済格差、世界一美味しい意外な日本の飲料など、「創造の原点」という食への渇望を、シャンパンから素麺まで貴賤なく綴る。さらに世界の朝食や鍋料理、料理が苦手だった亡き母のアップルパイなど、食の記憶とともに溢れる人生のシーンを描き、「味覚の自由」を追求する至極のエッセイ。
ヤマザキマリさん コメント
シングルマザーの母に育てられた私は、幼い頃より贅沢とは無縁の生活を送っていました。特に17歳でフィレンツェに留学してからは、お金も食べるものもなくなり絶望的な状況に陥ったことが何度もありました。その影響もあってか、私はイタリアに限らず日本でも世界のどこでも、貧乏や困窮と向き合いながら生きる人々をシンプルに喜ばせてきた慎ましい食べものが未だに大好きです。そうした私の食への嗜好と味覚に付随するさまざまな想い出を正直に綴ったのが、この新刊『貧乏ピッツァ』です。
本書の構成
第1章 「貧乏」が私のかくし味
私の貧乏メシ/貧乏ピッツア/パンに挟んで食べれば世界は平和/温厚で寛容な「悪魔」
第2章 やっぱりイタリアは美味しい
イタリア式長生きの秘訣/最高の創造物――プリニウスも夢中だったもの/真夏の菜園――イタリア人の血はトマトで出来ている/夏はメロンで乗り切るイタリアetc.
第3章 すばらしい日本の食文化
地下の天国/世界一美味しい日本の牛乳/素麺、シンプルななりをした手強いやつ
第4章 世界を食べる
世界の朝メシ/啜り喰ってこそ、醍醐味/鍋は食べる温泉である/たかが飴玉、されど飴玉/世界では酒を飲んだあとに何を食べるのかetc.
第5章 忘れがたき思い出メシ
お節料理か、豚足か/思い出のアップルパイ/味覚の自由を謳歌するetc.
著者プロフィール

(c)ヤマザキマリ/スマイルカンパニー
1967年生まれ、東京都出身。漫画家・文筆家・画家。東京造形大学客員教授。
1984年にイタリアに渡り、フィレンツェの国立アカデミア美術学院で美術史・油絵を専攻。 比較文学研究者のイタリア人との結婚を機にエジプト、シリア、ポルトガル、アメリカなどの国々に暮らす。
2010年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。2015年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。2017年イタリア共和国星勲章コメンダトーレ章を受章。
著書に『プリニウス』(とり・みきさんと共著)、『国境のない生き方』『オリンピア・キュクロス』『ヴィオラ母さん』、『リ・アルティジャーニ ルネサンス画家職人伝』、『地球、この複雑なる惑星に暮らすこと』(養老孟司さんと共著)、『パスタぎらい』『CARPE DIEM 今この瞬間を生きて』『猫がいれば、そこが我が家』『扉の向う側』『歩きながら考える』など。
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