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中村真一郎さん『源氏物語の世界』が澤田瞳子さんの解説を加えて復刊!

新潮社は、作家・中村真一郎さん著『源氏物語の世界』を新潮選書より復刊しました。

 

宮廷ゴシップ、恋愛模様、権力闘争――ほの暗い御簾の陰に潜む人間ドラマと、失意と孤独を抱えた作者・紫式部その人の作意と内奥とは?

本書は1968年に新潮選書の一冊として刊行され、50年以上にわたり読み継がれてきた名著です。2024年のNHK大河ドラマとして、紫式部をヒロインとした『光る君へ』が放送されることが決まり、新たに直木賞作家・澤田瞳子さんによる解説を加えて復刊の運びとなりました。

 
世界文学の最高峰である『源氏物語』を中心に、『枕草子』『更級日記』『蜻蛉日記』などの日記文学、『竹取物語』や『今昔物語』などの物語文学など、同時代に花開いた王朝文学を中心とした作品とその作者にも注目し、魅力を語ります。

王朝文学を深く研究し、その意義と読みどころを明晰にそして平易に説いた本書は、50年以上の時を隔ててなお輝きを失いません。大河ドラマで注目を浴びる今こそ、日本が誇る名作について知りたいという読者にとっての良き道案内になってくれることでしょう。

 

本書の構成

I 紫式部と『源氏物語』

II 『源氏物語』の世界

III 『源氏物語』の女性像

IV 『竹取物語』と幻想

V 王朝のエッセー

VI 『狭衣物語』の再評価――二つの変奏曲

VII 『堤中納言物語』

VIII 『今昔物語』――武士を頂点とする庶民の世界

IX 『とはずがたり』による好色的恋愛論

X 平安期の女流文学

初版刊行時の推薦文 円地文子

解説 澤田瞳子

 

著者のことば

わが国の長い歴史のなかで、感覚的文明が最も高度に発達したのは、平安期後期である。そこでは文学も空前絶後の、豊かな感受性の実験の舞台となり、美と愛と性との陶酔的な融合となって、華麗な開花を行なった。その中心にあるのが「源氏物語」である。――私はこの贅沢な花園のなかを濃密な香気に包まれながら、飽きることなく逍遥し、その印象を語りつづけた。それがおのずからこの一冊の書物となった。

 

著者プロフィール

中村真一郎さん(新潮社写真部)

中村真一郎さん(新潮社写真部)

著者の中村真一郎(なかむら・しんいちろう)さんは、1918(大正7)年生まれ、東京出身。東京大学仏文科卒業。1942年、福永武彦さんらと新しい詩運動「マチネ・ポエティック」を結成。1947年『死の影の下に』で戦後文学の一翼を担う。

[春]に始まる四部作『四季』『夏』(谷崎潤一郎賞)、『秋』『冬』(日本文学大賞)、『頼山陽とその時代』(芸術選奨文部大臣賞)、『蠣崎波響の生涯』(読売文学賞、日本芸術院賞)、『私のフランス』など多数の著書と訳詩書がある。1997年没。

 

源氏物語の世界 (新潮選書)
中村 真一郎 (著)

華麗に花開く王朝文学の世界へ――稀代の作家による名著、待望の復刊!

千年の昔、一人の女性の手で書かれた五十四帖の壮麗な物語。宮廷ゴシップ、恋愛模様、権力闘争――ほの暗い御簾の陰に潜む人間ドラマと、失意と孤独を抱えた作者・紫式部その人の内奥に、名うての読み巧者が光を当てる。『枕草子』など同時代の傑作も縦横に併せ論じ古典を読む悦びを語り尽くす、知的興奮に満ちた文学案内。

 
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試し読み | 中村真一郎 『源氏物語の世界』 | 新潮社

 


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