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谷口ジローさん『捜索者』が復刊

山と溪谷社は、『神々の山嶺』『K』で登山家の魂を描いた谷口ジローさんが大都会で孤独な戦いに挑むクライマーを描いた傑作『捜索者』を復刻し、ヤマケイ文庫より刊行しました。

 

亡き友との約束を胸に、大都会で孤独な戦いに挑むクライマーを描いた傑作『捜索者』

この作品は小学館「ビッグコミック」1999年5月10日号から11月10日号に連載が掲載されました。今回の復刻では、雑誌掲載時のカラーをそのままに再現しています。

主人公の志賀は南アルプス・甲斐駒ヶ岳の山小屋で小屋番をつとめていましたが、ある日、亡き親友の娘が失踪したという連絡を受けます。親友との約束を胸に、東京へ向かった志賀。大都会の迷路をさまよいながらも、失踪した娘につながる細いルートを見つけました。しかし、そのルートには登攀困難な巨大な壁がそびえ立っていて……。

文庫解説は学習院大学フランス語圏文化学科教授の中条省平さん。手塚治虫文化賞選考委員をつとめ、マンガ評論の著作も多数てがける中条さんの解説は、谷口ジローさんの世界の奥深さをわかりやすく紹介しています。初読の人はもちろん、本作品を読んだことがある人も、この解説でさらに谷口ジローさんの凄さに触れることができる名解説となっています。

 

著者プロフィール

谷口ジロー(たにぐち・じろー)さんは、1947年生まれ。鳥取県鳥取市に育つ。1975年に「遠い声」で第14回ビッグコミック賞佳作に入選。

以後、精力的に作品を発表し続け、『「坊っちゃん」の時代』で第22回日本漫画家協会賞優秀賞、第2回手塚治虫文化賞マンガ大賞などを受賞。『孤独のグルメ』『遥かな町へ』『神々の山嶺』ほか著作多数。

イタリアやフランスをはじめ海外での評価も高い。2017年、永眠。

 

ヤマケイ文庫 捜索者
谷口 ジロー (著)

谷口ジローにしか描けない山の男。
南アルプスと東京の繁華街を対比的に描く、唯一無二の谷口ジローの世界。

南アルプス・甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根にある志賀山荘。
その山小屋の主・志賀は、今は亡き親友で山岳パートナーだった坂本の一人娘・恵美が失踪したことを知る。
親友とその妻・縒子への思いから、山を下りて15歳の少女を捜す志賀。
その目の前に広がる大都会は、一瞬にして険しい山岳と化した。
山で鍛え上げた意志と技術は少女を救う力となるのか!?

原作付きのマンガが多い谷口ジローには珍しいオリジナル作であり、また東京の繁華街を描いた唯一の作品でもある。

■内容
第1話/遺された言葉
第2話/街へ
第3話/雑踏にまぎれて
第4話/出会う
第5話/山の道(タオ)
第6話/見えない影
第7話/歪む方位
第8話/追う
第9話/高い壁
第10話/ダウラギリ
第11話/登攀計画
第12話/登る
最終話/山の人

■登場人物
志賀岳史(南アルプスの山小屋の主。今は亡き親友の失踪した娘・恵美を捜すため山を下りる)
坂本縒子(志賀の親友の未亡人。恵美の母親)
坂本恵美(中学三年生。失踪してしまった坂本の娘)
大原マキ(恵美の遊び仲間。失踪直前まで恵美と行動を共にしていた)
ヨシオ(渋谷の女の子の情報に詳しい男。志賀と偶然出会い、恵美の捜索に協力を申し出る)

 


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