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【第60回文藝賞】小泉綾子さん「無敵の犬の夜」が受賞 優秀作に佐佐木陸さんと図野象さん

河出書房新社は8月31日、公募の新人文学賞「第60回文藝賞」の受賞作を発表しました。

 

第60回文藝賞が決定!

1962年創設以来、多くの新人作家を輩出してきた「文藝賞」(河出書房新社主催)の選考会が8月23日に明治記念館にて執り行われました。

選考委員を務める角田光代さん、島本理生さん、穂村弘さん、町田康さんによる選考の結果、次の通り受賞作が決定しました。

 
<第60回文藝賞 受賞作品>

【受賞作】

小泉綾子(こいずみ・あやこ)さん
「無敵の犬の夜」(400字×151枚)

 
【優秀作】
◎佐佐木陸(ささき・りく)さん「解答者は走ってください」(400字×143枚)
◎図野象(ずの・しょう)さん「おわりのそこみえ」(400字×242枚)

 
受賞作と受賞の言葉、また、選評・選考経過は、10月6日(金)発売の「文藝」冬季号に掲載となります。なお、「文藝」冬季号には、「文藝」創刊90周年を記念し、本年限定で創設された「文藝賞〈短篇部門〉」受賞作の西野冬器さん「子宮の夢」、優秀作の才谷景さん「海を吸う」も掲載される予定です。、

受賞者には、正賞として記念品、副賞として受賞作には50万円、優秀作には20万円が贈られます。贈呈式は11月中旬、明治記念館にて開催。

 

「第60回文藝賞」受賞者プロフィール&受賞作品概要

 
◆受賞作「無敵の犬の夜」(400字×151枚)
小泉綾子(こいずみ・あやこ)さん
/1985年生まれ。東京都出身・在住。2022年「あの子なら死んだよ」が第8回林芙美子文学賞佳作。

 
【内容紹介】
「この先俺は、きっと何もなれんと思う。夢の見方を知らんけん」

北九州の片田舎。幼少期に右手の小指と薬指の半分を失った中学生の界(かい)は、地元の不良グループで知り合った「バリイケとる」男・橘さんに心酔するようになる。東京でトラブルを起こした橘さんのため、夜行バスに乗り込みひとり東京に向かうが――。

 
◆優秀作「解答者は走ってください」(400字×143枚)
佐佐木陸(ささき・りく)さん/1990年生まれ。埼玉県出身、都内在住。

 
【内容紹介】
「じゃあぼくは、誰の子供なんだ? ぼくを書いているこのひとは、いったい誰なんだ?」

「パパ上」と二人で暮らしているはずの怜王鳴門(れおなるど)。誰かが書いた自分の過去についての物語を読み始め、喪失していた自分と世界の歴史を知ることになる。クイズに耽溺した日々と、クイズチームで共に無双したはずの「サッちゃん」と「パパ」は一体どこへ――?

 
◆優秀作「おわりのそこみえ」(400字×242枚)
図野象(ずの・しょう)さん
/1988年、大阪府生まれ、在住。

 
【内容紹介】
「あのさ、その「死にたい」もファッションみたいなものでしょ?」

買い物依存と性依存を抱え、自堕落な生活を続ける美帆と、貧乏で不仲の両親、ストーカーの宇津木、お金持ちの友人・加代子、ベトナム料理屋のナムちゃん、アプリで知り合ったバンドマンのアメ。ある1人の死をきっかけに、破滅への道を一心に転がる美帆だが……。「終わりの底」で目にした予想外の景色とは?

 

文藝賞について

文藝賞は、1962年に文芸誌『文藝』で創設された公募の新人文学賞です。河出書房新社が主催。

日本における新人作家の登竜門とされ、第一回受賞作である高橋一巳さん『悲の器』をはじめ、田中康夫さん『なんとなく、クリスタル』、山田詠美さん『ベッド タイム アイズ』、綿矢りささん『インストール』、白岩玄さん『野ブタ。をプロデュース』、山崎ナオコーラさん『人のセックスを笑うな』、宇佐見りんさん『かか』、遠野遥さん『改良』など、実力と才能を兼ね備えた作家を多数輩出しています。

ちなみに、創設当時の『文藝』の編集長は坂本一亀さんで、音楽家・坂本龍一さんの父。

 
【関連】
文藝の案内|河出書房新社

 


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